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南の島のトコナ・ツッツ
トコナ・ツッツは常夏の島で生まれた。
一年中、夏。好きなことは水遊び、好きな食べ物はかき氷。
トコナの家にはテレビもエアコンも冷蔵庫もなく、お小遣いもない。だからいつも浜辺で遊んだし、かき氷なんて誕生日のときくらいしか食べられなかった。
彼女の夢は、雪が降る国に遊びに行くことだ。何年か前、島に旅行に来た人から初めて雪というものについて教えてもらった。
「空からね、小さな氷の赤ちゃんがいっぱい降ってくるんだよ。寒い国だと、雨が凍って氷になって落ちてくるんだ」
「すげ~」
「雪はどんどん降ってくるからね、キミも、キミの家もみーんな埋まっちゃうよ」
「すごくすげ~」
彼女はじぶんが大人になったら、赤や緑や黄色のシロップをたくさん持って雪の降る国に行こうと思っている。
そこではきっと、かき氷が食べ放題なのだと夢見ている。




