第59話 試験の意図1
おかしい。
私がドアに入ってから10分くらいは経っている。
でも、誰もここに来てはいない。
準備といったら結界等を予め掛けておく位なのに。
私は風属性の魔力を纏っている。鎧の代わりにしているのだ。
「これより模擬戦闘を開始します。」
その声はストレンジと名乗った秘書の女性のものだった。
え?集団の模擬戦闘なのにバラバラで開始するの?
落ち着いて冷静に考えよう。
戦場とかダンジョンだと離れ離れになるのはよくある事。
私たちのパーティーは結成して日も浅いし先程4名になったばかりだ。
この模擬戦は恐らくだけど、そういった経験をさせるのが目的?
他にはアリシアの戦闘力と私たちのパーティーとしての実力を測ろうとしてるのではないだろうか?
それならば取るべき行動は仲間と合流する事!
そう思って動き始めたら、目の前に炎が出てきて直撃してしまった。
炎が纏っていた風の鎧に当たり消失してしまった。
念のため、風属性の魔力で結界を作っていなければ危なかった。
「流石ですね。風刃の妖精の名前の通り風属性の魔法が得意なようで。貴女が考えている通り試験の意図は正解です。でも、戦場で敵は待ってくれませんし、ダンジョンでも魔物は待ってくれません。」
「確かにそうですね。風の契約により私とともにありし者、私に力を貸したまえ。」
「マドちゃんやジジィ君でも到達が難しかった所まで行くとはね。それじゃ本気を出すよ。」
目の前の女性は身体に火を纏い、口から火を吐いている。
風属性の魔法を主体として戦うラックには相性の悪い相手だった。
「炎の吐息!?え?でも前に会った時のあなたの姿は・・・。」




