第64話 嵐の精霊化と発動事故
体調を崩してしまい投稿が遅れました。
申し訳ございません。
龍が突然発火した。
燃えている。
「あんなのどう近づけばいいんだ?アタイは暑いのも寒いのも大丈夫だけど限度ってもんがある。」
そうだろうな。龍の周囲がどの位の温度かは判らないが、古代の人形の方がまだ耐えられそうだ。
『エルフの身体も人と大差はないですよ。アリシアが攻撃しに行くようですよ。』
アリシアは呪文を唱えている。
どうやら先程、おじさんから巻き上げた武器を放出するようだ。
「異空の回廊よ開け!ほらよ、武器は全部返すぜ。」
何もない所から大量の武器を出しそれを龍めがけて飛ばした。
「ほう、我が鱗から盗み出したものか。返してもらうぞ。」
龍はそう言って大量の武器はどこかへと消えてしまった。
「・・・っ」
リリアンさんが座って頭を抱えている。
「微笑みの狂戦士さん、頭が痛むんですか?」
「いや、何でもない。」
明らかに無理してますよね?
「気のせいだ・・・。」
『来ますよ!』
「我が息をとくと味わえ!」
そう言って龍は炎の息を吐いて来た。
「固有魔法、《空気》《水》。」
まず空気で風の流れを渦状にし、そこに水を流し込む。僕たちと炎の間に大きな渦を作り出した。
勿論、リリアンさんとアリシアを巻き込まない距離で。
「固有魔法:重力の檻」
対空中魔法である重力で叩き落とすことを試みるが、
「ほう。身体が重いな、固有魔法か。だが・・・。」
かなり自由に動いているように見える。
どうやらあまり効果が無いようだ。
『模擬試験の時から思ってたんですけど、この魔法、ある程度の強さを超えると効かないのでは?』
うーん。一理あるかな。前にも生身の人間に動かれてしまってるからね。
『時間が無いので早くしましょう。』
僕とラックさんの(主にラックさんの)MPを合計して1000に届く位はあるが、嵐の精霊化は毎秒MP100消費する。
固有スキルのおかげで変身時間が10倍に延びるとしても100秒しか無い。
勿論、他の魔法も使うのでもっと短くなる。
「『固有魔法:《水》』「固有魔法:《光線》」」
あれ?使う魔法が・・・
『同時に別の魔法を発動しちゃいましたね・・・』
ラックさんは水を飛ばして龍が纏っている炎を何とかしようとしたみたいだ。
僕は一度も使ったことのない光線で攻撃を試みようとした。
この場合、どうなるのだろうか?
物凄い水圧の水の束と光線が同時に発射された。
それらは龍の身体に直撃した。
「ぎゃおおおおおおおおおお!」
炎の龍は叫び声を上げた。
僕らは風の魔力を帯びているので何とも感じない。
『どうやら2人は気絶してしまったみたいです。』
リリアンさんとアリシアは龍の叫び声で気絶してしまったようだ。
『マナミさん、MPが・・・』
しまった!時間切れで嵐のエルフ化が解けてしまった。
龍の叫び声は段々と小さくなっていく。
「ふう。こんな所かな?」
そう言ってギルドマスターのストレンジさんは龍の姿から人の姿へと戻った。
「あのぅ・・・何で龍が目の前に居るんですか?確か4人でギルドに来て・・・あれ?」
リリアンさんの意識が回復した。
しかし、微笑みの狂戦士さんが退出してしまった。
こうなったらもう無理だろう。
『そうですね。』
「『降参です。』」
僕たちは龍に敗北したのであった。




