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第1話 俺の異能を聖女が使うと怖い

ええっと、これは序章みたいなモンの

『帰る場所が無くなったので家族を作って家を買おう』の続きです。


最近「○○○の○○○が○○○」とかいう、タイトルが内容をそのまま書いてる

題名って多いじゃないですか…

で、ああいうのアニメで見てると、段々、話の進行とタイトルが噛み合わなくなって

タイトルが添え物になってるのが凄く気になってたんで

タイトルと内容が合致する期間で終わって、次に行くみたいな

昔の、無責任艦長タイラーシリーズみたいなタイトル付けにしてみては

どうかと思って、やってます

昔のは、その巻のタイトルは短くて、アニメのその話限りの副題みたいでしたけど


というわけで、この話は、家を作るまでで、家作ったら終わります

挿絵(By みてみん)



ふふふ…冒険者ギルド兼宿屋兼食堂兼酒場の

借りていた二階の部屋から遂に追い出された…


もう流石に出ていけとボブに怒られた…


ちょっと美少女2人が嫁になったせいで

頑張りすぎたか…


でも、人間だもの…


ともあれ、緊急に賃貸物件を借りて

そこに住まないといけなくなった。


凄く困っていたら、酒場でボブの戦友で

前から俺と飲み友になっている

オッグスという老人が話しかけてきて

”そういう事なら世話をしてやろう”

と言ってくれて、

3人で暫時暮らす

仮の家を紹介してくれた。


そんなわけで、オッグスさんの知り合いの物件で

仲介もオッグスさんがしてくれると言う事で、

月20金貨程度で

1~2ヶ月の短期で家を借りれる事になった。


ああ、持つべきモノは冒険者仲間だなぁ。


オッグスさんは、

ほぼ引退しているそうだが。


オッグスさんが


「有望な冒険者の君が

 これからも頑張ってくれるなら

 私も支援のしがいがあるし

 君が建てたいという

 風呂付きの家も

 どんなモンになるか興味があるから

 ここは、手伝わせて貰うよ」


と言ってくれたので

土下座レベルで助かった。


そう…メイが嫁として俺達の家族に

仲間入りする前から、

フィアと二人で

住む家がどんな形になるのか

下調べをしていた。


しかし『風呂』という、

俺が絶対に除外する事のできない

要素を主張すると、

城塞都市の中で、

そんな設備がある家など無く

また、新しくそんなモノがある家を

城塞内部に作るのは

ほぼ不可能に近いと分かり

城塞都市近くの川の付近に

新築で建てるしか、

方法が無いという結論に至ったのだ。


城塞都市には、その性質上

ロクな上水道と下水道が無い。


石壁で街を囲って

内部を護っているので

川から水を新しく引き込むには

城壁に新規の穴を開けるとか

とんでもない作業が最初に必要となり

また街が防衛用に

迷路みたいになってるので

そんな所に水路を作るのが

根本的にに難しく

最初に作られた水路の様なモノ以外で

新規に水路を作るのが苦しいのだ。


故に風呂に必要な「排水路」が出来ない。


風呂の様な排水構造を作ろうと思ったら

上水道を作って川から家に水を引き込んで、

下水道を作って川に排水しないといけないので

そんな水路構造、城塞都市の中心の

子爵の屋敷にしか存在せず

同じモノを作ろうとしたら

城塞都市の外に出て

川の側に家を建てるしか無いという事で

『水路の基礎工事』から出発しないと

いけないのだ。


ああ、風呂、恐るべし。


日本で、どのお家庭にも満遍なくあった風呂。


しかしそれは、強靱で広範囲な

上水道と下水道が既に土地に存在してるから

作れる事であって、

インフラがゴミの中世代で

日本のあんな家を求めたら、

根本から作らないといけないという

とんでもない事になるのだ。


なので、1000金貨の当初の見積もりより

多く見積もって2000金貨くらいは

俺達が住む家を作るには必要かもしれない。


ただ、DIYが基本のこの時代。


金よりも、俺がそういう構造を

自分で設計して自分で作る事の方が

よっぽど重要なのかもしれない。


自分で作るってキツ―。


ともあれ、

そんな夢のマイホームは遠い先の話で

長い工事が始まるという事で

今の状況を改善するべく緊急の引っ越しで

俺達3人が1~2ヶ月は滞在する

賃貸物件に住むことになった。


そこが俺達の、新しい愛の巣という奴だ。


また借宿だが…。


ともかく、前の宿屋の二階の部屋よりは

遙かに広い3部屋はある家に引っ越せて

大きなベッドのある家を

オッグスさんも、分かってくれていて

手配してくれたので

嫁2人と、毎日3人で

イチャイチャする事は出来るようになった。


挿絵(By みてみん)


