天使のマヨエルに関する報告
今日は良い天気だったので、天使のマヨエルは空の散歩をした。
羽根を風に預けてのんびりと空を漂っていると、とつぜん大きな物音と悲鳴が聞こえてきた。空から地上を見下ろすと、住宅街の小さな十字路で車と人の接触事故が起きていた。マヨエルは心配になって事故現場に向かう。
背広を着たおじさんが道に倒れていた。マヨエルがおじさんの顔をそっと覗き見ると、目が合った。
「わ、あんた天使か?」
彼女はおじさんからいきなり話しかけられて驚いた。ふつう、天使の姿は人から見えないはずなのだが。
「あの、わたしが見えるんですか?」
「見えるけど・・・僕が死んだから迎えにきたんだろ?」
「え?いえいえっ違います違います!あなたは死んでいませんよ!」
「死んでないの?じゃあなんでキミ空から降りてきたの。キミ天使でしょ」
「いや、大丈夫かな~って思って。ちょっと空のお散歩をしててですね、そしたらあなたがですね、えーと。あの。し、失礼しました~っ」
マヨエルは慌てて空に逃げた。
彼女の姿が見えたということは、おじさんは実際ちょっと危なかったのだろうが、幸いすぐに救急車が来て病院に運ばれたようだ。
こんなこともあるんだなぁ、びっくりしたなぁと思いながら彼女は雲の上にある天界へ帰っていく。




