第95話 所有者
ラックさんがエンさんに何があったかを説明し終えた。
「成る程な。女神に遺跡の主で喋る腕時計型の魔道具ね。さっきから聞こえている声はそいつのか。」
え?
「アタイにも聞こえてるぞ?」
「私も聞こえてます。」
エンさんだけではなく、アリシアとリリアンさんにも聞こえているらしい。
「私には聞こえませんね。残念!」
「うるせー!少し黙れ!」
「え、リリアン!?」
どうやら教授以下調査隊の方々には聞こえないらしい。
この際、リリアンさんが笑いながらキレたのはスルーしておこう。
「我の声が聞こえるのか!さては汝ら時間か空間に所縁のある力を持っているな?」
僕は魔眼と魔法と固有スキル、ラックさんは魔法、エンさんは未来を見る眼、アリシアは収納系統の空間魔法をそれぞれ持っている。
あれ?リリアンさんは?
「機能の説明がまだだったな。我と一緒にいる時に門がある迷宮を踏破すると使えるようになる。
迷宮は全部で5つ。迷宮の名前は鍵穴、三角錐、十字、森、そして我の地下遺跡。ただし、使えるのは所有者である転生者、転移者限定だが。」
へぇ〜。あれ?
「何を言っておるのだ?所有者はマナミ・クロセ、汝になっておるだろう?」
「「え〜!?」」
これには僕もラックさんもビックリ。
「門自体が転生者か転移者しか作動できないのだから当たり前だろ?」
僕たちは皇都のギルドに行くことになった。
地下遺跡の地図を写しを出すとそれなりのお金になるらしい。
ギルドに入るとストレンジさん(少女)が笑顔で迎えてくれた。
「お疲れ様〜。教授が喜んでいるという事は進展したんだね?」
ここに来るまで教授は笑顔のままだった。
周囲が引くくらい・・・。
「はい。エルフの御二方のお陰であの遺跡の全容が明らかになりました。」
と助手の人が代わりに答えた。
「い〜や、大収穫でしたよね。門が起動出来ることも分かったし、」
教授が話し始めたけど、これ長くなりそうかな?
「叔父様?後で、叔母様に言っておきます。身内の恥なので。」
と姪はピシャリ。
「ギルドマスター、報奨金の用意が出来ました。」
奥から袋を持った女性が現れた。ストレンジさん(秘書)だ。
「はい、ラックちゃんとマナミちゃんには報奨金ね。」
僕たちはストレンジさん(少女)から袋を受け取った。
「アリシアちゃんとマナミちゃん?北国に行くなら急いで帰って来なさいね。闘技大会に間に合わないから。」
え!バレてる!?
「マナミさん?北に行くってどういう事ですか?」
「マナミさん、二重依頼はダメですよ!」
ラックさんとリリアンさんに釈明をしようとした時に冒険者の1人が勢いよく扉を開けて叫んだ。
「ギルドマスター大変です!東側の門付近で緑色の炎が上がっています!」
緑色の炎って・・・。




