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小船

作者: 武田道子

小船




私の中で揺れる波に乗って

あなたの小船はどこに行くのだろうか


水平線に光る唯一つの星を目指して

あなたの小船はいっぱいに帆を張り

水平線が夜の闇に消えないうちに

あなたを待っている輝く星を見出すことができるのだろうか


海のそこでは

真珠貝が私の落とした涙を

一つ一つ磨いて

空に放り投げている


けれども

私があなたを見つけたら

直ぐに私の星は

流れ星となってあなたの元へ落ちて行くだろう


そうしたら

私の中で揺れる波に乗るあなたの小船は

塵になってしまった私を

見つけることができずに

永遠に港に着くことができずに

さ迷うのだろうか


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