いや、うん、汗だくになるんで

毎日とかキツいんですけど…


体を清める湯桶とかそんなの

自分で用意する必要があるんで

そういう生活のための準備に

前より遙かに労力が割かれるようになり

毎日愛を確かめ合うとか

そんな放蕩な生活、とても出来ない…


宿屋の有料だったけれども

生活サービスって、

有難かったんだなぁ…


まぁ、それでも、3人で生活の

色々な手分けをしていると

『家族』という繋がりは

余計に感じれるようになった。


だから、それはそれで、

良かったのかもしれない。


いや、頑張れるときは頑張りますよ?


こんな美人の嫁達と、毎日3人で

一緒のベッドで寝れるんだぜ?


それで頑張れないと

男じゃ無いよな! やっぱ!


元々、子供を欲しがっていた

フィアだけでなく

メイも、そこそこ乗り気というか

不思議な気負いで嫁モードを

してくれるのだから

まぁ、頑張れるときは頑張るさ…


ダンジョン探索を

お休みする時とかは…


――――――――――――――


で、色々と家族会議をした結果、

確かに突然手に入った5000金貨は

大金ではあったが

これから、家を作って子供もできたら

その子達も食わせて

育てないといけないわけで…


とかなると、オッサンが見積もった

人、1人、人生の全部を食わしていくに

5000金貨もあれば十分だろう?

というドンブリ勘定も

恐らく足りなくなるのではないか?


という事が予想されたので、

やっぱり今まで通り、ダンジョンで稼いで

貯蓄を貯めよう、という事になった。


将来的に2人のお腹大きくなって

身動き取れなくなれば、

ダンジョンなんか潜ってる場合じゃなくて、

地上で手に職つけて家の近場で働いて

嫁の側に直ぐ駆けつけれるような

そんな状態にならないといけないからな。


まだ、身籠もってないから将来的にだが…


まだだ!


まだ大丈夫!


だから、この瞬間に

安全なレベルでの一攫千金で

貯蓄を稼ぐのは当然の方針になった。


そういう流れで、ダンジョンに3人で潜って

どんな感じで素材狩猟ができるのか…

試験してみたのだけれど…


うん、怖かった…


マジでメイが怖かった。


万象強化で強化されたメイが

その力を調整して実力を試してみて

【拘束する捕縛の膜】の祈祷を

四層のサラマンダーに行使してみた所…


サラマンダー拘束しちゃった…


あんだけ俺とフィアが苦労して

狩ったサラマンダーをアッサリと…。


俺とフィアはその光景に呆然となった。


メイが作り出した黄色い拘束の膜に捕縛され

ジタバタと藻掻くサラマンダーを

魔力乗せした槍で、俺とフィアの2人で

ズブズブと刺して、狩猟終了…


簡単なお仕事でした…


それに、ちょっと泣いた。


かなり泣いた。


すっごく尊厳が傷ついた。


これがなんちゃって冒険者と

本当の中級冒険者の違いなのか…


「いやいや、これは貴方の異能で

 私の能力が上がってるおかげなので

 おそらく、私個人ではこれは無理かと…」


とメイがフォローしてくれたが、

例えそうでも、物理でやったら、

前みたいにあんなに苦労するんだからな…


これは魔法使い系の特権とみるべきか…


いやいや、

そういう風に他人のせいにしてるから

自分が伸びていかないんだ。


あのオッサンなら、

物理で殴り殺してるだろう。


メイに何もかんも任せるのはマズイ。


状況に甘えずに

これからも訓練場に通って鍛えようって

俺もフィアもその日から燃えてしまった。


というか、隠すのもアレなのでって

メイが打ち明けてくれたのだが…


彼女の聖女の力


『失ってない』らしい


それをメイから聞いて眩暈がした。


ちょっと待ってくれ。

だったら、あのオッサンとの大立ち回りは

何だったんだ…


というか、ちゃんと処女をいただいて

毎日とはいえないけど、

数日のスパンでずっと可愛がってる

メイヴィアですよ?


