3-9 立ちはだかるもの(2)
「キリエさん。最近の雑用ルート、ちょっとハードモードすぎじゃないですかね? これもゲームの仕様なんですか?」
ゼノにはかっこいいこと言ってみたが、いい加減、挫けそうです。
机になみなみと積み上がった書類と、殿下の仰せのままに取り揃えられた分厚い本の山。
これらを全部読んでまとめて、生徒会室則の改定案を提出しろ、だなんて、この忙しい新学期初頭にやらせなくても。
絶対これ、ただの思いつきでしょう。
「まぁ、リリの仕事じゃないにゃ」
「ですよね。って、キリエさん。じゃあこれ、何で?!」
「リリが何かしでかしたんじゃないか?」
「ヴァイオリン?! あのヴァイオリンの呪い?!」
ハァ、とため息を吐くお猫様には何か分かっているのだろうか。
ちっとも心当たりのないリリさんに、懇切丁寧に教えていただきたいのだが、生憎と攻略お猫様はここのところちっとも役に立っていない。
「でもキリエ。王子ルート攻略には、せっせと雑用に励むのが必須なのよね? だったらこれ、量がバグってるとしても、やらないと駄目なのよね……?」
「まぁ、やらないよりはやった方がいいと思うにゃ。というか、ご主人様が設定してないイベントを起こしたのはリリ自身だにゃ。仕事をどうにかしたければ、先にイベントを回収するのが得策にゃ」
「イベント? 回収? まって、キリエ。この仕事の山が、イレギュラーイベントだと?」
どんなイベントだよ、それ。ていうか、心当たりがないんだってば。
てっとり早く選択肢とか出してくれないだろうか。
「えーっと。①テキパキ仕事を仕上げて出来る女アピール? ②仕事を放棄して怠惰で駄目なリリを許してアピール?」
「両極端すぎにゃ」
「で、三つ目はさしずめ……」
うーん。うぅーん。
「③鬼畜モードの殿下を癒して仕事を減らしてもらう……」
そう言ってチラリと見やったのは、真新しい立派なヴァイオリンケースだった。
どうしようかと散々悩んだあげく、寮の部屋から持ち出した“カプリチオ”。貰ったものを大事にしていますよアピールとかしてみようかと持って来たのだが、もしかしてこの気まぐれは、イベント攻略のための先駆けだったのだろうか。
でも持っているだけでは意味はないから、弾かないと。かといって生徒会室でいきなり弾きだしたら、せっせと仕事に励んでいる皆にも悪いし、生徒会長にも『暇なようだな』とか、仕事を増やされそうな気がする。
「あ、そうだ。王子攻略は生徒会室六、旧聖堂四だったわよね。じゃあ旧聖堂に行こう!」
うん、それがいい。そうしよう、と、目の前の仕事を切り上げ、ヴァイオリンとキリエを掴んで立ち上がる。
「リリ、たださぼりたいだけにゃ」
「王子ルートは雑用六、音楽四。これは至極真っ当な、ルート攻略のためのお役目なのです」
なんて言って見せながら、扉に手をかけ、ちらちらっと辺りを見回す。
よし、王子の姿はない。
このタイミングを逃すはずも無く、こそこそと抜け出し、音を立てないよう気を付けながら生徒会館を出てゆくリリに、「やっぱりたださぼりたいだけにゃ」なんてことをお猫様が呟いていた件については、聞こえなかったふりをしておいた。
◇◇◇
空の加減がよろしくない。
花月の終りには夕暮れ時の通り雨が多いのだが、この様子だと今日も一雨降るかもしれない。
空を眺めながら、少しばかり足早に小道を通り過ぎて、小さな旧聖堂へと飛び込む。
きょろきょろとあたりを見回してみたが、生憎と王太子殿下はいらっしゃらない。
時折、らしくも無くうたたねしている座席も一つ一つ確かめてみたけれど、やはりいなかった。
生徒会館にいないならここかなと思ったのだが、無駄足だったか。
「リリ、降り出したにゃ」
