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13.楽譜はお金になるのか

 課題曲の楽譜を練習している間にルーナが先生を連れて戻ってきた。



「どうされましたか?」



 揺れる赤髪がとても綺麗な先生だ。深い緑色の瞳と赤い髪の毛が白く澄んだ肌によく馴染んでいて美人だ。高身長で掌も大きく指も長い。元々、宮廷音楽家をしている子爵家の出身。彼女も幼い頃から音楽に触れてきているのか、先生としても丁寧でとても分かりやすいので、私はとても彼女に懐いている。更に、宮廷音楽家ということでもあり、この国にある楽譜はたいてい目を通しているだろう、という想定。知っていたら知っていると答えてくれるはずだし、同時にこのスケール練習の楽譜がなければ作らない理由も知りたい。



 私は、本日は休みであるはずの先生を呼び出して申し訳ないと思いながら課題曲はひっこめて体を向ける。



「先生はスケールの練習ってされておりましたか」



 私が突飛なく確認すると、きょとんとしながら



「スケール練習ですか?」



 と、不思議そうに尋ねてきた。私は驚いた表情でとりあえずは指の運動である、と言っては実際に演奏を見せた。音階に沿って上がり、ある程度行ったら下がる。それを、今できる指の動きでパターンを見せて往復してみせると、先生は目をキラキラと輝かせる。



「なるほど、これを毎日されているのですね。お嬢様の指の動きが滑らかに動いていた理由が分かりましたわ」



 私は彼女の言葉に頷くと、顎に手を当てて真剣な顔をする横顔を眺めていた。私はこれを毎日5分から10分はする。これで100%上手くなるわけではないが、やらないよりはやった方がいいし、前世もこれをしてからは、難しい指の動きも割ともつれずに運べていた。絶対にしなくてはならないわけではないが、した方が上達はするだろう。しかし、ずっと音階を上って下ってのパターンが殆どだ。いろいろと動く指の運びを想定して沢山そろえているので、私も全ては覚えていないがどれも単調で面白くはない。子どもにさせるとなるときっとつまらなくて飽きるだろうことくらいはわかる。



 とりあえずは、この練習方法が確立されていないというのは先生の雰囲気を見て確信した。



「あの、こういう練習はされないんですか」


「そうですね、特にやっていませんね。貰った楽譜を読んでひたすら楽譜を練習はしますが、指運びのための練習はしたことがないです」


「あの、これを楽譜に興したら売れますか?」



 今は割とこれが大事だ。私が思い浮かんでいる領地経営をするためにはやはりお金がいる。そのお金を作ることがここからできるのであれば、楽譜を量産するのもやぶさかではないだろう。先生は、考えるように顎に手を当てて、次に私をじっと見つめる。



「そうですね……売れはするとは思います。ただ……、実績が少ないのです。この楽譜を使用したからと言って上手になる人とならない人がいるでしょう。しっかりと上手になる人がいることや、それをすることによって少しでも指運びがスムーズになった実績がないと、難しいかと。音楽は貴族のたしなみですので、楽譜は安くありません。手に取るのは教材としてなのもあるからか、需要も特別ありませんから。ただ、音楽はステータスになりますので、上手になりたいお嬢様方に上手く当てはまれば、爆発的ではなくとも恒久的な安定はあるかと思います。そのための足掛かりでしたらお嬢様、楽譜を作成しましたら、私に預けていただけませんか。私には下の兄弟がおります。お嬢様くらいの弟もおりますので、その子たちに作っていただきました練習用の楽譜をさせたいと思います。そうして実績がたったら宮廷音楽家として活躍している家族を通して広げてもらえないか話をさせていただきたいのです。なので、少し時間はかかりますが、結果が届き次第にご連絡させていただきますよ」



 真剣に対応をしてくれる。私は、先生の言葉を頷きながら聞く。



「分かりました。それなら、先生にその時はお渡しします。同時に、こういう練習曲ではないのですが、作曲した場合もお渡ししてもいいですか」



「作曲した曲をですか?」



「私はあまり王都に行く予定は考えていません。王都に頻繁に行きたいとも思っていませんので、曲を広げるには先生を介したいのです。それに、私はピアノとギターしか弾けないですから、アンサンブルの楽譜を用意ことはできないと思うのです。編曲をお願いしたいと思っていますが、お願いできますでしょうか」



 これでうまく軌道に乗ってしまえば、仲介料なども払いたいと思っていることを伝えると、二つ返事で請け負ってくれた。私の教育も今はとても楽しくしているが、音楽の授業がない日は思っている以上に時間が空いているのだとか。



「……もし、平民の子たちに音楽を教えてほしいと言ったら先生は請け負ってもらえたりしますか」



 将来、学校が出来た時に、もし先生が教えてくれればと思っている。なんでも優しく二つ返事で応えてくれるので、私はつい問いかけてしまった。



 すると、先生は再びきょとんとした表情をするばかりで、先ほどまでの軽い返事が返ってこない。



 これはさすがに頼みすぎただろうかと私自身の表情が強張っていると、先生は真剣に考えだす。



「……平民の子どもたちに音楽を教えるという状況が、今はよくわかっていないですが、もしそのような状況になりましたら喜んで承らせていただきたいです」



 それは、真剣で、声のトーンも落ち着いていて、何か決心をしたような表情だった。



一口メモ:リベルティア編

名前:リベルティア・ロトリフス

性別:女

年齢:18

赤毛で緑色の綺麗な瞳をしている。高身長でほっそりとしている若い女性。とても美人。

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