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第一章:桜花女子中学校潜入編③

 翌朝、村田の指示通り、今まで作曲した曲を演奏している動画をYouTubeにアップした。とりあえず、ストックはかなりあるので、試に、3曲アップした。その中には僕が作曲した曲を村田が歌っている、もしくは村田がギターを弾いていて、その後ろで僕がピアノを弾いているものがあったが、このような村田が映っている動画に関しては、村田から直々に許可が出ているので、遠慮なくアップしてもらった。

 その後、僕が作曲した中でも、合唱曲や、吹奏楽の曲など、僕と村田の2人では演奏できない、アンサンブルの曲を作曲ソフトの楽譜再生機能を使用し、それを画面動画で撮影した動画を作成してアップロードした。

 当然、YouTubeに曲の紹介がてらコメントを書いていった。そして、僕の運営している、たけだブログでも『お久しぶりです、活動を再開しました。作曲した曲をYouTubeにアップしたので、よければ聞いてください』と久しぶりにブログに投稿した。

 作業は実質午前中で終了し、お昼ごろには、『お久しぶりです。YouTubeも始めたんですね。もっと早くやってほしかったです。曲、聞いてみますね。すごーい』という内容のコメントをいくつかもらい、再生回数が増えていた。いくつか低評価も見受けられたが、それよりも好評価の数の方が多かったのは安心した。

 とりあえず、一日に1、2曲ずつくらい、アップしていくか。と手ごたえを感じていた。


 先週末はネトゲを沢山やりこんだので、今日は出かけようと思い、午後は外に出かけることにした。

 再就職の相談をと思い、午後は、ハローワークに出かけた。失業手当の説明や、次の仕事の探し方など、説明を受けた。

 実際、家の近所に出るのは久しぶりのような気がした。改めて、ここは首都圏の政令指定都市の一つなのだと改めて実感する。東京も電車一本で行けるし、ハローワークなどの施設も電車やバスの公共の交通機関が発達しているお蔭で、移動の時間が短く感じられる。

 そしていい運動に自転車も使用している。ハローワークぐらいまでなら今後は自転車で行けそうだと確認して、次からは自転車で行こうと思った。

 確かに、今まで出張や、会社で寝泊まりしていたから、この町の良さは分からないなと思った。自由な時間を持つことができ、改めて、社会人になってから、この町に住んでよかったなと実感している。

 失業手当の説明を受けていると、僕は思ったより手厚く保証が受けられることが分かった。それを踏まえたうえで貯金の状況を計算すると、2年近く、無職の状態で居ても何の問題もないことが発覚した。確かに、転職を一度行い、年収もかなり増えたし、出張や寝泊まりの状況であまり何も使うことがなかったのだから、かなり貯金もあることに今更ながら気づいた。

 このことが発覚したうえで、ハローワークの人は、いっそこの間に資格の勉強などをして、業界を変えてみたらいかがですかとも言ってきたので、しばらくは勉強をやりつつ、リフレッシュすることにした。


 一連の相談をハローワークで終えたときには、夕刻になっていた。皆それぞれの家に向けて帰宅するころだ。僕もハローワークから帰路に着くが、もう少し、周辺を探索してみたいと思った。

 ハローワークの最寄駅はハローワークから少し離れたとことに存在する。しかも、沿線上に歩いていくのだ。そうすると、必然的に、最寄駅と隣の駅の丁度真ん中に、なるかならないかというところに存在していた。

 そうならば、隣の駅まで行ってみよう。隣の駅は乗換駅で、快速も停車する比較的大きな駅だ。

 だんだんと町の中のような雰囲気になっていく。県庁や、警察本部を通り過ぎ、ホテルや商店街のような場所がいくつか立ち並び、やがて隣の大きな駅が見えてきた。

 駅の周りには、色々な商業施設が立ち並んでいる。さすがに歩き疲れたのか、わからないがものすごくのどが渇いていたことに気付き、駅に入って、駅のタピオカドリンクのお店を見つけ、それを注文することにした。

 

 注文の仕方に戸惑う。まずはベースとなるものを選ぶ。フルーツジュース系の場合、カルピス、紅茶、サイダー、から一つ選ぶ。次に、マンゴー、アップル、レモン、メロンなどから一つ選ぶ。ここまで、店員に教えてもらう。