いないなら、リリがここにいる必要もない。引き返そうか、とため息を吐いていたところでキリエがそう口にしたものだから、リリも窓辺に歩み寄った。
「あらら。ギリギリセーフというか、タイミングを逃したというか」
これじゃあ、しばらくここで雨宿りするしかない。
「何か弾こうかな」
「明るいのがいいにゃ」
すかさず注文を付けて、ピョンと椅子に飛び乗って居場所を定めるキリエは寝る体勢のようだが、明るいのでいいのだろうか。
「じゃあなんか適当に弾くね。ジプシーっぽいのにしようかな」
年末以来ちょっとはまっている音色を思い出しつつ、すぐに開いたヴァイオリンケースから、つやつやと美しいヴァイオリンを取り上げる。
相も変わらず、触るのがもったいないくらい綺麗なヴァイオリンだ。
でも見かけによらず、僅かな湿度一つで機嫌を変える気儘なこの子は、弾いてみるまでどんな音がするかわからないから、あまり神経質にはならず、適当に音をとって、適当に奏でてみる。そうすれば今日の機嫌がだんだんと分かって来て、ヴァイオリンにあわせた音色へと音楽を変えてゆく。
本当に、面白い子だ。
くああっ、と大きなあくびを溢すキリエもすっかり寛いできたようで、リリも煩わしいことを忘れて音楽に没頭する。
うぅむ、至福の時間だ。
「たりり、りらぁり……うーん、何だか今日のカプリチオは、アンニュイな雰囲気があいそう」
キリエの注文とは違うけれど、明るい曲調から少しテンポを落として、短調に転調する。
むむ。思いのほかいい感じの郷愁感になってきた。
「たーんらった、たーららーら……」
「リリ。誰かいるにゃ」
「ん?」
ピクリと耳を動かすキリエの言葉に、手を止めて聖堂の扉を振り返る。
誰か。それはもしかして、という淡い期待に、ギシと古めいた音を立てて開いた扉に視線がひきつけられる。
もしかして。もしかしたら。
「すんません。邪魔したっすか?」
でもヒョコッと扉の隙間から現れたのは、あの鮮やかな金色の髪ではなく、それより頭一つ小さな身長と、優しげな黄茶色の髪の少年だった。
ピンと糊のきいた真新しい制服。何処からどう見ても、貴族のお坊ちゃん。
でも何だか脳裏によぎったのは、古びた城下町の賑やかな年の瀬の様子。
「あれ? ニール……君、だったっけ?」
「あ、やっぱりお嬢様だ」
そうニカッと笑った人懐っこいその人は、王太子殿下などではなく、かつて町で即興楽団に交じってヴァイオリンを弾いていた、件の少年だった。
確か、前宮廷楽士長ベンホーフト師のお孫さんで、現楽部庁長官の息子さん。
「なぁんかいい音色がするんで聴いてたんですけど、邪魔しちゃったっすね」
「ううん。ていうか、何でここに? ここ、学校の地図にも載ってないくらい辺鄙な場所なのに」
よく分かったわね、と、取りあえず手招きして中に入るように促した。
外のスコールはどんどんと強まっているし、いつまでもそんなところに突っ立たせておくわけにもいくまい。
「なんでって、それは多分、お嬢様とおんなじ理由かな?」
そう自分の背中を見やってみせたニールに、たちまちリリも「あ、そっか!」と苦笑をこみあげさせた。
去年のリリと同じだ。自由に楽器を弾く場所が無くて、学内をウロウロと彷徨っていたわけだ。
「でもここ、いつもは鍵がかかってるのよ?」
「知ってるっすよ。前にも一度来て、鍵がかかっててがっかりしたんです。でも今日は中から音がしていたから、開いてるのかと思ったら」
お嬢様がいた、というニールに、なるほどと納得する。
「ところでお嬢様。俺も何か弾いていいっすか? もう一週間もまともに練習できてないんですけど」
「あぁ、どうぞ。私はいつでも寮で弾けるから」
「生徒会寮、ってやつですか? あー、音室がある寮とかいいっすね」
無駄口を聞きながらもテキパキと楽器を下ろしてヴァイオリンを取り出したニール少年は、調律もほどほどに、急くようにして弦に弓を乗せた。
