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八百長世界 NewGENERATIONS DAEMONKING  作者: ブリマグロ
人間界を知る -魔法は万物の素となる学び-
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第003話 偽名を使うのは嘘をつくときとは限らない

嘘つきというのは基本的に二種類存在する道化かそれ以外か

でももし、そこに三つ目の存在が生まれたらどうなるだろう

いままでの常識は壊れ、新しい秩序が生まれるのか

それとも、ただ流れる水のように回っていくだけなのか


「アレン様は旅をしているのですね!あぁ、なんて素晴らしいのでしょう。私はこの国の外に出たことがございませんので、今はこうして城を抜け出しておりますが、すぐに迎えが来てしまうことでしょう。短い時間でしたが、お話ができて幸せでございます。もし再び出会う機会がございましたら、その時は是非」


「そうだな。もしこんなところを見られたら市中引き回しにされた挙句、晒し首にされて魔法の実験台として死ぬことも生きることも許されないまま肉体が完全に崩壊するまで永遠と実験の材料にされてしまうかもしれないな」


「お父様なら本当にそうしかねますね。その時は私ができる限り擁護して差し上げますわ。アレン様」


「じょ、冗談ですよね・・・」


「フフフ」


無邪気に笑うお姫様に対して引き攣った笑みを見せる。なぜ若様がアルバスと呼ばれているのかというのを説明しなければならない。それはほんの十分前に遡ることになる。





「私はここ、魔法都市エルドラドの8代目王妃『ドランド・ル・エルドラド』の娘『アリシア・ル・エルドラド』と申します。」


「は?えっ?つまりお姫様ってことですかい?」


「はい。」


(なんだよこれ・・・おとぎ話じゃないんだからこうも簡単にお姫様に出会って良いわけがないでしょうに。落ち着け、まずは状況整理だ。彼女が言うにはここはエルドラド。魔法の研究においては世界屈指ともいわれる大都市と書物で読んだことがある。目の前にいるのは、いずれはこの国を背負うことになるお姫様。考えるだけで頭の痛くなるってくる。まるで仕組まれていたみたいな展開だな。)


「あの。お名前を教えてくれませんか?」


「お、おおう。」


考え事をしていたらお姫様が顔をグイッと近づけて覗き込んできた。いまならまだランポートの連続しようで逃げられたのかもしれないが、紫色のとても美しい宝石のような瞳を前に思わず返事をしてしまった。この世界には魔性の女というのが存在しているものだ。魔性というのは悪魔のように人を惑わせる人のことを指すのだが、このアリシアというお姫様は生まれながらにしての魔性といえよう。補足をしておくと魔性と魅了は全く違うものなので注意されたし。


「そ、そうだな。名前、名前だったな。」


「はい!」


「えっと、あの、その・・・エル・・・」


「?」


「アルバス・エドウィン。それが名前だ。」


アルバス・エドウィン

ここで魔王の誰々ですなんて言えるはずもなく嘘の名前を使った。とっさに出た偽名なのだが、後の世に伝説としてこの地に刻むことになるというのは遥か遠い未来の話。名前を偽り、経緯を偽り、エルドラドには旅の途中で『魔法を知るには一番の国』という噂を聞いて立ち寄ったということにした。


「アルバス・エドウィン・・・ではアレン様ですね!」


Albaz EdwinでAlEn。俗にいうあだ名なのだが生まれてこの方、若様や坊ちゃまと呼ばれあだ名で呼ばれるこのなど一度もなかった。それが例え偽名で会ったとしても彼の顔は自然と笑顔になっていた。


「それじゃ姫様はアリスってことになるのかな?」


「ほへ?そ、そんな、私にそんな、あだ名なんて勿体ないです!」


お姫様も同じ。生まれてから名前で呼ぶのは家族だけ。兵士や魔法の先生、町の人たちも姫様としか呼んでくれない。外見では離れてても五か六歳の違いに見えてもおかしくはない二人が、こういしてあだ名を付けあうというのは生まれて初めての経験なのだ。

お互いに顔を赤くして恥ずかしいのか照れているのかわからないが、悪い気はしないというのが本音だったりする。






そういった経緯があり、冒頭に戻るわけである。

「いけない。お兄様が近付いているわ。アレン様。走ってどこかに行ってください。早く!!」


「・・・・・・・・・・・・・」


「アレン様。どうかまたお会いできることを・・・」


アルバスはフードを被り何も言わず足音1つ立てることなく、その場を走り去った。

そして入れ違うように大きな槍や国の模様が刺繍された旗と掲げた騎馬隊がやってきた。先頭の白い馬に跨がっているのはアリシアと同じ白金の色の髪をした男性。瞳は濃い紫をしており、腰に下げている青白い光を纏う直剣が目に入る。


「アリシア。やはりここにいたのか」


「お兄様・・・」


「さあ。帰ろう。城の者たちが心配している。」


「わかりました。お兄様」


アリシアはお兄様と呼ぶ人物の後ろに跨り、早々と城の方角へと駆け抜けていった。


(アレン様・・・もし私の願いが叶うのであれば、連れ去っていただきたかった。)


彼女の願いは口に出されることがなければ誰の耳に届くことはなかった。いまはただ心の奥底にしまってしまっておくべきなのだろう。いや。それこそ永遠に閉まっておくべきことなのだろう。








魔物図鑑 004 エルフ

魔界と人間界で暮らす非常に人と似た身体構造をしている魔物

比較的に男性が少ないため700年前から存在している一部の地域でのみ人間との交配が許されている。

魔法を得意とする種と肉弾戦が得意な種の二種類が確認されているが、どっちも一纏めにエルフと呼んでも間違いではない。

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