第63話 炎龍
僕とラックさんが元に戻る準備をしているとギルドマスターの本体がやってきた。
「予想以上にやる様だね。」
「貴女は受付の人?」
「噛みまくってた奴か。」
あーラックさんとアリシアには後で詳しく説明しないとね。
「詳しくは後で話しますが彼女が本当のギルドマスターです。」
「「・・・はい?」」
ラックさんとアリシアは少し驚いていた。
「改めて自己紹介を。私は炎龍ストレンジ。
合流されちゃったし、一先ず試験は合格かな?君たちに個人的に興味が出たから本気で戦わない?」
「逆さの鱗、戻りなさい。」
「はい、我が主人。」
「興味本位だけど実力を計らせてもらうよ。」
そう言って彼女は本来の姿のドラゴン・・・
あれ?西洋のドラゴンじゃなくて、東洋の龍?
「巨大な蛇みたいですけどアレが本来の姿です。」
「この大陸より東の方の龍だな。図鑑とかで見た事はあるけど本物は初めて見た。北では遭遇しなかったからな。」
「竜種の実物は初めてだな。ギルドの資料に載ってたな。」
昔見たというラックさんが言っているのだから間違いなくアレが本来の姿なのだろう。お嬢様方は図鑑などで見た事あるのか。
「この姿を見て驚かないとは中々だな。本当にCランクの集まりなのか?」
正直言うと、内心驚いてます。
試すのはいいんですけど本気で来ないでください。死んでしまいます。
逆鱗一枚の分身だけでも実力的にAランクのラックさんが苦戦するのにどうやって攻略しろと?
「マナミさん、元に戻りますよ。」
そうですよね・・・それしか無いよね。
僕は煙玉を取り出しそれを足元に投げた。
元に戻る工程を見られる訳にはいかない。
煙が広がり僕とラックさんの姿を包んで行く。
「強き者との戦いし時、」
「2人のエルフを今1つに束ねん!」
「「固有魔法!絆融合!」」
・・・毎回なんちゃって詠唱やらなくちゃいけないんでしょうか?
『やらなくちゃダメです。』
「おい、姉エルフはどこへ行った?」
「『私はここです。2人にはには後で説明しますね。』」
最初っから風の精霊化をやるよね。
『そうですね。では詠唱をします。』
「『風の契約により我らとともにありし者、「その風、山へ轟き」我らに力を貸したまえ。』」
僕は思いつきで風の精霊化の詠唱に一言足してみた。
「『何やってるんですか!?マナミさん!コレじゃあ詠唱が失敗扱いになってしまいます。』」
やっちゃったかな?そう思っていると久しぶりに何かが聞こえた。
詠唱確認しました。
固有魔法:嵐の精霊化を発動します。
消費MP毎秒100
上級魔法:風の精霊化の上位版。
消耗が激しいのでご注意を。
『は?成功?固有魔法!?うん、マナミさんだから・・・』
どうやらラックさんは混乱している。
僕の姿が雷を伴った風の精霊化に変わった。
「来るぞ!エルフと狂戦士!」
「そっちこそ気をつけろよ!盗賊娘。」
「あー嵐の精霊化についてはスルーですか。」
「『マナミさん、そんな事言ってないで構えて下さい。来ますよ!』」
「さて、君たちは何分持つかな?」
気乗りのしない戦いが始まる。




