皐月ココに関する報告
もうすぐ皐月ココの誕生日である。
クリスマスにサンタクロースが来るように、皐月家には毎年ココの誕生日になると『タンジョビロース』という青い服を着たヒゲのおじさんがプレゼントを持って現れる。
ココは父親から「タンジョビロースにお願いするプレゼントが決まったらパパにこっそり教えてね」と言われているのだが、なかなか欲しいものが決まらなかった。
というのも毎年タンジョビロースからのプレゼントとは別に、父親と母親からもプレゼントを貰えるので正直タンジョビロースにねだりたいものが特にないのだ。
父親が「何をお願いするの?何にするの?成仏の森?」とやたら急かしてくるのが煩わしくて、ココが「今年はタンジョビロース来なくていいや」と答えると、父親は激しく動揺した。
(なぜっ・・・?)
(まさかタンジョビロースの正体がバレて?)
(俺に遠慮した?)
(なんて良い子っ。天使っ)
(あげたいのにっ。俺はもっとプレゼントをあげたいのにっ)
父親は娘LOVEを拗らせた結果、タンジョビロースなる空想のキャラクターを生み出し、娘の誕生日にふたつプレゼントを贈るのを生き甲斐としていた。
彼にとって誤算だったのは娘に物欲があまりなかったことだ。
娘がちっとも物をねだらない・・・こんな不満を持つ父親は果たして幸せなのかどうなのか。
とりあえずココは毎日それなりに幸せなようだ。




