第32話 エルフのお祖母ちゃん
マドリーさんがフリーズしてしまったので僕は気になる事を試してみる事にした。
僕は自分を対象に重力の檻を使った。
「何をしてるんですか?」
「魔法の実験です。」
「それは理解しているんですけど・・・。」
「あ、浮いた。」
「私の創った〈反転する魔法〉の対策ができてしまってますね・・・。」
やはり、マナミさんは恐ろしいとラックは心の中で感じた。
結論から言うと対象に重力の檻を普段とは逆にイメージをして使うと身体が浮く。
ただ、浮くだけで移動はできない。
どちらにせよ対象の重力を任意の値に固定するみたいだ。
(自分にかけてみて初めて効果時間が15秒程と言うことにも気がついた。)
それから数分後、マドリーさんが正気に戻った。
「あぁ、そうだったね。マナミが降参したからラックの勝ちで、合格だよ。コルトの所に行ってギルドカードを貰ってきな。」
あれ?ギルドカードって次の日じゃなかった?
「ラックが戻った場合の事を考えて用意しておいたのさ。」
また心を読まれた・・・。
僕たちはマドリーさんと一緒に受付のコルトさんの所へ行きラックさんのギルドカードを発行して貰った。
コルトさんは笑顔で
「おめでとうございます。これで貴女も今日からCランク冒険者です。」
と言った。
「(相変わらず、子どもが泣きそうな笑顔ですね。非合法組織のトップの人ですか?)」
と小声でラックさんが僕に言った。
この笑顔にはもう慣れました。
コルトさんって結構良い人ですよ?
「(冗談ですよ。解ってます。面倒見のいい人ですよね。ゴルジュさん。)」
いい加減、名前覚えてあげて下さい。
「マナミさん。早くイースの町に戻りましょう。遅刻しますよ?」
まだ、一度も通ってないけど僕は学生だ。
「コレを持ってきな、ラック。」
と言ってマドリーさんが折り畳んだ羊皮紙を投げてきた。恐らく紹介状だろう。
「ありがとう、お祖母ちゃん。」
僕たちのお祖母ちゃんは嬉しそうだった。
マドリーさん、お祖母ちゃんって呼ばれて嬉しいんだな。
僕は・・・呼ばないよ?
「マナミも呼んでいいんだよ?」
また心を・・・
「行ってきます!」
僕たちはイースの町へ向かった。(ラックさんの瞬間移動で)
2人が出て行った後のギルド
「このギルドも一つの役目を終えましたね。マスター。」
「そうだね。いつか、2人にはこのギルドの存在意義をちゃんと話さなきゃね。」
「この国はエルフへの扱いが兎に角酷かったですからね。マスターがいなければエルフィアはないですよ。」
「ラックは何となく解ったみたいだけどね。それにしてもマナミはいつになったら素直にお祖母ちゃんと呼んでくれるのかね?」
そう言って老エルフは微笑みながら自分の部屋へと戻って行った。




