男の娘は立ってます
少し設定に無理があったので変更しました。
初日は色々と面倒だと思っていた煙寿はウキウキで自宅に帰っている。
予定より早く帰れるので自宅に待ってる人に会えるのがとても楽しみなのだ。
しかも、家で待ってる人と同じ星零に任命されたのだから余計に話したいのだ。
「アハハハハ!最高なのです!」
帰り道でこんなテンションなのですれ違う人は引いているが、本人はそんなことを気にせずに5着ある制服の内1着を持ち帰って見せたくてたまらない。
そんな時に自宅まであと50mのところで爆発音が聞こえた。
その時周辺はどよめいたが煙寿だけはすごい形相でそっちを睨みつけた。
それからすぐにリュックに入れてある制服の上着を着て周辺の人々に言った。
「異能省の者です!皆さん避難してください!私が急行します!」
大声でそう言うとみんな少しづつだか指示に従って離れた。
それを確認してからリュックを持って移動の準備をした。
「反転!私を浮けるように色々とチェンジ!」
これによって垂直にだが重力の向きを変えたことで浮いた。
範囲はそんなに広く無いのである程度浮くと能力が解除される。
それで最高到達点まででは無いが浮いていった。
「ここからなら見える!目標を発見したので飛び込みキックだ!重力を反転の反転で重く!衝撃耐性も反転で上昇!」
そう言うとすぐに能力で反応が起きて急降下を始めた。
爆発を起こした張本人は壊れた建物の瓦礫の中をまだ歩いているので、そこを目指して隕石の如く降っていく。
それに犯人は気付いて逃げようと動き始めた。
「逃がさんなのです!」
そう言った時にはすでに着地が近いなので逃げられはしない。
ただ、着地の衝撃で犯人を殺してもいけないので寸前のところで地面を柔らかくする。
それで安全に着地するのだ。
対象が硬ければ柔らかくする必要なく吹っ飛ばすのだが、今回は見た目だけなら普通の人間なので着地に気を使う。
それで柔らかくした地面にドーンと逆転する怪物が降り立った。
「異能省異能犯罪対処部隊神奈川支部異能犯罪対策課星零隊員神坂煙寿です!長いけど自己紹介したのでさっさと捕まりやがってください!」
着地時の砂煙の切れ間から制服の異能省のマークを見せながら律儀に名乗ってやった。
その姿はガキにしか見えないので犯人の男が舐め始めた。
「おいおい!こんなガキみたいのを働かせてんのか!さっきのには驚いたが火力には自信があるんだぜ!」
そう言うと男は手元で能力の爆弾を発生させ始めた。
それを見た煙寿は呆れ気味に宣言した。
「そんなちっぽけな火力ならくらっても立っててやります!かかってこいなのです!」
挑発とやられない宣言をすることで犯人の逃げる気を削ぐ。
これは対能力に特化してる煙寿の常套手段だ。
これにはめられてやられた奴は多い。
そんなことを知らない犯人はふざけた隊員に向けて光弾の爆弾を放った。
「ふざけやがって!これで吹き飛べ!」
この時の犯人はすごく勝ち誇ったような顔をしてきた。
それに対して煙寿はニヤリと笑って小声で能力を使った。
「反転。強いを弱いへ」
その直後にあれが爆発を起こした。
その音と爆発の大きさは建物を粉々にするレベルで外から見ても助からない見た目だ。
それを間近で見ていた犯人は調子に乗っていた隊員の有り様に笑いを堪えてすぐに逃げようと背を向けた。
「さっさと逃げねぇともっとやばい奴が来ちまう!」
そう言ってそこから逃げようと一歩踏み出した途端に背中に小さな手が触れる感触がした。
犯人は振り返らなくてもそこにいるやつの予想がついていた。
だから、瞬間的に時間稼ぎできる程度の爆弾を作り出した。
それを振り返りつつ相手の方に向けて爆発させた。
「これで今度こそいなくなりやがれ!」
その爆発は小さいがかなりの威力があった。
それで今度こそやった手応えを感じた犯人は相手の様子を伺った。
すると、ほぼ無傷でそこに煙寿が立っていた。
宣言通りに立っている相手に驚いた犯人は腰を抜かした。
そして、弱々しい声で言った。
「なんで!どうして爆発をくらって立ってやがる!」
それに煙寿は純白の襟を見せながら答えた。
「答えは私が強いからなのです。それなのにあなたが機嫌を損ねるから余計に遊びたくなってしまいました。本当ならもう終わってますよ」
それを聞いて犯人は戦意を喪失して諦めた。
そこに支部長がやってきた。
「おっと、先に君がいていたのか」
「えぇ、自宅が近いので帰り道の異能犯罪者ならやってもいいかと思いまして」
「構わんよ!その代わりちゃんと引き渡してもらうがな」
「分かってます。彼は戦意を無くしておいたのでもう連れて行けますよ」
「では、連行するとしよう。また明日職場でな」
この会話の直後に支部長は犯人を無理やり立たせて無理やり引きずりながら連行して行った。
その後を見送った煙寿はしばらくしてやってきた消防隊などに現場を引き渡して帰って行った。
帰るまでの道のりで何度か拍手を送られたが気にせずに自宅に向かった。