第26話 皇帝ワンフォー・スリードット
ユニークが1000を超えました。
いつも読んで下さりありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
少し身体が怠かった。
MP管理をしっかりしてた訳ではないが、ラックさんと意識が重なってからMPが漏れ出すような感覚がした。
冒険者達を蹴散らすのに本気までやったのだからMPは空になっていた。
このままでは瞬間移動も使えないので、魔力回復薬を1本飲み干した。
さて、色々あったけど、依頼を終わらせに行きますか。
夕方までは、ウィズさんのところだね。
『それなんですけど一度中心街の噴水広場まで行って瞬間移動が出来るようにしてから、マジックショップまで瞬間移動した方がいいと思います。』
提案の内容に無駄がない。もしかしてRTA走者?
『RT・・・何ですかそれは?』
気にしないで下さい。
ギルドを出た僕は直ぐに中心街の噴水広場へ向かった。
その後、人目のつかない所へ行き、瞬間移動でウィズさんのお店の前まで来た。
「おはようございます。マナミです。」
「おはよう、マナミちゃん。仕事を受けてくれたのね。ありがとう。昨日の騒ぎでポーションが不足して町中の施設から納品依頼が来ちゃって・・・。」
怪我をしない限りは使わないもんなぁ・・・ポーション。
「とりあえず、50個くらいお願い。質は問わないわ。」
『夕方までなら間に合いそうですね。』
夕方までポーションを作り続けた。
出来上がったのは中級ポーション5本とポーション45本。
「お疲れ様、マナミちゃん。報酬はどうする?」
そういえば、報酬は応相談だったな。
『混合ポーションをお願いします。』
何それ?
『魔力回復薬とポーションの効果を持ったものです。それぞれで飲むより効果は薄いですけど便利ですよ。』
「混合ポーションを1つお願いできますか?」
「そんなものなら1つと言わず棚にあるだけ持って良いよ。はい、それと受領書。」
報酬:MPポーション3本
受領書には銀貨20とあった。
『これをギルドの受付に持っていくと報酬が貰えるみたいですね。』
報酬を受け取って、僕らは次の依頼に向かった。
噴水広場に中距離瞬間移動で移動した。
そこには昨日会った男性が立っていた。
「・・・来たか。」
『帰れ、帰れ!』
「・・・(ちょっと黙っって下さい。)昨日は助けて頂きありがとうございます。僕の依頼主の使いで迎えに来たんですか?エンさん?」
「まぁ、そんな所だな。屋敷まで案内する。」
案内されたのは貴族街と呼ばれる区画にある大きな屋敷だった。
ここが皇帝の別荘か。
『帰りたいんですけど・・・。』
「お帰りなさいませ。ワ・・・エン殿」
初老の執事が出迎えてくれた。
「この人を応接間に案内して下さい。俺は陛下を呼んできます。」
応接間に通されて数分後。
「私がイーストリア帝国皇帝、ワンフォー・スリードットだ。」
「何やってるんですか・・・エンさん?」
入ってきたのは貴族の服に着替えたエンさんである。
『バレないと思ってたんですかね?』
「・・・薄々気づいてました。っていうかさっき執事の方がワっていいかけてましたから。」
ヒントは幾らでもあった。
ワンフォー・スリードットつまり3.14=円である。
名付けたのは僕と同じ、異世界人だと思う。
『私は金貨の袋や装備品ですかね。上級貴族でもあんなには持ち歩きませんし、装備は一見ボロに見えますが、素材はかなり良いものでしたし。』
「バレてたのかよ・・・。まぁ、転生者ならわかるか。俺の名付け親が転生者だったし。」
『「そんな事より仕事の話をしません?」』
うわ、勝手に出てきた!
本当に早く帰りたいんだな・・・。
「そうだな。」
影の狼が現れた時の状況を説明した。
「町の中に急に現れた。その認識で間違いはない。俺もそう考えている。ただ・・・」
なんか雲行きが怪しい。
「ただ、妙な事にお前達を中心にして狼が現れている。」
『疑われてますね。』
そうだね。
「疑われてるって思ってんなら違うぞ。お前達が標的になったと俺は考えてる。」
意外な言葉だった。
「どうしてそう思ったんです?」
「今日の午前中、治癒院、冒険者ギルド、魔法学校に負傷者と死者の数を確認しに行った。そうしたら、負傷者は全員、初級ポーションで治るくらいの軽い怪我で死者が出ていない。1番重症だったのは嬢ちゃんだ。」
『確かにおかしいですね・・・。影の狼の群れが出現したのに被害が少なすぎます。』
僕の頭の中にはある単語が浮かんだ。
この世界に来てたまにステータス内で見たあの言葉・・・。誰かが行ったのだろうか?
「召喚魔法。」




