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見知らぬあの子
私の夢のなかに見知らぬ少女が現れた。
誰だろう。彼女は何も言わずに私の目をしばらく見つめたあと、少しだけ悲しそうな表情をして、そっと手を振って離れていった。
夢はそれだけで終わった。
見たことがない子だ。知らない子のはずだ。しかしあの夕焼け、あの木、あの草原を私はどこかで見たような気がする。懐かしさを感じた。あれはどこだったか。
彼女は夢の終わり際、少し悲しそうな顔をした。私になにかを伝えたかったようにも思えるが。
夢には必ずなにか意味がある。夢の意味を紐解くピースを、大切な記憶の断片を、私はどこかに忘れてきてしまったのかもしれない。
さて。構わず前を向いて歩いていくか。少し足を止めて振り返ってみるか。
正解なんて分からないけど、とりあえずコーヒーでも飲んで、ゆっくり考えよう。




