表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/71

御前会議 二の議題




 ──二の議題


 宰相が述べる。その後を皇帝が引き継いだ。


「こちらは私から話そう」

 五人は黙礼して後、皇帝を見た。


「皆、この国の建国の言い伝えを知っておろうな」

「建国の、言い伝え……」

 五人は顔を見合せた。

「あの、扉の間……の話ですか」

 ランフォード大公が答えた。


 ジグラード帝国の宮殿には、帝国の建国のときからあるという大広間がある。


 そこには、皇帝と皇后の玉座が置かれているが、その後ろの壁には小さな扉があった。二つの玉座の中央。ちょうど人の掌程の大きさで、ほぼ真円の石が埋め込まれている。


「我が帝国の最初の皇帝は我が息子と同じ名のランドル一世だが、その皇后となったのは、あの扉の向こうから来た妖精の女王だと言われている」

 皇帝はそう言った。


 その話はジグラード帝国の者なら子供でも知っている話だ。だが、現皇帝グラディス二世が六代目の皇帝。

 建国のランドル一世の話はほとんど神話だった。


「あの扉にはめ込まれた石は、建国のランドル皇帝、皇后フロレラ様の御世は緑色に輝いていたという。

 ランドル一世崩御の後、フロレラ皇后が扉の向こうにお帰りになり、その輝きが消えてしまった」


 テーブルに着いた諸侯は頷いた。頷いたが、よくわからなかった。

 今、なぜその話なのか。

 この話はどこへ向かうのだろう。


「さて、そこで」


 皇帝は全員の顔を見回した。その口元に笑みが浮かび、少しばかり少年のような表情になる。


「その扉なのだが、実は、しばらく前より石が光りだしているのだ」


 石が……?


 一同は顔を見合せた。


 扉の間にある小さな扉の事はよく知っている。

 建国の神話の話がなければ、見落としてしまいそうな小さな扉だ。扉と言うよりは、扉の形の飾り物とでも言った方がいい。青銅か何か出できていて、確かに真ん中に石がはめ込まれている。

 灰色の、なんということのない地味な石だ。


 それが、光っている?


「我が帝国は、来年ちょうど建国二百年となる。これを吉兆とし、建国祭を執り行うこととしよう」

 皇帝は笑みを戻し、厳かにそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