転んでもただでは起きない 処刑用電気椅子の意外な利用方法
以前、映画を見に行った時のことです。
見ようと思った映画の上映スケジュールを見てみると、その映画はMX4D方式で上映されると書いてあったんですよ。
自分はその時、MX4Dというのがどういうものかわからなかったんですけど、チケットを買って映画館内の指定席に座って映画を見てたら、画面の動きに合わせて座席が動き出したんですよ。
座席は、アクションシーンになるとより激しく左右に動いて、水に飛び込むシーンなどでは水がかけられたりして大変でした。
臨場感を出すための演出なのでしょうが、やっぱり映画館の椅子は快適に座れて、ゆっくりと映画を見られるものがいいな、と 思いました。
それとも慣れると楽しくなるのでしょうか。
椅子と言えば、1890年代に、死刑を執行するための機械として電気椅子が発明されると、当時のエチオピア皇帝ネメリク二世は、早速アメリカから三台の電気椅子を輸入するよう命じたそうです。
ところが、電気椅子を取り寄せてみると、それは欧米で普及しはじめた新エネルギー“電気”を用いなければ使用ができないことを知りネメリク二世は悔しがりました。
当時のエチオピアにはまだ電気は供給されてなかったからです。
ネメリク二世は仕方がないので、取り寄せた電気椅子のうちの一台を王座として使用しました。
その姿を見た補佐官は、皇帝の偉大さを国民に喧伝するための、ある噂を思いつきました。
それは「偉大なるネメリク二世は、白人が使う殺人のための道具に免疫があるため、決して白人に殺されることがないのだ」と、いったようなものだったらしいです。
この噂は早速、国民の間に流されたらしいです。
ネメリク二世時代のエチオピアというと、世界がまだ白人優位だった時代に第一次エチオピア戦争でイタリアを破り、欧米の列強諸国にエチオピアの独立を認めさせたりしていました。
これは、当時のアフリカにあった王国の中で唯一独立を保つことができたという快挙でした。
それだけに、先に書いたような噂は白人優位の世界において、皇帝がそれに対抗しうる力を持つ者として国民に認知させ、士気を挙げるために有効だと見なされたのかもしれません。
でも、この話だけだと笑い話のようですが、実際のネメリク二世はヨーロッパから技術などを導入したり、国内のインフラを整備したりエチオピアの近代化を推し進めたりした賢帝だったみたいです。
電気椅子の輸入もネメリク二世の先見性の現れの一つだったのかもしれませんね。