このカレッジにも、この聖堂にも、ちっとも似つかわしくない町の楽団の奏でるような民間の音楽だ。それこそ、ジプシーを感じ出せるような、規則も情緒もない誰でも口ずさめそうな旋律が、何やら少し懐かしさを思い起こさせる。
「いやー、こういう音楽とか、流石に周りの耳が有る所じゃ弾けないっすからね。お嬢様は気にしないみたいだけど」
「聞いたことないけど、何だか懐かしい感じの曲ね。即興楽団の持ち曲?」
「大体そんな感じっすね。でも下町の方じゃ、女の人達が家事とかしながら日常的に口ずさむ民謡ですよ」
「他には? どんなのがある?」
「子守唄とかどうっすか?」
俺のお気に入りです、といって曲調を変えたニールに、いつの間にかすっかりと聞き入っていたリリも、うずうずとヴァイオリンを触りたい衝動に駆られてゆく。
真似して、音を分厚くして見ようか。
そう自分のヴァイオリンに目をやったところで、じっとこちらを見るキリエの視線に気が付き、手を止めた。
何だろう?
「キリエさん?」
「5」
「はい?」
「4」
「えーっと」
「3」
「何のカウントダウン!?」
「2」
「待った待った待ったっ」
不吉な予感が……。
「1」
「ほぉう。まだ遊んでいる余裕があったとはな」
「ひぃぃっ!」
もうっ。こんなことだろうと思ったんだよ、と振り返った先で、扉に半身を預けた王子様が、これでもかというほどの白けた面差しをなさっている。
それはもう、表情というものが一切見当たらない、絶対零度の形相だ。
「キリエっ、何でもっと早く言わないのよ」
「可哀想なのはリリに巻き込まれた少年のほうにゃ」
ハァ、とため息を吐くキリエの言葉に、はっとして振り返ってみれば、ニール少年が真っ青に青ざめて硬直していた。
あぁ、そうか。彼も入学式やらオリエンテーションやらで、生徒会長であり王太子殿下であるユーシスの事を見知っている。
こんなところでいきなり遭遇すれば……うん、そうなるよな。
リリと違って、しまったぁぁ、とか言って逃げ出さないだけ、ニール君は立派だ。うん。
「ち、違うんですよ、殿下ッ。これはその、えーっとっ」
「仕事が足りてなかったようだな。まだ誰かを連れ込んで遊びほうける余裕があったとは」
「えっ?! いや、ちがっ」
「違う? 君とも大層気の合いそうな、君好みの年下じゃないか」
「こ、このみ?!」
なんかこれ、選択肢間違った系か? イベント攻略失敗なのか?
いや、待て! 待て待て私! 頑張れ私! ここでミスったら、あの雑用の山が更に増えることになるぞッ。
「これはっ、そのっ」
「……」
その。つまり。えーっとっ。
「に、肉串のお礼なんですッ!」
「……」
あ。間違えた。
「っぷっ。くっ、に、肉? え、今更ッ?!」
だがどうやら緊張で魂が抜けていたニール君は復活したみたいだ。いや、復活されても困るんだけど。
「い、いや、ちがくて。そうじゃなくて、えっと」
頑張れ私。今そこで可哀想なものを見るような顔になっている殿下の心証を良くしないと、本気でバッドエンドだぞ。
だから要するに。
つまり私は。
つまり、私は。
「私は……っ。その。だから。ここに来たら、殿下がいるんじゃないかな、なんて……おも、って。その……」
でもいなくて、代わりにニール少年が来たんですけど、と言葉を濁しながらも、何故か頬が異様なくらいにカッカと熱くなった。
あぁ、何でこんなこと程度に赤くなっているんだ、私。
ていうかこんなこと言ったところで、大魔皇帝さまが許してくれるはずなんて……はずなんて。
「あ、あれ……」
チラと見上げた先の王子様が、何故か顔を手で覆い隠し、何やら黙ってうつむいていらっしゃる。
もしかして呆れられてる? 馬鹿にされてる? はっ。嘘だと思われている?!
