表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日給10円で俺の彼女にならないか 〜『魔王』の異名を持つ学校一の美少女を彼女として雇ってしまった〜  作者: 月城メロン
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/80

第四十九話 ペアルック

「もうびしょびしょだよ」


 芽依は子犬みたいに手を持ち上げて、バタバタさせていた。


 その姿がすごく無防備で、可愛らしかった。


 俺も自分の服を見やると、上着がずぶ濡れになっていた。夏とはいえ、風が通ると、さすがに肌寒い。


 女の子の体温が低いと聞いたことあるから、芽依はもっと寒いはずだ。


「お土産売り場で着替えのTシャツでも買おうか」


 俺がそう提案すると、芽依は目をキラキラさせていた。


「お土産!」


「興味ある?」


「うん!」


「じゃ、行こうか」


 今度は、俺が芽依の手を引いて、お土産売り場に向かった。


 水族館のお土産売り場なだけあって、中には可愛い魚のぬいぐるみがぎっしり詰まっている。


「うわー!」


 芽依は驚嘆の声をあげて、はしゃぎながら俺の手を引いて、ぬいぐるみの間を駆け回った。


 冷房が少し効いてるせいで、俺はますます寒くなったのに対して、芽依はどこか顔を赤らめて、熱くなっている様子だった。


「芽依、本来の目的忘れてるぞ?」


「あっ!」


 やっと思い出したらしい。


「とりあえず、Tシャツのほうを見てみようか……あとで好きなぬいぐるみ一個買ってあげるから」


 芽依がぬいぐるみたちを見つめている目が輝いてたから、俺が考えた末に、一個プレゼントすることにした。


「ほんとに?」


 芽依の目はどこかうっとりとしている。それだけで俺はプレゼントをしようという判断は間違っていないと思えた。


「うん、だから早くTシャツ買って着替えよう? 寒いよ」


「そうだね! 早く行こう!」


 芽依が急いでるのは絶対俺が寒いって言ったからじゃないとなんとなくそんな気がした。


 Tシャツのコーナーに行ったら、これはまたびっくり。イルカ、くじら、ヒトデ、クラゲなどの魚とは言えないようなイラストをプリントされているTシャツの群れがあった。


 普通の魚のイラストのTシャツもあるけど、その割合が断然低い。普通の魚ってそんなに人気ないのかなと俺は少し疑問に思った。


「どれがいい?」


「イルカのやつ!」


 芽依にさりげなく聞いたら、俺らをびしょびしょにした張本人のTシャツを選ぶときたもんだ。この子って絶対憎悪とか憎しみとかそういう感情とは縁遠いだろう……


 別に俺もイルカに憎しみを抱いてないから、二人のサイズに合ったやつを選んで、一枚を芽依に渡した。


「えっ?」


「別に着替えてから会計をしても問題ないだろう? 緊急事態だし」


「いや、そうじゃなくて、なんで私がМサイズって分かったの? 私の身長を見たら普通はSとかにするんじゃないの?」


「胸のサイズも考慮しといたから」


 俺が自慢げにそういうと、芽依が自分の透けてる服を見下ろして悲鳴をあげた。


「いっきってデリカシーなさすぎ!」


 そういわれるのは心外だな。


「じゃ、Sサイズ着て、胸のところがパンパンに締め付けられてもいいのか?」


「ううっ、それにしても、なんか釈然としないよ……」


「いいから、いいから、さっさと着替えてぬいぐるみ選ぶんだろう?」


「そうだった!」


 そういい終わると、芽依は試着室に駆け込んでいった。


 やれやれ、ほんとに単純な子だな。そう思って、俺も試着室に入った。




 

 試着室から出ると、芽依はすでにぬいぐるみのコーナーにいた。


 俺が近くに寄ると、芽依は俺を見つけて、二ヒヒと笑った。


「ペアルックだね!」


 芽依にそう言われると、俺の顔に熱がこもったのが自分でも分かる。


 隅に設置している鏡を見てみると、私と芽依はまるで付き合い立てのカップルみたいに同じイラストのTシャツを着ていた。


 とりあえず、濡れた服を着替えたい一心で、俺は何も考えずに急いで芽依の好きそうなイルカのTシャツを二枚選んだ。今考えたらそれが命取りとなった。


 これって歩くとすごく恥ずかしいやつだ。普段なら別のTシャツに着替えるところだったけど、濡れたまま着替えたせいで、俺の身に纏っているイルカのTシャツも少し水分を含んでいる。さすがにこの状態で、何食わぬ顔で別のTシャツに着替えてこのTシャツをまた売り場に戻す勇気がない。


 終わった……平日で人が少ないのは唯一の救いだ……


「私、これがいい!」


 芽依の指さした先に、巨大なくじらのぬいぐるみが置いてあった。値札を見てみると5800円(税抜き)と書かれてある。


「いくらなんでも大きすぎない?」


 俺は値段のことを伏せつつ、大きさにダメ出しをした。


「やだ、やだ、クジラはでかくないとクジラじゃないもん!」


 ごもっともだね……


「じゃ、それ持ってレジのとこに行こうか……」


 あきらめざるを得ない。わがままモードになった芽依に何を言い聞かせても意味がないってのは今までの経験から明らかだ。


 芽依は嬉しそうにクジラのぬいぐるみを抱っこした。クジラちゃんはどれくらい大きいかというと、それを抱っこしてる芽依の大きいはずの胸が全く見えなくなっているくらいだ。芽依の胸と張り合える、いや、勝るなんてある意味すごい。


 それにしても、Tシャツにしても、ぬいぐるみにしても、なんで全部哺乳類なんだよ……イルカは芽依から聞いてるし、クジラはテレビ番組で紹介されたことがあって哺乳類だって知っている。


 ここってほんとに水族館なの? ってそう思ってしまうのは俺だけじゃないはずだ。


 会計を済まして、俺らはお土産売り場を出た。


 芽依はクジラちゃんを愛おしそうに抱っこしていて、俺は制服を入れた紙袋を持っていた。そして、芽依とペアルック……


 絶対周りの人からバカップルだと思われてると思うと、俺は内心でため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