どうして王子は婚約破棄宣言したのか?
リリス伯爵令嬢は、突然、王子に婚約破棄宣言をされ、心の中で思った。
なんて愚かな王子なのだろう。私はこんな理不尽な命令に従うつもりはない。
反撃の方法を頭の中で組み立てながら、リリス伯爵令嬢は王子に問う。
「何故そんなことを?」
王子は一枚の紙を見せる。
その紙を見たリリス伯爵令嬢は思った。
あっ、これ、全面的に私が悪いやつだ。
「私の姉がどれほどこの王国に必要な人材なのか、王子はそれすらも理解していないのですか」
リリス伯爵令嬢の妹が、激怒しながら王子に詰め寄る。
「我が伯爵家はこの王国全体の運営を取り仕切っているのですよ。それを敵に回すと言うことは、王子とて破滅しかないのです。そこを理解できたのならば、私の姉に謝罪の言葉がありますよね」
王子は黙って、姉に見せた紙を妹に見せる。
リリス伯爵令嬢の妹は、その紙に書かれた内容を理解する。
次の瞬間、土下座をするリリス伯爵令嬢の妹。
「申し訳ありません」
「何をしているですか?」
王妃が怒りの声を上げる。
「この王国に争いの火種を撒くなど、このわたくしが許しませんよ」
王子は伯爵姉妹に見せた紙を、自分の母親に見せる。
それはある外国のゴシップ記事。
今までの勢いがしぼみ、笑って誤魔化そうとする王妃。
「わたくし、ちょっと体調がすぐれないので、失礼しますよ」
「逃げるな」
「離しなさい。わたくしはあなたの母親で王妃なのですよ」
「王妃だから大問題なんでしょうが」
リリス伯爵令嬢の友人達が、王子に意見をする。
「事情はわかりませんが、リリス様を許してください」
その言葉に王子はキレる。
「おまえらもがっつり当事者だ」
王子の前で、ドレス姿のまま床に正座させられる令嬢達と王妃。
「この王国は、隣接する帝国に対して国土も経済力も軍事力も十分の一しかないのわかっているよな。今の友好関係を維持するのが絶対に必要で、怒らせる行為はあってはならないことは、重々承知しているはずだよな」
王子の言葉にうなずく令嬢達。
「なら、どうして預かっていた帝国の王子に、女物のドレスを着せていたんだよ?」
言い訳をするリリス伯爵令嬢。
「だって、あれだけ可愛い男の子、女装させてみたくなるじゃないですか」
「帝国にばれたら、どうするんだよ?」
「王子も二年前に成人になって帝国に帰国したし、大丈夫ですよ」
「これ。この記事」
王子は手に持っていた帝国のゴシップ記事をバンバン叩く。
そこには、二年前から帝国の舞踏会に現れる謎の美女について書かれていた。
「目覚めちゃっているじゃん」
おわり




