第91話 遺跡調査4
「さっきから誰かが念話で話しかけてきてるんですが、迷宮の管理者ですか。それが階段を消したんですね?」
ラックさんには迷宮の管理者と名乗ってはいないらしい。
「マナミさんは普通に魔法が使えていますけどこの迷宮、魔力に干渉するみたいで上手く魔法が使えないはずです。」
そうは言っているけどラックさんも魔法で灯りを確保している。
「その顔は信じてませんね?試しに念話をしてみますね。」
『マナ ザザ 聞こえ ザザ 』
ノイズ音が聞こえる。
「本当は瞬間移動してからすぐに念話を使って位置を特定し合流したかったんですけどこんな感じだったので・・・。マナミさんに話しかけているのは管理者で間違い無いですね。念話が鮮明という点から推測にすぎませんが。下り階段が見えましたね。次の階層に行きましょう。」
ラックさんと話をしているうちに階段を見つけ次の階層に進んだ。
「それにしてもこの迷宮、変ですね。」
変?何がですか?
「迷宮の割に一本道って事や罠が無ければ魔物も出現しないと言った事です。普通は宝があってそれを取りづらくしている罠があったり、魔物が出現したりするのですが・・・。」
確かに。先程から一本道を進んでは階段を下りそこから真っ直ぐに進んでまた下り階段だ。
それに宝もなければ罠や魔物にも出会っていない。
この疑問には管理者が答えた。
『今は汝らを我の元にこさせるのを優先しているのでな。それらのない道を作らせてもらった。汝と話がしたいというお方がいるのでな。早く来い。』
僕をラックさんの目の前に落とした時と同じ要領で自分の前に僕らを落とせば?とか思ったが、
『入ってきた者たちを分断したり合流させたりは出来るのだが我の前に出すとかはできん。』
と言われてしまった。
地下6階にきた時に一本道ではあるが階段はなく扉があった。
「この扉の先が迷宮の管理者がいるところですかね?行きましょう。」
2人で扉を開いた。
扉を開くと台座がありそこには腕時計が飾ってあった。
まさかあの腕時計がアルフィアとか言わないよね?
『そうだ。我がアルフィアである。早速で悪いが我の創造主である女神と会ってもらう。目を瞑るのだ。そうすれば我が創造主の元に行ける。』
そのまさかだった・・・。
「時計が喋ってます。」
ラックさんのテンションが高い。
魔道具が好きなのは前々から薄々感じてたけど今は抑えて。
罠じゃないかな?目を瞑っている間にやられるのでは?
『どこまでも疑り深い娘だな。我はそんな卑劣な事はせぬ。創造主と会わぬとここから出さぬぞ!』
変えるためには、この腕時計を信じるしかないのか・・・。
「あなたは魔道具ですか?」
ラックさんの目が輝いていた。




