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黒髪の槍姫  作者: 古東薄葉
第三部 最終章
43/47

第43話 神聖アゼリア・ゲルドの魔術-王女を斬ってもらいます

 

 いよいよ、ルーク王子とサンドラ王女、ノエル達の結婚式が翌日となった日。


 広い屋敷の一室、円形の部屋の中央に置かれた大きなテーブルに並ぶ近衛騎士団の面々、三十人近くの食事会が行われている。

 正面に並んで座っているのは、剣王レオンハルトと神聖アゼリアの外交官ゲルドだった。


「今日は部下まで全員、ごちそうになってしまい、まことにかたじけない」


「近衛騎士団の皆様は、明日のルーク王子の婚礼の儀、昼も夜も警護の仕事、まあ、友好国からの差し入れと思ってくだされ」


 そう言いながら、ゲルドは葡萄酒の入ったグラスをかかげ、全員がそれに応えて乾杯を行う。


「ゲルト殿が、これほど先王のことをご存じとは驚きますな」


「ほっほっほっ、もう十五年も、祖国アゼリアを離れてガリアンで外交官をやっておりますのでのう」


「外交官か。十年前、先王を殺したのはタルジニアの外交官だったな……」


「晩餐会で突然、先王に斬りつけて殺して、本人はその場で自害。悲惨な出来事でしたのー」


「……その時、俺は突然起こった蛮族の反乱鎮圧で城を空けていた。今でも痛恨の極みだ……」

 レオンハルトは歯をかみしめ、心の底から悔しいという表情を見せた。


「そのタルジニアの王女と王子のご成婚、そして国家統合。現王は酔狂ですのお」


「その通りだ!、俺にはまったく考えられん」


 ゲルドは、ニーとずる賢そうな笑いを浮かべた。

「では、斬ってしまわれたらどうです?、明日、タルジニアのサンドラ王女を」


「ああ?」


 レオハルトは意味がわからず、不思議そうにゲルドを見る。


「さすれば、十年戦争の再開でしょう」


 レオンハルトは、手にした酒のグラスをドン!、とテーブルの上に強く置いた。


「バカぬかせ!、俺は反対だが、現王が決めたこと。臣下としては従うのみだ!」


 ゲルドはじっとレオンハルトを見つめた。


「いや、斬っていただきます。十年前、タルジニアの外交官にそうしてもらったように」


「なんだと……」


 立ち上がったレオンハルトの身体がグラッ、と傾いた。

 床を見ると大テーブルを囲むように部屋いっぱいに広がる大きな光る魔方陣が浮かび上がった。


「アゼリアが魔法や魔術で進んでいることはご存じですね。あるのですよ、傀儡の術が。あなたと部下の近衛騎士、自由にさせていただく術がね」


「な……に……?」

 レオンハルトが苦しそうに周りを見ると、何人もの部下達が白眼を向きながらフラフラと立ち上がる姿を見た。


「明日、近衛師団長の剣王レオンハルトにはタルジニア王女を斬り殺していただきます」


「ぐああぁぁぁ……」

 レオンハルトが苦しそうに白眼を向いてうめき始めた。


 キ――ン、ゲルドの持っている小さなハンドベルのような鐘からそのサイズに合わない大きな金属音が響いた。


「合図はこの音。サンドラ王女を斬り捨て、それから、自分の首を斬ってください」


 レオンハルトは意識をなくしたように白眼を剥いて口をだらりと開いてうめく。


「王女……、殺ス……、死ヌ……」



1/10 日刊総合ランキング150位 ハイファンタジー24位になれました。

最近はランキングからも外れて読者も激減する中、お読みいただき大変ありがとうございました。

ぜひ、評価、ブックマークよろしくお願いいたします。

今後の参考にさせていただきたいと思います。

上記の☆☆☆☆☆評価欄で、


★☆☆☆☆ つまらない

★★☆☆☆ こんなもんかな

★★★☆☆ ふつう

★★★★☆ まあ、よかったかな

★★★★★ 面白かった


で、感想を教えていただけると大変ためになります。

ぜひ、ブックマークもつけておいてください。


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