第30話その1 試験官Cランク冒険者マナミ
本日、第30話を投稿します。
2回第30話を投稿しますが、視点が違います。
その1(マナミ)とその2(ラック)とさせて頂きます。
僕とラックさんのステータスの差は・・・
LV.1 (41)
HP45/45(165/165)
MP150/150(600/600)
攻撃力6(86)
防御力6(86)
魔力 200(670)
賢さ128(128)
魔法以前の問題で殴られただけで倒れるよね・・・。
ラックさんより格闘はできる筈なんだけど・・・
スキルは同じだったけど、固有スキルは消費MP1/10と魔法を創り出せる、〈ムゲンノマドウソウセイ〉を持っている。
MPだけで言ったら実質40倍も差が出ている。
恐らくだけど、僕が見たもの以外にも使える魔法はあるだろう。
コレやっぱり無理なんじゃ・・・
いや、よく思い返すんだ僕。
ラックさんと僕の差は何か。
僕は魔法使いとしては素人・・・。
素人?確かあの時、触媒が無いと魔法が発動できないって・・・
あれ?杖を奪えばいける?
という事は、まだ勝ち目があるのかな?
エルフィアの村でエルフは近接戦闘が得意ではないって聞いてるから
「手加減をして下さいね?試験管さん。」
いや、風のエルフになられたら僕の方が危ないですから・・・。
「これよりブラック・ネームさんの試験を開始します。」
と僕が宣言し終えるのと同時にラックさんは詠唱を始めた。
「風の契約により私とともにありし者、私に力を貸したまえ。」
ラックさんが詠唱を必要とする魔法は僕の知る限りでは1つだけ。
ヒュン
風を切る音がしたと思ったら頬から血が出ていた。杖から放出された視認できない魔法が僕の頬を掠った。
風のエルフになったラックさんは自身の周りに風属性の障壁を張り巡らしているので、あの状態になられては近づく事が出来ない。
ラックさんの最大MPは600、毎秒消費MP60、固有スキルで1/10だから毎秒消費MP6。
・・・という事は100秒。
逃げ切ればどうにかはなるけど、させてくないよね・・・。
杖を奪って降参して貰うか近接に持ち込むで物理で押す!
危ないけどこの手に限るかな?
まずは・・・
《火炎》。透明で風属性の魔法を吸収する鎧のイメージをして自身に纏う。
(ぶっつけで消費MP45位で調整した。)
次は重力の檻
この魔法で機動力を奪う。
最後は魔法封印。
これでラックさんの魔法がいかに強くても封じてしまえば無力。
この3つの魔法を触媒なしの無詠唱で行う。
ラックさんに優位が取れるとしたら、いつ、どこで、どの様な魔法を使うの
「大いなる魔力の理に逆らいし・・・」
ラックさんが何かの魔法の詠唱を始めている。
今しかない。
《火炎》
重力の檻
《魔法封印》
これで僕のMPは完全に無くなった。
「やっぱりその3つの魔法をそのタイミングで使って杖を奪い、接近戦をしに来ましたね。マナミさんならそうすると思ってました。」
!?ラックさんの姿が通常のエルフに戻っている。
「マナミさんみたいに簡単に無詠唱では創れませんね・・・。イメージが難しかったです。」
どうやら固有スキルによって魔法を創ったようだ。
どんな魔法を?と思ったらラックさんが重力を無視して空中を漂っている。
ラックさんは何て詠唱をしてた?
たしか魔力の理に逆らう?
・・・あぁ、成る程。
「もしかして反転とか逆転ですか?」
「正解です。まだ、続けますか?」
「いや、やめておきます。」
僕はそう言って収納から混合ポーションを取り出して飲み干した。
味はポーションとMP回復薬の両方の味が混ざって美味しくない。
「合格ですいいんですよね?マドリーさん。」
しかしマドリーさんは呆然と立っていた。




