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今日から始まってしまった異世界生活  作者: ドロップスター
2章 奔走するエルフ生活
77/140

第74話 ありがとう

「皆の者!しばらく席を外す。楽にしていてくれ。」

そう言って陛下はラックさんの後を追いかけて行った。


陛下の姿が見えなくなった途端、騎士や侍達は笑っていた。

「アレはないわー。」とか「そりゃ怒るな。」とか言いたい放題言っている。

「皆様!客人の前ですよ?しっかりなさい!」

と侍女が一言。その一言で王座の間は静かになった。

この人は本当に何者なの?


数分後、皇帝陛下は頬に紅葉をつけて帰ってきた。

隣には機嫌が直ったラックさんがいた。

陛下は王座に座りラックさんは僕の隣に来た。


「では、気を取り直して・・・。我が妻になるならそなたの祖父母の様な立派な冒険者となって欲しい。」

と陛下が話し始め、

「具体的にはどういった事でしょうか?」

とラックさんが聞き返した。

打ち合わせ・・・した?


「そうだな・・・。」

陛下は言い淀んでいる。

(打ち合わせしてないな。)


「複数のギルドマスターから認められて初めてなれるSランクだ。期待しているぞ。」

箔を付けろってことですね。


「頑張りましょう!マナミさん!」

え?僕も!?

慌てる僕の様子を見て周りの人達は笑いを堪えていた。

こうして僕らの謁見は終わった。

謁見が終了すると同時に護衛の騎士や侍達は散っていった。持ち場に戻ったのだろう。


部屋に残ったのは女騎士のクレルさんと侍風の男性フジさんのさんと執事のバトさん。

「あんたね・・・。」と女騎士(クレルさん)は呆れており、

「ブラックさん、コイツが変なこと言いはじめたらまた、ビンタかましてやれ。」

侍風の男(フジさん)は腹を抱えながら言った。

バトさんは陛下を睨んでいた。

しばらく睨んだ後、いつもの柔らかい表情に戻りため息をつきながら

「ラック様用の部屋がありますのでご案内いたします。フジ、クレル私と共に来なさい。」

と言い、4人で王座の間を出て行った。


4人がでて行った後すぐに陛下が近づいてきて

「ラックに聞いたんだが、ドレス、ありがとうな。」

と頭を下げた。


「あれはたまたま成功しただけですよ。」

「そうか。でも本当にありがとな。

それはそうと・・・盗賊姫の話を聞いてやってくれないか?捕らえた、あいつの部下達の話を聞いてふと思ったんだが、国が乗っ取られている可能性ある気がしてな。気のせいなら良いんだが・・・。

このままだと1人で無茶をしかねない。頼めるか?」


国が乗っ取られてるという事は彼女の家族(王族)に何かあったのだろうか?

・・・さっきのアリシアの表情と目の前の陛下のシリアスな感じから只事ではないのは確かなようだ。


「話を聞くくらいなら。それでは行きますね。」

そう言って僕は王座の間からでて地図を取り出し、アリシアがいる場所に行った。

そこは彼女に用意された来客用の部屋だった。

「よぉ、来たか、妹エルフ。」

「呼び出したのは何の用?」

「アタイの故郷に一緒に来てくれないか?今は、依頼料を出す事はできない。将来的に必ず渡す。」

まぁ、元盗賊で、冒険者になってからまだ依頼を受けてないから無一文だしね。


「それでどんな依頼?」

「国を盗みたいんだ。」

え?今何を盗むって言ったの?


「アタイの勘違いならそれでいいんだが・・・、

部下達・・・あ、帝国に捕まった盗賊の部下達な。

そいつらが言う通りだと故国が何者かに乗っ取られている可能性があるみたいでね。」

それは僕も先ほど陛下から聞いた。

国を盗むね・・・。下手をしたら捕まるやつだよね。

この内容を指名依頼としてやるのはリスクが大きすぎ

る。

「頼めるのはお前しかいないんだ。」

僕がやる分にはグレーな所だろうけど、陛下の婚約者ないし妻の立場のラックさんがやると国同士の戦争になりかねないし、ギルド職員であるリリアンさんも何かとマズイことになるのだろう。


「・・・非合法な事はさせない。アタイの護衛としてついてきて欲しい。」


悩むところなんだけど、頼れる他に人が居ないのだろう。

今にも彼女は1人でも祖国に帰ってひと暴れしそうな感じだ。・・・見捨てるわけにはいかないか。


「その内容の依頼なら受けましょう。ただし、遺跡調査や闘技大会が終わってからで・・・。」



「その辺りの日程は学者のおっさんとドット帝に確認しておいた。遺跡調査は明日から2、3日で終えて帰るらしい。それから闘技大会迄は後、23日だ。故国(ノース)の王都まで本気で行けば、1日もかからない。日程的には大丈夫な筈さ。それに帰りはお前の固有魔法で帰ってこれる。」


まぁ、帰りに関しては瞬間移動(ワープ)系の固有魔法があるから心配はない。

けれど、リーダーの義姉(ラックさん)や(一応)監察のリリアンさん、それに(一応)護衛対象の皇帝陛下(エンさん)に聞いてみないとな・・・。


そう思っていると

微笑みの狂戦士(スマイル・ベルセルク)やおっさ・・・ドット帝には聞いて許可を得た。」

と言ってきた。

いつの間に・・・ってタイミング的にはさっきしかないんだけどね。

「姉エルフには明日、説明するつもりだ。」

僕から話そうと思ったんだけど、アリシアが自分で話す様なので僕からは何も言わないことにする。


「わかりました。非合法な事は無しで護衛依頼を受けます。報酬は・・・観光とかでいいですよ。」


「ありがとう、マナミ。」


そう言った彼女は涙ぐんでいた。


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