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将来の超絶最強軍師である俺が勇者を堕として最強の料理人を飼い犬にしてとにかく最強  作者: Os


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相縁

ディーゼスへ赴いた翌日。

俺は朝からカル先生の研究棟へ押しかけていた。

「セノちゃん、客人の前なんだからもっと可愛く着付けてあげるよ。このペルトの花を付けようね」


彼は久々に、妹であるセノちゃんに対してシスコンを発揮していた。

……っていうか、本当に妹なのか?

似てなさすぎて、誘拐してきた幼女を愛でてるだけにしか見えない。


そして、聞く耳を持たない彼に向かって、俺は語りかける!


「見てくださいこの魔導書!!暗黒魔法について書いてある!!

しかも悪魔語で書かれた走り書きも!興味が唆られるでしょ!?」


だが、彼は聞いてるのか聞いてないのか──セノちゃんの髪に小さな花を飾りながら、うっとりと囁く。


「うーん、可愛すぎる……どうして君はそんなに可愛いんだ?僕の全てが浄化されるようだ……」


「しかもページを捲ると、暗黒魔法から治癒魔法を生み出そうとする研究まで!こんなの、巷じゃお目にかかれない!!」


「ふふ、カルにもつけてあげる。感謝しなさい!」


セノちゃんは花を手に取り、先生の髪にまで飾りつけ始める。

その様子はさながら、祭壇に祈りを捧げる巫女のようだった。


「……あ、ありがとう……感謝のさらに上の感情を表せる言葉を思いつけない僕はなんて愚かなんだ……」


「さらに、昨日指摘された部分を修正して、空間魔法を発動した時の負荷を半減させるように魔法陣を改良しました!!」


「ん?そこを直せたらもう直すところは無いと思うけど……」


——うおっ、急に食いついた!!




落ち着いたところで、俺は本題に入る。


「聞きたいことがあるんですけど……」


「何だ、言ってみて」


「実力以外で、監視魔法を防ぐ手段ってありませんか?」


その問いに、カル先生はあっさりと答えた。


「簡単だよ。魔法なら導線となる魔力を絶ってしまえばいい。スキルなら、聖魔法による結界が有効かな。

なに、やっと対処する気になったの?」


「俺が危機への対処を怠ってるみたいに言わないでください。ひとまず、ありがとうございます。それと……」


俺が魔導書を掲げかけた瞬間、彼の視線がふっと動いた。


「何だその本?この国の材質じゃないな」


本の内容より材質を見るのかよ!?しかも一瞥しただけで。


「興味あります?これは魔法使いなら誰しもが求める暗黒魔法の……」


「いや、僕は暗黒魔法には興味ないかな」


「あ、やっぱり?」


「なんだその反応。さっきまでの熱心な魔導書セールストークは何だったんだい」


……俺の語り、最初から聞いてたのかよ?

あなたも呆れ顔する資格ないからな!!


