第96話 回避したい未来
緑の炎の使い手・・・それってマドリーさん?
そう思った瞬間、エルフの老夫婦とその付き人の角の生えた男が何かに切断されているのが見えた。
ここで魔眼の未来予知か・・・。
「マナミの嬢ちゃん!今の見えたな?」
確かに見えた。
見たくもないけど見えてしまった。
この世界に来て良くしてくれたエルフの老夫婦の無惨な姿が・・・。
「ヤベェぞ。東側の酒場付近だ。時間がなさすぎる。ストレンジの姐さん、マナミの嬢ちゃん!一緒に来てくれ。」
「私も行きます!お婆ちゃんなんでしょ?」
「いいから、お前は来るな!」
エンさんは万が一の時の事を考えてラックさんを行かせたくないのだろう。
僕は少し考えてからエンさんに
「先に行って下さい。固有魔法で直ぐに追いつきます。」
と言った。
「わかった。先に行ってるぞ。リリアン、アリシア、調査隊の方々を避難場所まで送り届けてくれ。」
ストレンジさんとエンさんが出て行き他の人達は避難場所に行った。
ラックさん、バレなきゃ・・・ね?
「え?マナミさん?」
皇都アールツー東側
エルフの老夫婦と角の生えた男が見た事のない服装をした男と対峙していた。
「ふん、この緑炎と笛の妖精に喧嘩売るからどんな力量かと思えば大した事ないね。」
エルフの老婆は不敵に笑いながら対峙している男に言い放った。
「ギルマス、何か変です。あの男の周囲から魔力が無くなっています。」
ツノの生えた男は自身が持つ眼を使い対峙している男を見ている。
しばらくすると角の生えた男は脱力感に襲われた。
「ギルマス、ジジィ様、魔法を使えますか?」
角の男はもしやと思い、自分の上司であるエルフの老女とその伴侶に確認をしてみた。
「うむ。そうじゃな、カルソニックよ。儂の固有魔法がかき消されておる。」
「カルソニックじゃないです。コルトです。」
「今はそんな事どっちでもいいさね!あんたも使えないんだね?ケトル。」
どうやら2人とも魔法が使えないらしい。
角の生えた男自身も先程から身体強化を始めとした魔法から魔眼、スキル及び固有スキルまで使えなくなっていた。
周囲を見渡すと魔石で動いている魔道具(街灯やネオン等)が消えている。
「大丈夫ですか?マドリーお祖母様!」
「フン、誰がお祖母様だい?ハナタレ小僧が。」
「ジジィちゃんとノルトちゃんも大丈夫?」
戦いの場にこの国のトップである男とギルドマスターの少女がやってきた。
「そいつか。俺の国で暴れた事を後悔させてやる。」
「あの男、強そうには見え・・・って元の姿に戻ってる!」
少女は竜の姿に戻っていた。