いや結構、そう…

夫婦として親密にやってるんですが?


こんな勢いなら、

フィアが妊娠するのが先か

メイが妊娠するのが先か

怪しいなって思うくらいは

どっちとも頑張ってますよ?


愛と欲望に溺れてる女の子ですよ

今のメイヴィアは…


え?何で消えないの?

彼女の聖女の力…


”聖女”とは、いったい?


俺は色々な事に唖然とはしたが、

まぁサラマンダー討伐代金

500金貨を、あまり労せずして

稼いでくれるんだ…


『聖女の能力様、万歳!』


としか言いようがないじゃないか…


もう、俺もフィアも

メイに土下座モードになっていて

メイは別の意味で困っていた。


――――――――――――――


メイヴィアは、困っていた。


いや困るというのは語弊か。


しかし、神の導きだ。

その信徒として

聞かないわけにはいかない。


とはいっても…


メイヴィアは切り口を変えて

神託への問いかけを工夫していた。


「私とフィアさんの嫁二人

 これが夫と、

 どうあるべきでしょうか?」


そういう風に、

「私の人生をどうすればいいのか?」

という今までの抽象的な問いかけに対して

今は『現状の状態』を加えて

女神に神託を請うているのだ。


『伴侶と子を為せ』


とかいう無茶ぶりを指示してくる女神だ。

いや、伴侶となった以上

それが無茶だとは思わないが

それでもそんな事は

神が指示する事ではないのではないか?

と思う。


何より、

まぁ貴族的になっていた自分の国では、

何処か当たり前になっていた

一夫多妻制、

女神も特に、どうとも批判してなかったので

いいのだろうと判断するしかなかったが

今はフィアと2人の嫁として

夫の伴侶となっているのだ。


だったらフィアはどうなのか?

というのも気になってしまった。


そういう色々なのが混ざっての

問いかけの調整であったのだが…


そうやって神の求めに対して、

具体性を絞ってみると…


『嫁を増やして

 子供が増えると、もっと良い。

 他の伴侶と協力し

 豊穣の女神の巫女として

 豊穣に励め』


と、更に指示が具体的になったのだ。


これにはメイも、些か、まいった。


水の女神の聖女として

特別な意味合いで子を為せと…

今までは解釈していた。


穿った見方をすると

聖女が生む事で、

女神が特別な祝福を

生まれてくる子に与える…等とか

そんな事を女神が

望んでいるのだろうか?

と考えたが、


「沢山作れ」


とは、どういう事か…


それも、

自分の様な水の女神の聖女という

神の代表として子を為せという事でなく

フィアが生むのも構わない

と言っているのだ。


なれば、聖女としての特別な任務

という事では、無さそうだった。


ぶっちゃけ、

誰でもいいのだろうか?