「いや、嘘じゃないですっ。本当です! 大魔王様が大魔皇帝様になるくらいお忙しいみたいなので、被害を……じゃなかった。心配になって、癒しを提供しようかと思ったのですが……ていうか、殿下がすぐに来ないのが悪いんですよ!」
「……」
「キリエが、殿下の出現ポイントは生徒会室六で旧聖堂四だとかいうから……って、そうじゃなくてっ。つまり、その、要するにっ!」
あれ。何で私、逆ギレしてんだろう。えーっと、そうじゃなくて。
王子攻略。王子攻略っぽいことを……。
「殿下を待ってたんです!」
うん、これしかない! と、意気込んで、拳を握って見せたところで、じっとこっちを見る薄いブル―の瞳が、僅かに細く。うすらと笑ったような気がして。
何やらその顔に、またしても異様に頬が熱くなった。
くそぅ、なんだ。この変なドキドキは。
「えっ、えーっとっ。俺、ちょー邪魔なようなんで消えますね。お嬢様、場所貸してくれてあざっした。もう邪魔しないんで……あ、俺本当に、楽器弾く場所探してただけなんで。ここにいたのも偶然で、お嬢様とは何でもないんで。ご心配なく」
こそこそっと壁際を低い姿勢で潜り抜け、ヴァイオリンケースを担いで出てゆくニールに、ユーシスはチラリとも視線を寄越すことなく、出てゆく彼に代わって一歩、聖堂に足を踏み入れた。
何やら無性に緊張感が高まる。
「彼は……スオウが言っていた、例の“サボり”の時に君が遭遇した子爵令息か」
「うっ。ハイ。そうです」
その辺も、もうバレバレなわけね。
「彼がここにいたのは偶然だと?」
「偶然です! 練習場所を探していたところ、ここで私が弾いている音を聞きつけてしまったらしいです!」
「私を待っていたというのは?」
「ッ」
いや。そう言ったのは自分だけど。自分だけどさっ。
くぅぅっ。何でこんなに恥ずかしいんだ。
「嘘か」
「ほ、本当ですッ。本当に本当です!」
クス、と口元を緩めるこの人も、一体どういうつもりなのか。流石は大魔皇帝……いや。今の表情は、リリも良く知っている、大魔王様の顔だろうか。
セーフ。なのか?
「それで?」
「えーっと。それで、というのは」
「何を弾いてくれるんだ?」
「あ。何にします? 何でも弾きますよ? あ、殿下、オルガン弾いてくださいよ。先程、民間でよく聞く子守唄っていうの教えてもらったんです」
弾いてください、とねだるのは流石にやりすぎだっただろうかと思わなくも無かったのだけれど、気分を害した様子のない王子様は、思いの外素直に上着のボタンを外して、聖堂の隅の小さなオルガンに向かった。
どうしたんだろう。ちょっと怖いくらい素直だ。
べ、別人?
