乙女とシジミのメソッド
珠梨おとめは男っぽい。
身も心も女である。「可愛くなりたい」と願うは少女万有の理。
昼休み。おとめが「あぁ、わたしも女っぽくなりたいなぁ」と何気なくぼやくと、そばにいた友だちが「そういうことなら私にお任せあれ!」と急に張り切りだし、おとめは女子トイレに連れていかれた。
「とりあえず、髪を結おうか」
「えー、髪みじかいから無理でしょ」
「イケるイケる。お、あんた意外に髪の毛サラサラね。シャンプーなに使ってんの」
「お父さんと同じの使ってるけど、なんだっけ。『リンスが要らないメソッド』だっけ。あれラクちんでさぁ」
「いや、そこは母ちゃんのシャンプー使おうぜ」
「お母さんのシャンプー使うと髪がキュッキュしちゃう。なにあれ」
「バカだなそれが良いんじゃねえか。そうだ、チーク塗ってやるよチーク」
「チーズ」
「チ・イ・ク。頬っぺた赤くするやつ。知らんのか」
「知らん」
おとめは友だちに髪を結ってもらい、チークも塗ってもらった。
「わぉ!おとめ超乙女!」
鏡を見る。
「もう女装した男にしか見えない」
「いや、マジで可愛くなってるって。後はそうだなぁ、いつもあんた顔色悪いよね、肝臓が悪いんだよ肝臓。うちの父ちゃんと同じ色だぞ。今日からあんたも毎日シジミ汁を飲め」
「えー、わたし貝キライ」
「可愛くなりたきゃ飲め」
「シジミ~」
可愛くなるのも大変だ。頑張れおとめ。




