第35話 模擬戦闘
午後の授業は模擬戦闘を行うそうだ。
教師は初老の人族の魔法使い。
「儂の名前はマグ。魔道士ギルドの所属じゃ。宜しくのう。エルフのお嬢さん方。」
「ランクB・・・イヤ、Aですかね。どちらにしてもかなり高位の魔法使いとみます。」
この方はかなりの使い手のようだ。(お姉ちゃんの見立て通りなら)
マグさんはこちらをチラッと見て
「今日は2対2にするかのう。」
と言った。
僕とお姉ちゃんの実力を図りたいのだろう。
「組分けはこちらで決めてる。まず、エルフのお嬢さん方とララとリリで、いいかのう。訓練場は結界が張ってあるから大魔法を使っても怪我はせんから気にせずにやりなさい。」
ララとリリはこのクラスの中でも魔法使いとして優秀そうな2人(後で知る事になるが、本当に優秀で今からでも宮廷魔道士に成れる位の実力)が相手だそうだ。
「作戦なんですけど開始したら1人に戻りましょう。固有魔法で合体したとか言えば誤魔化せますから。」
人形はどうするの?
「見えないように何かして下さい。」
そこは僕任せなんだ・・・
「模擬戦闘開始!」
「固有魔法!絆融合!」
ラックさんは技名をわざと叫んだ。
(※勿論そんな固有魔法はありません)
その瞬間、僕は光属性の弾を目潰しとして使った。
すぐさまラックさんの身体に戻り、急いでスキルを使い人形を回収した。
これなら、色々バレずに済むだろう。
下級魔法の火弾が僕たち目掛けて飛んでくる。
まだ目が見えない筈のに・・・
『あの2人魔力探知をして確実にこちらの位置を割り出してますね。』
2人とも詠唱に入ってる。
よし、今なら無防備だ!
いつもの魔法使いキラーの魔法
魔法封印!
「雷の槍!」
雷の槍が僕の頬を掠めた。
-《雷の槍》を修得しました-
・・・あれ?《魔法封印》が効いてない?
『あの2人、レジストしましたね。固有魔法をレジストするとは・・・それに、耐えたとは言え、
魔力が低下してる筈なのに《雷の槍》を使うとは・・・
あの2人、なんで学生やってるんですかね。』
それ、僕らが言えます?
いや、言えないよね?
固有魔法を創り出したり、簡易転移門の魔法陣を見せたりしてるからね。
2人共、回復魔法を使い視力を回復したようだ。
『動きを止めましょう。』
足止めなら・・・重力の檻!
彼らの周囲が凹んで行っているので魔法は成功したのだが・・・詠唱をしながらこちらに真っ直ぐ歩いてきてる。
重力は2倍なのに・・・。
「『なんで動けるんですか!?』」
お姉ちゃんも驚いている。
『来ますよ。マナミさん!』
ララとリリは中級魔法の《炎弾》と《中雷の槍》を放ってきた。
-《炎弾》、《中雷の槍》を修得しました-
大分距離を詰められてしまったので回避と退避の為に・・・瞬間移動!
ララとリリは驚いたが、また直ぐに詠唱を開始した。
それなら・・・
固有スキル:ムゲンノマドウソウセイ発動!
《水》
純度、透明度、硬度、温度、色などの設定ができる。液体を出す魔法。
《空気》
風の向き及び強さ、気体を操る。
自分に使うと・・・。
《雷電》
雷属性の威力、形、色、向きの設定ができる。
晴天でも撃てます!
《土壌》
母材(岩石)の選択ができる。
他の魔法を使う前にどうぞ。
面白い事が起きるかも?
《光線》
紫、青紫、青、青緑、緑、黄緑、黄、黄赤(橙)、赤の光線が射てる。ビーーム!
-固有魔法《水》《空気》《雷電》《土壌》《光線》を創生に成功しました。-
よし、成功。
僕が1人で創ると無詠唱、初回発動はしない。
ただし、デメリットとして文章がコミカルになるようだ。
(後で《文字化け》を使って修正しとこう。)
『マナミさん・・・。固有魔法は・・・いつもの事か・・・。』
なんで呆れてるんですか?
「燃え上がれ!魔獣人の炎弾!」
「貫き通せ!剛雷の大槍!」
あれ?修得しましたって来ないな・・・。
スキルでラーニングができないって事は・・・
『固有魔法か古代魔法ですね。』
これ、かなりマズイ状況じゃ・・・




