第7話 ウェスティンの街4ーギルドマスターの無理な頼み
ギルドマスター室
「小娘、ブラック・ネームって名前かい・・・。
ネームね・・・。」
老婆はため息をついていた。
「あのクソジジィと長老は元気かい。お前の祖父さ。」
「ジジィさんと長老さんは元気でしたよ?でもどうしてそれを知ってるんですか?」
と質問をするとマドリーさんは、フードをとってこう言った。
「離れて暮らす旦那と父親の事を聞いたらおかしいかい?」
戦闘中も顔を隠して全く見えなかったが、耳が長い。紛れもなくエルフだった。
僕は苦笑いをした。
(同時に何故か物凄く嬉しかった。)
「お婆ちゃんと呼んでくれるかい?」
ブラック・ネームとしてなら呼んでいるかもしれないけれど僕は彼女の姿をした別人だ。
マドリーさんに事情を説明しなくては・・・
僕はマドリーさんに事情を説明した。
僕が黒瀬真名美という異界の住人である事、
自分のスキルの事
それに、なぜ彼女がいないのか・・・
彼女は暫く考えてから
「怒らないんですか?」
「怒るも何もあんたがいなきゃ、今頃、孫娘は・・・。まあ、孫がもう1人できたと思えば良いさね。」
・・・何だろう?
嫌な感じはしないが、嫌な予感はする。
「影の狼が出たって本当かい?」
「はい。」
村から旅に出た時に僕が倒れていた附近に狼らしきモノの骨が転がっていたし、村人数人で追い払ったと聞いている。
「たいしたもんだよ。アレの群れに囲まれたら一体も狩ることが出来ずにやられてしまうのに。
ありゃ、Aランクの魔物になるからね・・・
それならばさっきの試験で突然使った上級魔法と合成魔法について納得がいく。」
マドリーさんでも厳しい戦いになるのか・・・
そんな事を思っていたら、
「マナミ、お婆ちゃんって呼んでくれても良いんだよ?」
と言ってきた。
・・・あ、やっぱりか。ごめんなさい、無理です。
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今、私の口からはお婆ちゃんとは言えない。
例え、言える状況でもギルドマスターとして呼ぶであろう。
近くにいたとは思わなかったが、どこかの街のギルドマスターをやっている事は祖父の話で知っていた。
聞いてたよりすごい人だな・・・。
でも、なんで弱い老婆のフリなんかしてたんだろう?
あ、マナミさんが困る事を言わないでよ。もぉ〜
固有スキルSoul起動シマス
え?スキルの起動?
マナミさんは何もしてない筈なのに・・・何が起きてるの?