第13話 老婆と孫(?)
ウェスティンの街ギルド
「お帰りなさい。マスター!お孫さんが帰ってきましたよ。」
僕は孫じゃないんだけど・・・
ズサァ
奥の部屋から物凄い勢いでエルフの老婆がやってきた。
「試験は通ったのかい?」
と老婆はにこやかに言った。
笑顔が怖いです。マドリーさん。
「教師にならないかって言われました。」
と恐る恐る返した。
「何やったんだい?」
とにこやかに聞かれた。
その笑顔がやっぱり怖いです。
試験での行動を説明して、固有魔法:火炎について説明をした。
炎の温度と色と対象設定をする事ができる。
シンプルな内容だが、やっている事は複雑らしい。
僕は掌に黒い炎を人肌位で作って見せた。
「ハァ・・・アタシの100年は何だったんだろうね・・・。
それで初級魔法しか使えないんだからおかしいんだよ。本来は上級を使って至れるところなんだがね・・・。」
マドリーさんが歳(?)相応に老け込んだ感じで呆れている。
「それだけイメージが出来れば、色々、極められそうだよ・・・。教師の件は断っときな。ハントの小娘に一筆するから朝取りに来な。」
良かった。いつも通りのマドリーさんに戻った。
「マスター、ギルド閉めますね。」
コルトさんが入ってきた。
ギルドを閉めるんですか?
夜は営業しないんですか?
「ああ、所属が3人しかいないので。」
とコルトさんが答えた。
「そういえば、なんで人がいないんです?」
「ああ、それかい。大抵はみんなこの国の都か帝国のギルドに行っちまうのさ。」とマドリーさん。
・・・薬草とか取れないし、魔物が出ないからか。(試験内容が難しいしね。というより廃業した方が良くない?)
「廃業しない理由は学校を卒業したら話してやるよ。」
「え?」
「表情にでとるよ。それよりもアンタ、今日どこに泊まるんだい?」
あ、そういえば宿を取ってなかった。
「コルト、仮眠室を用意してやってくれ。
今日はギルドに泊まって明日、帝国で学生寮に住むなり、部屋を探すなりするといい。ここには碌な依頼もこないし、一々、ここに戻ってくる必要は無いさ。」
と少し寂しそうに言った。
アレ?学校に通うのって依頼受けてランク上げながらとか言ってなかったかな?
「依頼の事は気にしなくていい。基本西方面でBランク以上の依頼しか来ないからね。それにアタシの孫、マナミなら最短なら1年もかからずに卒業できるさ。」と言った。
・・・このギルドって存在意義って何なんだろう?
『深く考えない方がいいみたいです。』
「仮眠室はコルトが使えるようにしてくれたから早く行きな。」
ギルド仮眠室
妖精さんに質問です。
魔法って本来どうやって覚えるんですか?
『書物を読むか誰から習って習得します。エルフィアでは使い手ばかりなので私は後者です。それに前者は欠点があります。』
欠点?
『初級の魔導書でさえ値段が高いんです。
しかも初級から読まないといけませんし、相性とか適性があるので、会得できない場合もあります。』
あ、やっぱり高いんだ。
いきなり上級とかは無理なのか・・・。
買うといくら位になるの?
『初級魔導書は金貨30枚〜と聞いた事があります。』
マドリーさん、いや、お婆ちゃんにねだろうかな・・・
『固有魔法が使える位ならそのうち使えますよ。さ、明日のために寝ましょう。』
おやすみなさい。妖精さん。




