第110話 準備
え?丸太なのに杖は2本しか作れないの?
「効率よく魔力を通す為に樹を圧縮したりするのでな。他の素材は揃っているのか?」
他の素材?魔石ならありますけど・・・。
村で貰った魔石収納からを取り出した。
「立派な魔石なんだが・・・それだけでは作れぬ。まず、本体となる樹、次に魔力を制御する魔石、そしてその杖の性質を発揮させる為の素材。」
杖の性質ってどういうことですか?
「ジジィ様の杖で説明しよう。あの杖は世界樹を。魔石は風、そして素材は音石という鉱石と希少な金剛石を使っ ておる。」
へぇ〜鉱石でも良いんだ。
「むしろ鉱石は性質を引き継ぎやすい。音石は風属性の魔法を当てると音を出す性質があり、金剛石は物凄く硬い。結果、あの杖は音が出て物凄く硬いものとなっている。」
鉱石ね・・・もしかしたら・・・
「ちょっと外に出ますね。」
そう言って外に出て瞬間移動を使い人目のつかない所へ移動してある作業をする事にした。
10分ほどで戻って収納から鉱石を取り出した。
「どうやってこんな量の金剛石を・・・」
「え?まさか魔法で作り出したとか・・・」
ケインさん達が驚いている。
その横で3人の仲間達はマナミを睨んでいた。
そうですよ。魔法で人工ダイヤモンドを作ったんです。
本当はダイヤモンドを出したかったんだけれど出そうとすると炭が出てきてしまうので巻物|ならどうにかできるか試してみた。
思い違いの科学で炭素を選び、さらに空気と火炎を3000℃で作成してみた。
その結果何故か上手く行った。
人工ダイヤモンドが湧き出る巻物が出き上がった。
ラックさんがたまに杖で演奏しているのを見ていると音を出せる機能も欲しかったので音石も欲しかったのだが、どんな鉱石か理解出来てないので作り出せなかった。
「さて、取り掛かるかの。マナミさん、奥にきなさい。」
ケインさんについて行くとそこは大きな魔法陣が書かれた部屋だった。
「ワシが作った方が良いんじゃろうが、それだけレアな素材なら自分でやった方が良い。杖もお前さんと共に成長できるかもしれんからな。作り方を説明するぞ。まず、魔法陣を使い、樹に圧縮の魔法を掛ける。ここだ!と言うところで魔法を解除する。次に、魔石を付ける。そうしたら魔石に残りの素材を入れる。最後に魔力を通す。そうすれば完成じゃ。」
この魔法陣は圧縮の魔法なんですね?
「そうじゃ。現在、圧縮の魔法は使い手がおらず、魔法陣しか残っとらん。しかも魔法陣が大きくて持ち運べない。」
だから、工房みたいな施設がないと加工できないのか。
魔法陣を小型化できそうな気がする。
ただし、巻物としてだけど。
一度戻り、ラックさんと融合し固有魔法として圧縮を獲得した。
《圧縮》
物を圧縮する。zipファイルにもできる。
zipファイルについてラックさんにつっこまれたけれどこの世界だと役に立たないと言ったらそれ以上は何も聞かれなかった。




