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第一章:桜花女子中学校潜入編④


 夜、ネトゲ、『アルヴァマー大陸物語』にログインする。

 最初の数時間は、村田と狩りに出かける。

【昨日のあの子、大丈夫かな?アデーレといったっけ。】

【お屋形様、大丈夫ですよ、来たきゃ来きますよ。彼女がログインしていれば、俺たちに通知が来きますので。】

【それもそうか。】

ということで、モンスター狩りを楽しんだ。しかし、回復魔法が使える人が居ないのが難点だ。アイテムの薬草と使うのは限界があるし、すぐに、洞窟に入っては、出て宿屋に泊り、洞窟に入っては出て、入っては出て、の繰り返しだ。

 先週末からゲームを初めてずっとそうだ。やはり楽になったのは昨日の午後、アデーレの持っていた、課金の杖だ。確かに、楽である。

 しかしそれは、いじめにより騙されて課金されたものであることも決して忘れてはならない。

 

 ゲームを初めて、一時間が経過したころ、アデーレがログインしたという通知があった。しかし、彼女がログインして、最初の一時間前後は僕たちのところにチャットが来なかった。

 その一時間前後が経過したところで、僕たちのところにチャットが来た。

【みなさん、今どこにいますか?】

 そういうことなら、ギルド本部、ハルジオンの町の郊外のぼろい民家に集まることにした。

 ギルドの本部に、アデーレがやって来た。

【今日、行こうかどうか迷ってました。】

僕ら二人にチャットが来た。

【To:アデーレさん>どうしたの?】

【To:マラータさん>私の装備、新しくしましたよね。それを、友達が不愉快に思ったらしくて、さっきまで、私にも買って、と言ってきたりして。】

 ああ、そうだ。僕たちが彼女に防具を買い与え、新しい装備にしたのだ。なるほど、僕らにも落ち度はある。

 申し訳ないことをしてしまった

【To:アデーレさん>ごめんなさい。そうだよね、友達がねたんじゃうよね。】

【To:マラータさん>大丈夫。今日、皆さんのところに行かないといけない、と思ったので。私たちの学校、私立の学校なので、朝、礼拝の時間があって、神様がそういっている気がして、今日もひどいことを沢山されたのですが、帰ってお祈りをしていると、皆さんのところに行きなさいと、誰かが言っている気がして。】


 流石は、神様だ。僕もグリークラブや、高校の劇で、讃美歌や、聖書の劇をやったことがあるが、流石、愛してくれる人だと感じる。


 【To:アデーレさん>よく来てくれたね。ありがとう。】

僕は彼女にチャットを流した。

【To:アデーレさん>差支えなければ、今日、どんなことされたか話してもらっても大丈夫?】

村田は、チャットを流した。少しの沈黙の時があったが、アデーレから、返事が来た。

【To:マラータさん>今日は、このゲームでの装備の件で、いろいろ、悪口言われたのと、タピオカを先輩から驕らされたのと、その他暴行を受けたのと、それと・・・・・。】

彼女が、チャットで黙った。

【To:アデーレさん>どうしたの?言いにくいの。】

一瞬の沈黙

【To:マラータさん>あの・・・。言わないでくださいね。】

【To:アデーレさん>もちろん。】

【To:マラータさん>水泳部の練習中に下着を隠されました。まだ、見つかってなくて・・・・。下着、付けてない状態で帰ったんです。】

なんと、それは女の子にとって、一番陰湿で最悪ないじめだ。まずい。ヤバい。

【最低最悪。最低ですな。お屋形様。いじめた奴。】

村田は、誰宛てか付けない状態で、僕と、アデーレに周知するようにチャットで書いた。

【ああ、最低だ。そんな奴、会ったら、ぶっ飛ばしたい。】

僕は、そうチャットで書いた。


 あれっ。もしかすると・・・・・・。

 

 村田は相変わらず、チャットで、彼女に慰めに行く。アデーレも村田と仲良くなったようだ。

 僕はふとボーッとしていた。何か危険信号がともっている。

 しかしその危険信号はラインの通知によって、一瞬かき消された。ラインの主は村田からだった。


【お屋形様、アデーレを連れて狩りに行きますよ。お屋形様、チャット読んでますか?】


 いくつもの、村田とアデーレの会話がチャットに書かれた後。

【To:クロワールさん>お屋形様、狩りに行きますよ。】

とあった、僕は我に返り、しかし、この危険信号が、消えたわけではなかったので、チャットにこう返信した。

【To:マラータさん>ごめん、今日は無理そうだ、二人で行ってきて。

 To:アデーレさん>二人で、楽しんできて、いろいろ教えてもらっておいで。】


 村田のラインにも、こう、メッセージを入れておいた。

【すまん、返信した。今日は僕は無理そう。二人で行ってきてくれ。】

【そうっすか、了解です。】

村田からラインの返信があり、

【ところで、明日、私、健康診断で、午後早退するんですよ、おそらく早く健康診断が終了するので、飯食いに行きましょう。今日の夜は何も食べていないんですよ。だから、お屋形様と一緒に健康診断が終わったら、たくさん食べたいなと思いまして。お屋形様、暇ですよね?ずっと自宅にいるのですから。】

村田らしいなあと思い、二つ返事をするかのように、了解した。と返信した。

たしかに僕たちの年齢からすれば、1日人間ドックのような、午前中から実施するような健康診断ではない。会社によっては午後から実施だってありうる。

なるほど、健康診断で、早退かあ。


 なぜかこれも引っかかった。


 そうだ、こんな偶然、めったにお目にかかれない。

 アデーレからのいじめの内容を僕も聞いたじゃないか。タピオカをドリンク代を全員分払わされたと。

 そして、下着を隠されてまだ見つかっていない。となると・・・・・・。


 今日、タピオカドリンクの店に現れた女子高校生の集団がいたじゃないか。一番背の低い赤いリボンの子を見たじゃないか。

 その子のピンクの財布の中身を、その集団は我先にと奪うように受け取っていたじゃないか。


 そして、きょろきょろしていた理由もわかった。冷え汗をかいているのもわかった。もちろん、階段の前で震えて、エレベータを使ってホームへ上がった理由も。

 そう、下着をはいていないからだ。ノーパンだからだ。周りに見られたくなかったからだ。


 その時、ラインの通知がなった。

【お屋形様、まだログインしていますよね。】

【大変です。すぐ来てください。場所は、ハルジオンの闘技場です。】


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