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聡明な青  作者: 或田いち
1/7

10年前

 


"青の鼓動がきこえる



 深海の奥深く

 遥か遠い向こうから


 海底(うなぞこ)から見上げる海面の

 それがいかに(まばゆ)いことか。"




震撼した



碓水(うすい)さん!新人賞受賞おめでとうございます』

       『ありがとうございます』


そして同時に彼の言葉は世界を救うだろうと悟った



『17歳、現役高校生にして有名文学賞を受賞されることについて、多くの有名作家の方々からお祝いの言葉を頂いていますが!』

『恐縮です』

『今回受賞した作品「水海月の青」はご自身の実体験から来ているとお話を伺いましたが、それはどういった内容なのでしょうか』

『主人公の青年のことですね。この作品では海底から海面を見上げる描写が多々あるんですが、ぼくが実は泳げなくて、溺れたときに見た光景を言葉にして綴った感じです』


『最後になりますが、今後先生と呼び親しまれることに対するご気分はいかがですか?』

『先生なんてとんでもないと思っています…ぼくはただの冴えない高校生なので…


 でも、ぼくの物語を読んで、多くの人が面白い…それ以外の感情を呼び覚ましてくれたなら、その瞬間ぼくにとっての成功と言えるでしょう』


稚拙ながらに 通ずる何かがあった


例外じゃなかった



こんなちっぽけな私でも




『では、次にサイン会へと移行致します。会場の皆様は係員の指示に従って一列にお並び下さい』


「碓水先生は今一度此方へ」


だめだ 行っちゃう



待って



せめて一言




一言だけ



「あ、あ、ぁああのっ!!」


 遠巻きから悲鳴みたくあげた一声に彼は反応を示し

 ゆっくりと振り向く。


「…あ」



何も言えなかった

海底から見る海面の如く


彼がまばゆ過ぎたから


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