第103話 身体強化
「身体能力の低い人族に殴られるとは末代までの恥にゃ!本気出すにゃ!」
猫獣人の少女はより猫の見た目に近づいていた。
その見た目は猫というよりは豹に近いかな?
「【固有魔導書】を探す前にお前を始末するにゃ゛・・・」
誰を始末するって?
飛びかかってきたので拳をお見舞いした。
「やっぱり変だにゃ!?魔力が無いのにどうやって身体強化を使っているんだにゃ!?」
彼女の言う通り今の元の姿の僕にはMPや魔力といったものはない。
なので覚えてはいるものの身体強化の魔法を使ってはいない。
全て僕の素の力だ。
固有スキル発動!ELF body!
光が僕を包み込んだ。
「え?マナミさん!?」
「にゃ!?エルフになった!?マズイにゃ!?コイツは相手にしちゃいけないタイプだにゃ!マナミってコイツが【固有魔導書】かにゃ!?ヤバイにゃ・・・逃げるが勝ちにゃ!」
猫の獣人は背を向けて一目散に逃げ始めた。
これだけラックさんを攻撃しておいて逃がす訳ないだろ?
と言ってもエルフの身体だと力が下がるんだよな・・・。
よし、瞬間移動で先回りして足を引っ掛けて倒しますか。
そう思い瞬間移動を使おうとしたら・・・その時不思議な事が起こった。
固有魔法:超身体強化を習得しました。
この世界に来て初めて|ムゲンノマドウソウセイ《固有スキル産》ではない固有魔法を会得した。
固有魔法:身体超強化
(消費MP毎秒1)
使用者の身体能力を向上させる。
種族の限界を超えた強化をすることができる。
へぇー。人の時より力の弱いこの身体で使うとどうなるのだろうか?試しに使ってみよう。
固有魔法発動!身体超強化!
僕は逃げる猫の獣人の前に回り込み脚を引っ掛け倒して押さえ込んだ。
「にゃ゛!?離すにゃ!エルフにゃのにゴリラの獣人並みの筋力にゃ・・・。身体強化とかの次元じゃないにゃ!」
酷い言われようである。種の限界(今はエルフ)
を超えているのでエルフにしては身体能力が高いくらいの筈なんだけど・・・。
どうやら違った様だ。
どうして身体強化すら使えなかったのにその上位互換みたいな魔法を覚えたのだろうか?
あとで考えよう。
「これで魔法を当てられます。拘束魔法!」
ラックさんが魔法で猫獣人を拘束した。
「離すにゃ!獣人を不当に扱うなにゃ!」
猫獣人は暴れながらこう言っているがラックさんに襲いかかり僕を狙っていたのでとりあえず警察機関みたいな所に突き出そう。
ネコ科の魔物とも関連があるかもしれないし・・・。
引き渡しに行きますか。
「そうですね。ダーリンやお婆ちゃん達も心配してるでしょうから戻りましょう。」
皇都東門
2人組が門の上に立っている。
「失敗しましたね。猫の獣人さん。」
「そうだね。まさか本当にブラック・ネームと同じ容姿のエルフがいるとは・・・しかも彼女が異世界人とは・・・。」
「私はあの方さえいればいいんです。その為にはブラック・ネームが邪魔なんです。
協力してくれますよね?勇者ジュン・クロセ?」
「ええ、私は私の目的の為に動いているのでね。その中に貴方の望みを叶える事と似た様なものがあるのでやりますよ。(さて、あの異世界人は中々厄介だろうな)」