「何だ? 続きは? どんな曲だ」
「あ、はい。えっと……」
てくてくと近くまで歩み寄って、ユーシスに貰ったヴァイオリンを構えて見せる。
よく分からないけど。なんだかこのイベント、いけそうな気が……。
「確か、こんな……」
「こんなところにいたッ。ユーシスッ、リリ!」
ばーんっ、と開け放たれた扉と、切らした息。出ばなをくじかれてがっくりしながら振り返った先で、スオウの必死の形相が目に入り、思わずリリも苦言を飲み込む。
な、なんだ? 今度は一体。
「荒れ狂ったように仕事を増やすだけ増やしておいて、何処行ったかと思ったらッ。二人とも、何してるのかな?!」
「あ、あれ。えー」
「悪いのはリリだ」
「えっ、えーっ?!」
何言ってるんです、殿下! この裏切り者ぉ!
「何言ってるの、ユーシス。とっとと生徒会室戻って! 君が積み上げた仕事なんだから、君が何とかして!」
「……まったく」
仕方がない、と、開いたばかりの鍵盤蓋を締める様子に、何やら妙にがっかりとした心地がした。
あぁ……折角恥をも忍んでここまでこぎつけたのに。
「スオウさまのばかぁ」
「そんなこと言っていいの? リリ。君の行方不明のせいで、“君の可愛いゼノ”が書類に埋もれてるのを知らせにきてあげたのに」
「よし、帰りましょう! 今すぐ生徒会室に帰りましょう!」
はたらくぞぉー! と意気込みながら、未練など微塵も無いかのようにヴァイオリンをしまって踵を返すリリに、チリリと大魔王様の機嫌が損なわれていることなんて知る由も無く。
「ほら、二人とも、早くっ」
そう急かすリリの後姿に、スオウはチラリとこの忙しさの元凶を見やる。
見るからに不機嫌な王子様。
いつも冷静だの社交的だの言われる彼とはかけ離れた、ただの一人の男としての従弟の姿。
こちらをジロリと見やった視線の鋭さには、口にはしないだけで、よくも邪魔をしてくれたな、と言わんばかりの忌々しさが隠すことなく投影されているようだった。
でもそれでも。
そうだとしても。
『これは、どういうことなんです?』
ふと脳裏によぎるのは、ほんの数十分前に行きあったハトコの、ひどく理性的で冷たい面差しと、威圧的な声色だった。
『貴方だって、知らないわけじゃないでしょう?』
そう。知っている。知っていたけれど……でも、まさか、だなんて。
『メットゥ・エ・アリアはレ・ドレッシェンにス・テラーを捧げた』
慈愛の乙女は人の子に、この豊かな土地と豊かな国を。そして、その代わりに――。
『己の代わりに、国を与えた。人の子は、神の徒ではなく人の王となることを選んだ』
だから、その瞬間から、この国の歴史には一つの不文律が定められた。
『人の王の子は、決して慈愛の乙女の子と共にあることはできない。それは決して覆ることのない、“キリエンヌの掟”です』
貴方が傍にいながら、何をしていたんですか? と。
“メットゥ・エ・アリア”と“レ・ドレッシェン”の両方の血を引く者へと投げかけられた言葉に、どうしようもなく胸を撃ち抜かれる思いだった。
分かっているけれど、認めたくなかった従弟の変化と。
掟にも何にも縛られず、ただ自由で思うがままにあるだけの可愛いハトコを取り巻く現実と。
そしてそれから。
それから。
『セリア大叔母様の降嫁は、キリエンヌ最大の譲歩であり、神域と俗世を隔てる壁としての役目を担ったものだった。その役目を継ぐはずの“貴方”が、何故傍観しているんです?』
ただ平和に。平穏に、見守ることすら許されない。
『でもゼノ。私は……リリには、その……』
『私に、姉上を想う気持ちが無いとでも言うんですか?』
違う。そうじゃない。分かっているのだ。
でもそれでも。そうであるからこそ。
『キリエンヌの掟は絶対です。それが、“慈愛の乙女の訓戒”です』
『……あぁ』
そう。キリエンヌは中立であり、永遠にそうであるための、有史以前からの不文律。
『人の王の子は、神の子を得ることは決してない――』
それこそが、レ・ドレッシェンがこの豊かな土地と国を賜る条件だったのだから。