そういう風にも解釈できて

ちょっとだけ心が寒くなるメイ。


だが、水の女神は

人々を困らせて混沌を作る

悪神ではない。


人々に豊穣をもたらしてくれる

母神なのだ。


という事は、その指示には意味があるはず。


「もしかして、

 彼の万象強化には遺伝性が?」


不意にそれを疑う。


フィアが愛されている時に

彼女があまりにも

子供を求めるモノだから

だんだん自分も感化されて

『赤ちゃん欲しいかもなぁ』

と、思い始めるようになったが

お腹に子を宿すイメージをした時

不意に疑問に思ったのだ。


もし自分に子が出来た時

その子は彼と同じ様に

万象強化の能力が使えるように

なるのだろうか? と。


異世界人の血を取り込むのだ。

可能性としては無くは無い。


しかし、こんなインチキな能力

生まれる子全てに

遺伝しようモノなら

この世界は、新しい法則で

書き換わってしまうだろう。


なので、そんな

アッサリ遺伝するモノには思えないし

流石にそれを看過して

この世界を変えようなどと

女神が思っているとは思えないが…


しかし女神の指示に

何の意味もないとも思えない。


何か、生まれてくる子と

彼に密接な関係があるのだろうと

思えるのだが…


「そんな事、

 子供が生まれてくるまで

 分かるワケがありませんよね…」


そう呟いて、

メイは深いため息をつくのだった。


―――――――――――――――――――


「メイちゃんの実力を見込んで

 第5層でいろいろ狩ってきて

 くれないか?」


賃貸で暮らし始めてからも

朝食を作る時間の省略で

冒険者ギルドの食堂で

朝食を食べていたら

ボブがそう切り出して来た。


「5層? なんでまた…

 いや、そういや、みんな4層とか6層とか

 そこら辺は行ってみたいって言うけど

 5層に行きたいってのは、

 あんまり聞かねぇな…」


俺は冒険者の酒場での雑談を思い出して

人気や目標としての4層や6層の話を

耳にしたりはあったが、

5層の話をする人は、

ほとんどいなかった事を思い出す。


「まぁ5層はいろいろ特殊でな…

 4層から6層までが階段で一直線に下ってて

 5層はその中間の、踊り場みたいなのから

 入っていく構造なんで、無視しようとすれば

 無視できるんだ…」


そう言ってボブは顔に手をやって

悩ましい表情をしていた。


「へぇ…4層から6層に行くのって

 ノンストップが出来るんだ…

 でも6層なんて中級冒険者でも

 油断してたらゴロゴロ死ぬ所なんだろ?

 だったら、それよりは弱いのが出る

 5層で稼ぐってのも手なんじゃ?」


俺はそう疑問を口にして

実力相応の階層挑戦の話をしてみる。


いや、不思議な事にダンジョンは

1層毎に、順々に敵が強くなってくれるので

自分の実力に相応な層を調べて

狩り場にする事ができるのだ。


なんともまぁ、

冒険者に有り難い構造であるか…。


「まぁ世の中には適材適所ってのがあってな。

 5層の方が6層よりは

 楽だってのは事実なんだが

 あんまり5層を好んでやりたい奴が

 いねーんだよな…

 俺たちもそうだった…

 いや、1名を除いてだったが…」


言ってボブは額に手をやる。


そこで、横で飲んで陽気にしてた

ボックスさんも口をはさんできた。


「いやー、モームとかは

 5層行くときは、ウキウキしてたものなぁ…

 正直、モームがいなければ

 あんな所、絶対に行きたくはなかったが…

 今でも行きたくないし…」


そう言って、過去を懐かしんで

エール酒をあおる。


俺はその言葉を聞いて、眉をひそめる。


今でこそわかるが、

目の前のボブもボックスさんも

その立ち振る舞いから達人の域に達してる

元冒険者だ。


寄る年波には勝てないとボヤいてはいるが

いやいや、その実力は、

今の俺では足元にも及ばないだろう。

実力は現役冒険者以上だという事は分かる。


そんな二人が、言葉の雰囲気では

『今でも行きたくない』と

感じる5層とは?


そしてそんな所にウキウキして行った

モームさんとは?


「ウチの所にあるダンジョンは

 他所にあるダンジョンに比べて特殊でなぁ…

 ギルバルト王の御伽噺でもネタになってるほど

 5層がなぁ…

 あ、そういえば…そうなるのか…

 メイちゃんって、聖…おっと…

 アレなんで、御伽話と同じになんのか?」


と、ボブは語りながら自分で何かを思い出して

ゴチャゴチャな台詞になった。


「え? メイが何だって?」


良く分からない言葉に、

思いの真を問う俺。


「まぁ要するにだなぁ…

 5層って…

 アンデットしか出てこない

 すげぇ嫌な所なんだよ…」


挿絵(By みてみん)


そう言ってボブはため息をついた。


「はぁぁぁぁ!?」


俺はボブの言葉に絶句した。



いやー、まだ、こんなに早く始める気なかったんだけど

前回がいきなり終わるの

意味分からんだろうから、

「まぁこういう思惑よ」

というのをね…


でも、ちょっと無理して作りすぎたんで

こっちは当分、続き作れないんじゃないかなぁと


思うけど、どうなるかわかんない

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