第66話 異変
エンさんが何処かへ行った直ぐ後に僕たちは門を通る事ができた。
「陛下から通せとの事だ。疑ってすまなかった。」
「おーい。俺も同行する。お前ら、俺も通るぞ!いいな?」
エンさんが戻って来た。
「陛下から貴殿の事も通せと伝達があった。案内は貴殿にさせるとの事だ。」
「了解した。そんじゃ通らせてもらう。」
自身が皇帝なのだからそんな面倒な事をしなくてもと思ったのだが、「皇帝とエンは別人だからな。」と釘を刺された。
エンさんの案内でしばらく城内を歩いていると何処からともなく男性が現れた。
「奥様、マナミ様、教授、お久しぶりです。そして御二方は初めまして。執事のバトと申します。」
エンさんの屋敷にいた執事さんがいた。
「お久しぶりです。バトさん。」
「此処からは私が案内させていただきます。エン殿、あちらの部屋に着替えの用意がございますので着替えて来てください。」
「このままじゃダメか?」
「旦那様!」
エンさんは執事のバトさんに強く言われて渋々着替えに行った。
「お見苦しい所をお見せ致して申し訳ございません。」
いいえ、悪いのはエンさんですから。
「苦労してんだな、アンタ。」
「相変わらずですね。ドット君。」
アリシアは執事に同情して教授は苦笑いだった。
「奥様、向こうの部屋にお召し物を用意しております。わからない事があれば侍女がおりますのでその者に申し付け下さい。」
「え?あ、はい。」
正式に結婚はしていないもののラックさんは皇帝の妻として迎えられた。
エンさんとラックさんが着替えに行っている後、教授は自分の調査隊と合流するとの事で別の部屋に行ってしまった。
「あのおっさん顔って本物の皇帝だったんだな。」
アリシアはエンさんが皇帝という事を疑ってたみたいだ。
「熟練の冒険者みたいな感じですからね。」
「そうだなー。」
あの方、実際に熟練の冒険者ですから。
「それにしても遅いな。」
たしかに遅い。2人が着替えに行ってから1時間以上経っている。
「ちょっと様子を見に行ってきますね。」
リリアンさんが椅子から立ち上がって廊下へと出て行った。
リリアンさんが30分経っても戻ってこない。
「・・・なんでリリアンは戻ってこないんだ?」
そうアリシアが呟いた。




