第104話 戦利品
とりあえず皆と合流し、猫獣人の引き渡し先を確認した。
ラックさんが襲われた事と僕が狙いだった事から近衛兵がこってり絞ってくれるらしい。
直ぐにフジさんが来て連れて行った。
「おお、そうじゃ。マナミさん、黒髪の男が、そこの丸太と白い粉を届けに来たとか言っておった。」
マドリーさん達と戦っていた男に飛び掛かった時には気がつかなかったけど丸太と白い粉が置いてある。
あの人は運び屋だったのだろうか?
『あ〜の・・・白い粉は高級品みたいなんで早く収納した方が良いですよ。』
とコルトさんが念話で直接脳内に語りかけてきた。
高級品?と思いつつ書かれている文字を見ると塩、砂糖、小麦粉と書かれていた。よく見慣れた懐かしいパッケージのやつ・・・。
『マナミの嬢ちゃん、早くしまってくれないか?さっき呪われてないかどうか調べる為に鑑定したら砂糖とか塩って出たんでな。価値のある物だと判ったらそこら辺のやつが持ってくし、異界樹なんて希少なものも誰かに狙われるかもしれないからな。』
エンさんも直接脳内に語りかけてきた。
異界樹!?
『ああ、それ世界樹とか宝樹とか言われている樹木と同等だからな。早くしまえ。』
そんな代物を放っておくわけにも行かないので急いで収納した。
そんな珍しいものの説明文が気になったのでコマンドを開きアイテム欄を見てみると・・・
クロータイガー(冷凍凍結)
パワーパンサー(冷凍凍結)
フラワーライオン(冷凍凍結)
マウントチーター(冷凍凍結)
スカイオセロット(冷凍凍結)
ミミクリーキャット(冷凍凍結)
ジャミングジャガー(冷凍凍結)
以下略
こんな感じの表示がたくさん出てきた。
どれも説明文は氷漬けにした仮死状態の魔物と出た。
収納の魔法もとりあえずは生きてないと判定しているらしい。
今回の戦利品はこんなものばかりである。
目的の物は一番下にあった。
異界樹の丸太
異界固有種の木。その世界の特定の国では結構自生している。ある国では樹齢千年のものもある。その国では花粉症の原因でも有名。
・・・・・杉?
え?なんで杉?杉ナンデ?と考えていると
「マナミ、ちょっと話があるから一人で来てくれないかい?」
マドリーさんに声を掛けられた。
なんの話だろう?
マドリーさんはみんなから少し離れた所まで歩いた。僕はそれについて行く。
「このくらい離れてるなら大丈夫なはずだ。まず、村で渡された魔石は持っとるね?」
ええ、大切に収納してます。
「そうかい。その魔石とさっきの樹を使ってアンタ用の杖を作りな。作り方はエルフなら知っとるからラックかジジィに聞きな。」
あれ?マドリーさんじゃダメなんですか?
「あたしゃ、そういった道具を作るのが苦手でね。この杖は結婚する時にジジィに作って貰った大切なものさ。」
マドリーさんの表情は柔らかかった。
その時のことを思い出しているのだろう。
「さて、本題に入るかね・・・。数日前、未来予知が得意な昔馴染みと会ってね、そん時に言われたんだよ。アタシが王国に捕まるってね。だから早めに亡命する事を勧められたのさ。」
マドリーさんが話し始めた本題は中々ヘビーな話になりそうだ。




