第25話 ここにきてテンプレ2(冒険者に絡まれる)
「オリバーの事を無視してんじゃないわよ。まな板エルフ。」
「そうよ、まな板。」
まな板コールがかかった。
「『まな板って何がですか?』」
笑顔で切り返したが、内心僕らは怒っている。
触れてはいけない事を言ったな?
「あら、気にしてるの?」
「まぁ、まぁ、君達、僕の為に争わないで。」
取り巻きの女達は黄色い声で喜んでいる。
「『大した実力じゃないんでしょ?』」
と大声でイケメンに言った。
冒険者ギルド内が静まり返った。
「『恥ずかしくないんですか?女の子に声をかけてナンパみたいな事をして。』」
「ちょっと、オリバーに何言ってんのよ。」
「っち、俺に恥をかかせたな?覚えてろ!」
とオリバーは小声で言った。
次の瞬間にはオリバーは
「君達、帰るよ。」
と爽やかな笑顔に戻っていた。
オリバーが出口に近づいた時に
「エルフの嬢ちゃんの言う通りだ。《オリーブの花園》はアイツがハーレムパーティを作るためにやっているんだ!」
と誰かが声を荒げた。
そうすると、他の男性冒険者も
「俺は幼馴染を取られた!」
「パーティの女の子だけ引き抜かれた。」
「羨ましいぞ!」
などと言っている。
・・・最後の人は被害者じゃないな。
『「どれだけ、恨みを買ってるんですか?」』
オリバーはプルプルと震えている。
「貴様らぁ、俺を馬鹿にしやがって!お前ら、手始めにあのエルフを片付けるぞ!」
「わかったわ。オリバー。」
醜態晒してるのに取り巻きの子達は何も思わないの?
『純愛なのか魔法による催眠かは判断できませんね。』
そんな事は彼女達の問題だから知った事ではない。
本当に操られてるなら悪いけど、固有スキルと固有魔法の実験台になって貰おう。
即座にいくつかの魔法をイメージして創り出した。
ムゲンノマドウソウセイ発動。
魔法封印、魔力による拘束、重力で閉じ込める。
魔法を撃たせない、力技で抜けられない、逆らえない。
「『魔法封印』」
「あれ?魔法が出ない?」
と取り巻きの女の1人が慌てている。
「『魔力拘束』」
「何コレ?外れない!」
と取り巻きの女達が慌てている。
さて、あとはイケメン(笑)か。
「『重力の檻』」
「う、動けない・・・。」
僕はゆっくりオリバーに近付き足を思いっきり振り上げた。
『「えい!」』
蹴りがオリバーに命中する。
勿論クリティカルヒットだ。
オリバーは悶絶した。
(ギルドにいる男性陣の顔が青くなっていた。)
「ヒューヒュー、さ・・んとみりょ・・何で効・なかった・だ・・・。」
と息も絶え絶えになりながら言っている。。
「オリバーの野郎に勝っちまうとはな!」
「是非、俺達のパーティに!」
「そう言えば、昨日影の狼を倒した冒険者がエルフだって噂になってたぞ!」
というような冒険者が沢山いるので、
「『僕に勝ったら入りますよ?面倒なのでまとめて相手をします。』」
と返した。
「『風の契約により我らとともにありし者、我らに力を貸したまえ。』」
あ、自重しないのか・・・
ちゃっかり詠唱をアレンジしてるし・・・
「はぁ・・・。」
ギルドマスターのトレジャーは呆れていた。
大量の冒険者が救護室に運ばれたと報告が来たからだ。
「薄々は分かったが・・・一応聞いておく。リリアン、何があった?」
「マナミさんです。Aランクパーティ《オリーブの花園》を始め、30人近い人数が救護室に担ぎ込まれたそうです。・・・《オリーブの花園》以外の方々は血の気の多いCランクとBランクの方々です。《オリーブの花園の》リーダーのオリバーは治療後、取調べがあるとの事です。」
とリリアンは答えた。
「そうか・・・やっぱりか・・・。報告ありがとう。オリバーの野郎は疑惑があったが、事実だったとはな・・・。リリアン、初日なのに色々済まないな・・・。休憩していいぞ。」
リリアンが執務室から出ると、
「どうしたものか・・・。今年のアレにウチのギルドから出て・・・いやでもそれだと、緑炎の婆さんの許可がいるか・・・」
イースの町のギルドマスターはこんな風に2、3日程悩んだそうだ。
僕は最後に蹴り上げただけですからね。主犯はラックさんですよ。
『マナミさんだってノリノリで魔法を創るのに協力してイメージを強固なものにしてましたよね?』
・・・はい。私も共犯です。




