第27話 剣帝vs剣聖
舞踏会が終わって数日がたった。
クラウスの屋敷に来たイエルクがベンチに座って二人の稽古を見ているフローラに近づいていく。
「やあ、フローラ」
「あら、イエルクさん。どうされたの?」
「ちょっと、気になってね」
イエルクはフローラの隣に座り、クラウスとノエルの打ち合いを凝視する。
剣と槍が激しく、素早い動きで交錯している。
「あいつら、毎日、こんなことやってんの?」
「ええ、二時間も、三時間も。半日やってることすらあるんですよ。良く飽きませんよね」
フローラがあきれるように笑った。
「ふーん……」
イエルクはフローラの説明を聞きながら、じっとクラウスの動きを見続けていた。
ガッ、踏み込んだクラウスの打ち込んだ剣を顔の前で両手で握る槍の柄で受け止める。
ノエルはフッとため息をついて、稽古を止めた。
「最近、よく打ち込まれるようになった」
「そりゃ、多少の進歩はあるだろ」
「クラウス」
「なんだ、来てたのか」
クラウスに近づくイエルクの両手にはそれぞれ剣が握られていた。
「久しぶりに、どうだ?」
長剣を構えるクラウスと双剣を持つイエルクが対峙する。
それをベンチからノエルとフローラが見ている。
「剣帝対剣聖か、面白いな」
「イエルクさんも父の弟子だったんですよ」
「へー、で、どっちが強いの?」
「そうですねえ……、いつも打ち合って勝負無しですから、互角でしょうか」
「ほう……」
ノエルは興味深げに対峙する二人を見つめた。
二人の打ち合いが始まった。
猛スピードで振るわれる双剣をクラウスは剣ではじいていく。
初めは二つの剣の利点で押していたイエルクだったが、徐々にはじかれる強さに剣が押し返されて劣勢になり始めた。
頭部に打ち込まれる長剣を双剣を交差させて受け止めるが、その威力にイエルクが顔をしかめる。
「くっ……」
数度の打ち合いの後、カーン、と双剣の片方がはじかれて宙を舞った。
その軌跡をイエルクはガク然として目で追った。
そんなイエルクの様子を不思議そうにクラウスが見る。
「どうした、腕なまってんじゃないか?」
「いや……、お前が強くなったんだよ……」
ノエルが笑いながら近づき、タオルをクラウスに手渡した。
「毎日の稽古相手がお前より強いからだろ」
「そうかな?」
仲睦まじげな二人を見て、イエルクは独り言のようにつぶやいた。
「槍姫相手に、毎日あんな稽古してりゃ、そりゃ強くもなるだろ……」
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