「えっと、じゃあ、マンゴーとカルピスで。」

 僕は、戸惑いながらも、これならおいしそうだよなという組み合わせを選んだ。

「はい。プラス50円で、トッピングできますが、トッピングはどうしますか。」

 と聞かれてさらに戸惑う。聴くところによると、フルーツを入れたり、サクランボを乗せたり、アイスを乗せたりとできるのだそうだ。

 別になくていいと思い、やらなくていいことを伝えた。そして、氷の量、ドリンクのサイズを聞かれ、料金を支払った。

 慣れていないのか、何かわからないが、かなりの時間を要した。


 料金を支払った後、受け渡しの窓口へと案内され、数分後に、比較的大きなカップに収められた、マンゴーとカルピスのタピオカドリンクを受け取った。

 まだ4月ではあるが、どうも夏らしい雰囲気が漂い、のども渇いていたので、大きめのサイズを注文した。

 

 タピオカドリンク店の、正面にいくつかイスとテーブルがある。休憩スペースだろう。

この休憩スペースが空いていたので、僕はそこで、タピオカドリンクを飲むことにした。

椅子に座り、テーブルにドリンクを置き、手にはスマホを操作しながらくつろいでいる。平日のこの時間にくつろいでいるのは何か不思議な感覚がしたが、別に今まで頑張った分、リフレッシュの時と思えば別にいいだろうと思った。

 4月は休日出勤分の代休と、有給の消化期間だし。5月の連休を過ぎないと何も手続きができないとハローワークの人に言われたのだから、それまでは別にいいだろうと思った。何も考えず、ただひたすら、YouTubeを試験的に運用して、資格の勉強をしようと思った。


 ぼんやりドリンクを飲みながら、座っていると、制服を着た女子高生らしき集団が現れた。全部で7人、全員がそれぞれ鞄の他に、水に強そうなバックを持っている。水泳部か何かだろうか、髪の毛もおしゃれして結っている女子もいるが、少し湿っている人がいるのもうかがえる。ただ、大方は着替える際にドライヤーで乾かしたのだろうか。

 顔の色、目の色が明らかに違う人が一人いた。この集団の中で一番背の低い、肩まで髪をおろし、毛先がゆるふわエアの女の子が一人、あたりをきょろきょろしている。顔色も蒼白な監視がした。水にぬれたのではなく、冷や汗をかいている雰囲気だ。

 制服の胸元には赤いリボンがしてあり、この一番背の低い女の子と、もう一人が赤いリボン、他の5人は紺色と白色のチェックのスカート、黒いブレザーに白のブラウスは一緒だが胸元のリボンは青いリボンをしていた。

 その、一番背の低い赤いリボンの子が、カバンから、自分のピンクの財布を取り出し、財布の中身を他の6人に配っているように見える。

 6人の女子は財布の中身をもらうと、先ほど、僕が購入した、タピオカの店へ並んでいく、注文の仕方は、明らかに先ほどの僕より早い。

 ん?一番背の低い子は、タピオカを注文しないのか?ぼんやり佇んでいるように見える。他の女子高生は、自分の注文した分のドリンクを飲み、もしくは、このタピオカの店は、クレープも一緒に売っているので、注文したクレープを食べている。

 やがて、一番背の低い子は、他の人が飲み終わった容器、食べ終わった紙くずを回収して、ゴミ箱に捨てに行く。

 その間に、クレープを食べていたり、タピオカドリンクをさっきまで飲んでいた他の子たちは、その一番背の低い子に目を合わせ、手を振って帰宅していった。

 

 背の低い女の子が一人取り残される。しかし、顔色は変わらず、冷え汗をかいているような雰囲気だ。


 あの集団からいじめを受けているのだろうか。少なくとも今日、お金を払わされたのは事実だ。

 

わからないようにあの子について行ってみよう。

僕は、昨日のネトゲの一件と同じようにほっとけなさを感じついていくことにした。


 彼女は、駅の改札口へと向かう。改札口に入ると、何と僕の家に向かう電車のホームへと向かっている。僕の家はこの駅から一つ隣の駅だ。

 つまり、僕の家の駅から一つ目の駅で、この大きな駅、二つ目の駅で、ハローワークの最寄り駅となる。


 だが、女の子はホームへ続く階段の前で戸惑っている。スマホを見ているわけではなく、手提げかばんを、ギュッと持ちながら、小刻みに震えているように見える。足も、両足を完全に閉じている。


 少し戸惑い、女の子は併設されているエレベータに乗りホームへと向かった。一体何で、戸惑っていたのだろう。

 これ以上追うのも、難しかったので、僕は今日の追跡をやめて、電車に乗り、一駅隣の自分の家の最寄り駅で降りて、自分の家に帰宅した。



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