第一章:桜花女子中学校潜入編:序
広い会堂の正面に、青い背景色の大きなステンドグラスがある。ステンドグラス中央には十字架、そして、十字架に磔にされたキリストが描かれている。
会堂の両側には3つずつ、合計6つのステンドグラスが描かれ、それぞれ、聖書の創世記、神が安息される最終日を除く、天地創造の一日目から六日目の情景が描かれている。
キリストの十字架のステンドグラスの脇にはパイプオルガンが設置され、これまた今にも大きな澄んだ音色を出すかのような、たたずまいだ。
会堂には長椅子の席が、いくつか置かれている。1000人くらいは入れる。
会堂の中央の席、年頃の少女が一人、祈を捧げる。
この礼拝堂から見れば、その少女の影は小さいが、その少女の小さな祈りを、神の愛は見過ごしていないようだ。
「神様、あなたが本当にいるのなら、聞きたいことがあります。本当の友達とはなんですか。私は胸が張り裂けそうです。親にも、先生にも言えません。私は一人です。助けてください。」
少女は、一人、祈っていた。ただひたすらに祈っていた。
やがて、祈り終えて、会堂をあとにした。
その後、会堂に併設されている、長い廊下を歩き、更衣室と呼ばれる建物に向かい、一人、水着に着替えると、その更衣室に併設されているプールへと向かった。
一人ぼっちのマーメード。
少女にふさわしい、称号なのだろうか。