あの子に関する報告の報告
『あの子に関する報告』とは、なんなのか。
【プロジェクトANOKO】
瑞々しく光り輝きながら毎日少しずつ成長していく『あの子』たち。そんな美しい彼女たちの姿を愛でる目的で結成された謎の組織による活動。
今日は当プロジェクトの定例会議があるため、『観察者』である私も組織本部へと召集された。
観察者とは、『あの子』たちを観察し、その生態を報告書にまとめることを任務とした組織の末端組員のことだ。
「観察者、D」
「はい」
「そなたが観察者に就いてそろそろ三ヶ月になるな」
彼女は神具るり、プロジェクトのリーダーであり本会議の議長だ。なぜかいつも肩にハンディモップを乗せている。
「そなたの報告書は毎日チェックしておるよ」
「は。ありがたきお言葉」
「さっそく本題に入るが、そなたの報告書が『最近マンネリ化している』という声が出始めておる」
「!」
自分でも感じていたことではあるが、人から改めて指摘されるとやはり堪える。
「も、申し訳ありません」
「マンネリが必ずしも悪いことだとは個人的には思わんがな。ま、手は抜かぬことだ。最近、報告書に添付される画像の質が落ちておるぞ。以上。下がってよろしい」
なかなか手厳しい人だ。しかし的確な批判ができるのはそれだけ私のことをよく見てくれているということなのかもしれない。私は観察者だが、同時に観察される側でもあったわけだ。
私も彼女のような、良い観察者になれるようにもっと頑張ろう。
『あの子』たちの魅力を、もっともっと伝えられるように。
と、このようにして作られる報告書、それが『あの子に関する報告』です。




