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プロローグ
皇宫に到着した。
真っ白い扉の前に案内される。
金で縁取られた太陽と月、そして星が彫刻されている。
ここが建国祭の会場なのだろう。
中からは楽しげな音楽。人々のざわめきが聞こえてくる。
一緒に馬車から降りたランディも、きっとどこかすぐ近くにいる。
フェリは腕に巻きつけた薔薇にそっと触れた。
「フェリ」
リンジーがにっこり笑って腕を差し出す。
フェリはリンジーに笑みを返し、その腕にそっと手を絡めた。
前に立つ公爵が振り返る。
公爵はフェリを見てやはり微笑むと、こう言った。
「さあ行こう、我が姫のお披露目だ」
傍らの侍従が声をあげる。
「オークリー・シア・ラムズ公爵閣下 御入来。
リンジー・サムエル・ラムズ卿 御入来。
フェリシア・ベル・ラムズ公爵令嬢 御入来」
扉が開く。
この小説はアルファポリスにて先行投稿しております。