第61話 試験の意図3
「トレ坊とウィズちゃんの娘って聞いてたから、それなりにいい防具をつけていた筈なんだけどね・・・」
あのモモヒキと腹巻ってかなりいい防具なんですか?
とにかく、ギルドマスターにとってリリアンさんは想定外だったらしい。
「【微笑みの狂戦士】って聞いた事ありますか?」
「名前までは知らないけど、イースの女の子だよね?
数年前から、うちの冒険者達が噂をしてるよ。何でも乱暴をしようとした男達がボコボコにされて、止めに入ったトレ坊が大怪我をしたとか。パーティーのタンクで、かすり傷1つ負わないトレ坊が大怪我なんて有り得ないのに。」
凄い人なんだな、トレジャーさん。
水晶玉の映像の方に動きがあった。
「さて、このおっさんを粉々にするか。生き物じゃないみたいだしな。主人格の方の知識からするとこういうのは、本体が何処かにいるな。チッ、探知が妨害されてやがる。」
リリアンさんの目の前に新手のおじさんが出てきた。
「嬢ちゃん、ギルドの受付に来た時と話し方が違うんだが、リリアンちゃんだよね?」
それを聞いてリリアンさんは笑顔になった。
「ありがとう、おっさん。あんたの本体が誰だかわかったぜ。」
そう言っておじさんの山を殴り一撃で消した。
そして笑みを浮かべているリリアンさんと視線が合ったと思ったら映像が映らなくなった。
「・・・本当にリリアンちゃんだよね?」
言いたい事は分かります。
「替え玉してないよね?」
してないです。
「うん。私は何も見てない。
・・・じゃあ、ラックちゃんを映そう。」
あまりに酷かったので今のを見なかった事にしたな。
火柱と竜巻が映った。
竜巻の発生源はラックさんだった。
ラックさんは既に風のエルフになっていた。
それだけ相手が強敵なのだろう。
火柱の方は秘書として紹介された女性であった。
「炎の吐息!?え?でも前に会った時のあなたの姿はドラゴンでしたよね?」
「ええ。あの時は人の姿を取る必要が無かったので。私が、あの時のドラゴンだってよく分かりましたね。(名前は名乗ってませんしね。)」
「炎の吐息が出来る方なんてそうそういませんから。」
え?ーーーーーさんってドラゴンなの?
僕は水晶玉から目の前のギルドマスターに目をやった。
「どうしてドラゴンの貴女が・・・」
「それはね・・・」
あれ?周囲の空間が歪んでる?
「見つけたぞ!あのおっさんを操ってた本体はお前か。」
「嘘でしょ!?もう来たの!?というよりどうやってあの空間から抜けて・・・」
空間の歪みから微笑みの狂戦士が現れた。




