第34話 初めての授業
「一応、念話で今日の授業担当の教授と貴方達のクラスメイトには双子のエルフが編入する事だけ伝えてあるわ。」
門での設定のままで行くんですね。
(僕が姉って事にしとけば良かった・・・。)
教室に入ると既に教授がおり、僕達が入ると座学が始まった。
遅刻になる所だったようだ。
授業の内容は古代の遺跡と魔法。
遺跡には転移門というものがあり他の国にある遺跡の転移門と繋がっているらしい。
「で、あるからして、転移門には何も描かれていないので解読ができないのです。そう言った類の固有魔法が有れば良いものですね。」
・・・瞬間移動が出来ることは隠しておこう。
「質問をして大丈夫でしょうか?」
「ん?あぁ、君は今日からの子だね。何かね?」
お姉ちゃん?
「現在でも門は使用出来るんですよね?」
「出来ますよ。」
「だとすると、転移門の素材の内側や接続部分に魔法陣が描かれているのでは?」
量産できないように意図的に隠したのかな?
「設置した魔法陣は一部分でも欠けてしまうと機能が停止する筈です。」
へー、そうなんだ。
「私ならこうやって複数の魔法陣を使って立体的に陣を描いていきます。」
腰につけている袋から複数の積み木と千切ったパンを取り出して積み木に魔法陣を書き始めた。
積み木を門の形にしてそれを2つ作り片方にパン屑を放り込んだ。
するともう1つの小さな門からパン屑が出てきた。
「成る程。見えない所に描くという事と複数の魔法陣を使ってるいると。直ぐに調査しよう。」
うわぁ・・・後で面倒ごとに巻き込まれないと良いんだけど・・・。
休み時間
クラスメイトの殆どの人がお姉ちゃんの所へ来た。
「授業で何の魔法陣を描いたんですか?」
「転送、共有、圧縮の魔法陣を組み合わせたものです。この組み合わせだと生き物は送れませんけどね。」
生き物は送れないのか。
「転送の魔法陣は物を送る魔法陣です。生き物は送れませんし、転送ができる距離は3キロ以内ですね。
共有は魔法使いなら初歩ともいうべき補助の魔法陣ですね。今回は門同士を紐付けする為に使うました。」
「圧縮の魔法陣は陣の上にある物を小さくするというものです。その類の道具やスキル持ちは貴重ですし、容量が少ないですからね。」
容量無制限のその類のスキル持ちという事も内緒にしなきゃ・・・。
「今回は逆さまに使って陣の下にある空間を圧縮してみました。」
さらっと空間を圧縮するとか言ってるけど普通なら考えない・・・よね?
「・・・」
クラスメイト達はキョトンとしている。
うん。そんな事、考えてる人いないね。
普通に生活してたら空間なんて曖昧なものを圧縮しようなんか考える事は無いからね。
「妹さんの方は、さっきから魔法陣入門の本を読んでるみたいだけど、ああいう事出来るの?」
僕は静かに首を横に振った。
そもそも魔法陣や転移門の事を今日初めて知りました。
この世界には、まだ僕の知らない事の方のが多いのだろう。




