エドガーアランポーの水晶宮 cristal garden of E A poe ポウの極北のかなたへ
ポーとホフマン。
怪奇幻想作家としてよく引き合いに出されるのはこの二人だ。
しかし、決定的に違っている二人でもある。
一言で言えばその違いは
ポーは怪奇や幻想を恐怖の美学として冷徹に考え構築しているということ。クールだということ。
ホフマンは、自分の切なる魂の分裂の叫びとして混濁しながら吐露しているということ。ホットだということ。
たとえば、ポーに、「ベレニイス」がある。
その玲瓏な歯の魔力的な執着にとらわれた主人公は、その歯をすべて抜き取ってしまうのだった。
その描写は重く沈んだ調子で累々と続けられていく。
激発もないし、狂乱も無い。
一方、ホフマンは
常に凶脳するし、激高してはすべてを滅茶苦茶にしてしまうばかりだ。
断定的に結論付けるなら、
ポーにとっては恐怖も幻想も、かれの美学にとっての手段に過ぎない。
しかし、ホフマンにとっては、人生そのものであったといえようか。
今更事改めてエドガーアランポーでもないとおっしゃるかもしれませんが、
やはりポーは、ミステリアスなホラー作家としても出色の人でしたね。
私の好むポーは
もっぱら「リジイア』のポーであり
「ベレニイス」「アナベルリー」のポーです。
そこでは、夭折と薄命と、死と、幻想が絡み合って
特異な水晶宮を構築していますね。
「アナベルリー」は夭折したポーの幼な妻ヴァージニアへの
冥界を越えた永遠の愛をうたった有名な詩ですね.
そして「リジイア」
これも夭折した病弱な妻への鎮魂歌です。
誰か「リジイア」映画化してくれませんかね?
「ベレニイス」も早世した、というか
永遠の美を追求したがために
殺してしまった?
「ベレニイス」のその白玉の放浪質の歯への妄執(狂気)でしょうか?
「アッシャー家の崩壊」これもあまりに有名な小説。
貴族の末裔の崩壊を象徴的にかつ、幻想的に描いたゴシックロマンスというか、ダークファンタジー?ですね。
過去何度も映画化されてますね。一番つまらないのがロジャーコーマン版ですね?
「ウイリアムウイルソン」これはドッペルゲンガーを扱った一編。
決闘して殺した相手は自分だったのですね。
確かアランドロンがこの役をやった映画があったはずですよ。
『ちんば蛙』
道化師の復讐です。
これは味わい深い映画にもなっていますね。
これはポーの世界そのものです。
「赤死病の仮面」ペストの恐怖を描いたゴシックロマンスです。
ロジャーコーマンが映画化してますが
コーマンのポー解釈って、時代錯誤というか、
今一つ。つまらないですね?