第112話 試し撃ち
明らかに杖ではないが目的のものは出来上がったので工房から店の方に戻った。
「・・・・・・・という感じで盛り上げていければと。」
「それじゃ、私らは職人達に声をかけてみるよ。学園とギルド関係の方をお願いね。」
「はい、叔母様。」
どうやら催し物が決まったようだ。
「杖は作り終えたんだな?」
アリシアが僕たちに近づいてきた。
「そんでどんな形なんだ?妹エルフの事だから普通の杖じゃないんだろ?」
・・・確かに普通の杖じゃない。
ケインという名前なのに銃の形状をしており、自身にしか作り出せない巻物を弾として使用する。
「コイツは銃ってやつか。昔、勇者がドワーフの職人に作らせようとしたのは聞いた事があるけれど本物か・・・。」
アリシアはノースに勇者(恐らくは転生者)が訪れ作らせようとした事を教えてくれた。
「試し撃ちしたらどうだ?」
試し撃ちしたいのは山々なんだけどそんな都合のいい場所はない。
「それなら一度、学園に行き母に会うので訓練場を使えばいいかと思います。」
リリアンさん?
「先程、叔母様と話していた中に学園の方に頼みたい事があるので今日中に済まそうかと。明日からノースに行くんですよね?」
「ノース?マナミさん、どういう事ですか?」
あ・・・ラックさんに説明してなかった。
「なんて、多方アリシアさんの頼みでしょ?私に言わなかったのは結婚式の事があるから?」
「そうだぜ。アンタは安全な所で待ってくれてりゃいい。」
「行きますよ?このパーティーのリーダーは私です。待ってろなんて言われたらリーダーの権限で止めますから。」
そんな権限ないですよね?
「大丈夫ですよ。置いていきません。さあ、今日中にできる事はやっておきましょう。」
瞬間移動を使い理事長室の前に跳んだ。
「アタイは部外者だから部屋の外で待ってる。」
アリシアは中に入るつもりはないらしい。
ドアをノックすると、どうぞと言われたのでドアを開いた。
「2人とも久しぶりね。あれ?リリアン?珍しいわね。あーもしかして例の件?それは参加者を募ってる所だからまだ少し待つように言ったはずなんだけど・・・。」
あの・・・杖を使う練習をしたいので訓練場を借りたいんですけど・・・。
「いいわよ。というよりウチの学生なんだから勝手に使っていいのよ?」
え?そうなんですか?
それじゃ早速いきましょう。
訓練場に着くと誰もいなかった。
「シュミレーターを使ってやるみたいですね。とりあえず影の狼のシュミレーションしましょう」
ー訓練を開始しますー
影の狼が現れた。
杖を構え弾を撃っていく。
それぞれ高温の火炎が入った巻物と温度の低い水が入った巻物を詰めて放った。
結果、爆発した。
影の狼は息絶えていた。
これ魔法じゃないよね?
そして次の日
「それじゃノースに行きますか。」
僕たちはノースへと旅立った。




