第108話 ギルドカードの裏
僕以外はギルドマスターの部屋を出た。
「残って貰ったのは、まず、お前自身の事だ。」
僕自身の事?
「人の姿になったそうだな?いや、別に悪いって訳ではない。実はギルドカードの裏面に色々な情報が記載されている。例としてギルドの登録種族だ。マナミは種族がエルフになっているから人の姿の時は使えなくなる。あーこれは一応偽造防止の一環で表に出ない情報だから内密にな。」
え?そうなんだ。
というよりも何でそんな機密を僕に?
「そりゃあ、数少ないリリアンの友人ってのもあるが、お前さんならいずれギルドカードを解析しきると判断した。」
何故そう思ったんですか?
「それはな、これをみて欲しい。」
そう言って一枚の紙を差し出した。
これは?
「これがお前さんに関する資料だ。」
そこには冒険者としての僕の情報が書き込まれていた。
登録時のステータス以下で書かれていた。
勿論、スキルや固有スキルも数は少なく書かれている。
「それがこうするとな・・・」
ギルドマスターは熱々のコーヒーを紙にかけた。
「マドリー婆さんが資料に細工をした。かつての仲間だけに・・・俺やストレンジ様にわかる様にしたみたいだ。」
どうしてそんなことをしたんだろうか?
いや、僕を守るためか。
「そうだ。話が逸れたから戻すぞ。人の姿でギルドカードを使いたいなら、そのスキルないし魔法を記載しなきゃならない。そうすると色々面倒な事が起きるかもしれない。ただ、どちらの姿でも使えると言うメリットはある。人の姿で作り直す事は可能だが、当然試験は受けてもらう。しかも昇格はそれぞれで行わなければならない。ただし、同一人物だとは気づかれない。それで、どうする?作り直すか?」
どうするも何も、コルトさんに説明して貰った際に二重登録は規約違反だと言われている。
なので、選択肢としてはギルドカードにスキルを記載する方しかないのでは?
「種族が変わるなんてのは前例がないんでな。どちらでも構わないぞ?」
「それじゃ・・・」
僕はギルドカードを出してギルマスにお願いした。
「そうか。お前さんはそうするよな。わかった。処理をしておくから後で受付に行ってくれ。」
「はい。それでは失礼します。」
こうして、ギルドマスターの部屋を後にした。




