第76話 巻物《スクロール》作り2
前の話の投稿日予約の日付を間違えてしまい月曜日投稿となってしまいました。
申し訳ございません。
「出来そうか?」
僕が機械音声との会話(?)をしているとエンさんが話しかけてきた。
ちょっと待って下さいね。
試作に再チャレンジしますから。
う〜ん。付与しようとすると何かしらの制限が掛かって細かく設定は出来ないのか・・・。
同じ水も氷も水蒸気も化学式H2Oなのだから出来ないのは変なんだけど・・・。
あれ?化学式H2O?
あ!使えそうな魔法がもう1つある!
思い違いの魔法
化学式を用いてその物質を生成する魔法。
そう思ってそっちから作り出してみる事にした。
結果は失敗だった。
物質の三体(固体、液体、気体)とそれに符合した温度は調整できたのだが、量が設定できず物質とその状態(三体)によって固定値になってしまう。(水の場合、固体は氷1個、液体は100ml、気体は3秒水蒸気がでる。)
固有魔法毎に出来ることが違うとなると思った通りの内容の巻物が作るのは難しい。
《水》の量と《思い違いの魔法》の物質の三体(と温度)を同時に付与できないだろうか。
僕のこの疑問に意外な人が口を開いた。そう、大蛇を解体した侍女である。
「同時に付与ですか・・・。出来ない事は無いとは思いますが、付与魔法とは本来重ね掛けが基本でございます。相性の悪い組み合わせもあるので注意が必要ですが。」
どこかの工房の方か魔法使いだったんですか?
「フジとか私が使っている武器の付与をしているのがアンナさんの旦那さんで、口癖のように言っていのよ。」と女騎士。
この人の個人情報が少し気になります。
・・・じゃないや。同時に付与できるかどうかだった。
「マナミさんの固有魔法を付与する固有魔法には使用する魔法の個数は記載されてなかったですよね?」
とラックさん。
彼女は部屋を出る前に僕の固有魔法の内容を確認している。
その時の事を思い出したので僕に聞いているみたいだ。
「あー、固有付与魔法ってやつだな。ステータスの詳しい説明は道具により付与できる魔法と内容は異なるってなってるな。」
お義兄様は魔眼で固有魔法の内容を見ていた。
あの・・・僕も一応乙女なんで魔眼でみるのやめて頂けないでしょうか?
そう思っているとラックさんが察したようでエンさんの足を踏んづけていた。
その様子を執事と侍女は呆れて見ていた。
似非侍と女騎士は・・・笑いを堪えていた。
魔法はイメージ。
それなら都合のいい所だけ付与できる様にイメージをする。
僕は紙の上に両手を置き
固有魔法:固有付与魔法を発動した。
付与する魔法は《水》と《思い違いの魔法》
ーオンドトブッシツノジョウタイヲセッテイシテクダサイ。ー
試しにエラーになるかやってみた。
固体で温度は100℃、60ml。
100℃の氷は有り得なくは無いのだけれどこの場では存在しない筈。
ーエラーガハッセイシマシタ。タダシイアタイニシテクダサイ。ー
よし、失敗した。
取り敢えず冷たい水の巻物を作ってみる。
液体で温度は10℃、200ml。
ーショウチイタシマシタ。ー
よし、成功した。
ーセイブンハドウナサレマスカ?ー
成分?
(100mlあたり)
ナトリウム:mg
カリウム:mg
カルシウム:mg
マグネシウム:mg
硬度:mg/l
何か変な表示が出てきたので適当にやって見た。
ナトリウム:1.7mg
カリウム:0.2mg
カルシウム:1.5mg
マグネシウム:0.2mg
硬度:46.mg/l
ーイジョウデシュウリョウイタシマスー
音声が終わると同時に手をかざしていた紙に何か書き込まれていた。
「これが新しい巻物ですか。変な魔法陣ですね。」
「なんて書いてあんだ?というかどこの言葉だ?ドットお前、読めるか?」
「俺にも読めない文字が入ってんな。完成品を鑑定してみたらコップ一杯の冷たい水が出る。
使っても壊れないし量産不可で1日1回だけ使えるって出た。ってやばい代物じゃないか!」
みんなは完成した巻物を見た感想を言っているけど、僕にはこの魔法陣に見覚えがある・・・というより・・・。
それはペットボトルのラベルに表記されている成分表示だった。
「なんて書いてあるんですか?」
「書いてあるのは僕の世界の言葉です。内容は、水の中にどんなものが入っているかです。」




