第92話 時空間の神様
『その問いについても我が創造主様が答えてくれる。』
その腕時計の一言でラックさんは目を瞑った。
するとラックさんは何処かへ消えてしまった。
一体どこへ?
『我が創造主の庭とだけ言っておく。汝も早く行くがよい。』
僕は目を瞑った。
「もう目を開けていいですよ。」
その声に従い目を開けるとラックさんと見知らぬ少女がいた。
辺りを見回すとそこはどこかの薔薇庭園の様な場所だった。
「貴女は・・・?」
「はじめまして。私の名前はクロノ。私は数多の世界の時間と空間を管理する者です。あなた方の世界では神と呼ばれる存在になります。」
「その女神様がどうして私達をここに呼んだんですか?」
「まず、あの世界は何をしても本来滅びるはずでした。」
え?
「滅多にやらないのですが私は自分の管理する世界に異世界人を送る事が出来ます。それで破滅を迎えない様にします。
しかし、あの世界だけはどんな人物を送り込んでも滅びます。それをどうにかしようと思い知り合いに相談したですが・・・。」
女神が伏し目がちになりながら続けて言った。
「その知り合いが自分に任せろと言い、大雑把な仕事をした為に本来は身体ごとの転移の筈が満身創痍のエルフに転生するという事態になってしまいまして・・・。結果は今のところ良好なんですけどもね。なんと言ったらいいか・・・。申し訳ございません!」
凄い勢いで謝られた。
この女神は相談しただけで大雑把な仕事をした知り合いが悪い。
恐らく僕に話しかけた人物だろう。
逢えるか判らないけどあったら一発殴ってやる。
後、謝罪させる。
「黒瀬真名美さん、報酬として貴女を元の世界に戻しましょう。」
名乗っていないのに名前を知っているという事は本物の女神様?
魅力的な提案をされたけど、それは・・・
「勿論、貴女が戻りたいタイミングで構いません。」
任意で選べるなら異世界生活を堪能してから帰ってもいいかな?
「それとブラック・ネームさん。貴女はどの時間軸でも死ぬ予定でした。しかし、貴女の存在こそが世界の行方の鍵になっています。どうか、愛する人と添い遂げるまでは生きてください。」
ラックさんが存在しない事で何か悪い事が起きて世界が滅ぶのかな?
「これ以上はあなた方に直接干渉が出来ませんが、色々な手段を用いて希望が見えた世界を終わらせない様にします。何か質問はありますか?時間的に1つが限界です。」
ラックさんは真剣な顔をしてこう言った。
「アルフィアは魔道具ですか?」
え!そこは自分が居なくなるとどんな事が起きて世界が滅びるとかじゃないんですか?
「魔道具です。欲しいのなら前払いの報酬として差し上げましょう。使い方は彼自身に聞いてください。」
そう女神が答えると僕たちの体は光に包まれて視界がぼやけたと思ったら腕時計の前に戻ってきていた。
「可愛い女神様参上!美味しい紅茶持ってきましたよ。」
「・・・」
「あの転移者がここに戻ってくるのは今日でしたよね?」
「・・・」
「聞こえてますか?マリー?」