「じゃあ、聖魔法には興味あります?」


俺がそう聞くと、彼は薄笑みを浮かべて腕を組む。


「僕の誕生日プレゼントには大精霊の核をくれたりするのかな?」


「大精霊の核ほどの価値かはわかりませんが、そのうちカル先生に良いものを渡そうと思ってたんですよ」


「君が誰からの催促もなしに贈り物?」


「俺はただ、カル先生を幸せにしたいだけですよ。だから、面白くなかったら捨ててください。

それと、さっきの魔法陣。実は、これをさらに改造して──」





そうしてカル先生の元で魔法陣と言葉をこねくり回したのち、俺はギルドへ向かった。

一直線に向かうは、愛想の無い剣士の元。


「よ、シャトロ!最近話せなくて寂しかったろ?」


彼は無表情のままチラリと俺を見る。


「ん?……お前の場合は関わる方が自分の寂しさを感じる気がする」


【隠者の瞳】で大抵彼の事情は知っているから、その日の行動予定も大方想像がつく。

今日の彼は冒険者として外へ出るようだ。

彼の周囲には幾人もの冒険者が集まり、俺がシャトロに話しかけている間にも作戦を立てていた。

しかし、彼も堅物ではあるが割と交友関係を広げることには躊躇がないみたいだな。


「特に用もないのならさっさと行け」


俺はもはや目も合わせようとしない彼の視線にすっと入り込んだ。


「シャトロはさ、一週間後暇か?」


「……一週間後?」


彼は予定日を聞いて直ぐに眉を顰める。

俺が嫌だから、というわけではないみたいだ。

俺を手を顔の前で汲んで純粋な気持ちでアピールしながら言う。


「そう、一週間後だ!シャトロ、良かったら俺と池へ素敵な鯉でも探しに行かないか?」


「一人でやってろ。その日は要り用があるから行かん」


「なんで?!?!」


「……お前なんかよりよっぽど大切な友人の晴れ舞台を見にいくからだ」


……ってことは、シャトロは行くのか。

ジークの領地で行われる祭り。

推測はできるけど、この素っ気ない奴がそこまで大切にする友人って言うと現実味ねえんだよな。


「要らない修飾語つけやがって。なら諦めるか」


シャトロもやたらと誠実な奴だ。

好きでもない俺からの質問に対しても、不足無いように理由を答えるんだから。

過不足の過の部分はあったけどな。


「ところでシャトロ。その大切な友人ってどんな奴?」


「お前よりは胡散臭くない」


そんな奴が存在する訳ねえだろ!!





しかし……転移前後で【青霧のペンデュラム】の魔力の消費量を見るに、通常の移動手段で南の国を目指す場合……ここからだと一週間では到底着けない筈。地図上で見ても間違ってはいないだろうな。

となるとシャトロも転移系の魔道具か何かを持っているのか?

まあ……メルライトのお気に入りだしなシャトロって。

彼女の足でも舐めれば行けるか。

そんで……これまでに集めた商人たちの資料からは、ジークの固定スケジュールをある程度予想出来る。

今も進行形でジークの追跡をさせている。

一度悪魔に【青霧のペンデュラム】を持たせてジークの行く先を転移先へ登録させようと思ったが……

どうにも悪魔が嫌がるからそれに関しては諦めた。悪魔がこれを使うと消し炭になるんだとか。

じゃあ大悪魔のメルライトはなんでこんなもん持ってたんだよって話だけどな?

イオを使うという手もあった。

だけど、彼も俺の監視と、ついでに頼まれたことを手伝えってことしかメルライトに聞かされてないだろうからな。そこまでは頼らない。

俺は自分の足でこっそりジークの場所へ向かえばいい。


俺はさっさと支度をして南の国へ転移しようと思ったのだが、宿の階下でまたしても仲間が何かを話しているようだった。


「よ、何してんの」


「ああ、君ですか。モースが試作の料理を何も考えずに収納袋に詰め込むせいで容量がなくなったようで……彼の料理はスキルによって保存期間は長く、最短でも二週間は保ちます。

しかし、彼は消費するのと同じくらいまた料理を作るのでどうしたものかと……」


他人の問題であるにも関わらず真剣に思案している様子のライアス。

まあ、食べ物の品質に問題ないにも関わらず捨てるってのも妙な話だしな。

危急の状況ってわけでもないし。

モースはそんな彼の様子を見て不本意そうに腰に手を当て、俺らを指差した。


「ライアス、俺を悲しき料理の化け物みたいに言うな。俺にとって料理は呼吸だ。お前にとっての鍛錬、そこの自称軍師にとっては妄想みたいなものだ」


「俺たちが呼吸を知らない生き物だと思ってるのか?その比喩。てか俺は天才最強軍師だし!!妄想してねえよ!!」


「にしてもどうするかね。ゲームみたいにそこら辺の店で売れれば良いのにな。自称軍師は何か思いつかない?」


お前は俺の言葉を無視しやがって!!

手段なら幾らでもあるだろ、とは言いたくなったけど……

モースは人との付き合いが多い分、暇無く人と関わるタイプっぽいからな。

俺がやってやるか。


「取り敢えず期限の短いのを引き取るか?俺ステータス低いから、常時バフアイテムは持っておきたいんだよな」


そう言ってみせると、モースはにこーっと笑って机の上にガタガタ皿を並べ始める。


「お、じゃあ好きなの持ってけよ。何が良い?汁物は消費しづらいだろうからやっぱパンとか?お前が気に入ってたのもあるぞ」


「いや、汁物でも大丈夫だ。種類問わず詰め込んでいいぜ!!」


「いぇーい!!」


おい、詰め込んでいいって言われたからって袋から出した瞬間勢いよく俺の袋に詰め込むのやめろ!!

……スープなのに皿を逆さにして突っ込む奴がいるか?

モースの作業を見ていると、背後にライアスが立つ気配を感じた。


「……虫歯と肥満には気をつけてくださいね?」


モースに目が惹かれがちだけど、お前も随分だよな。


「ライアスは今日もどっか出掛けんの?」


「俺は森へ魔物の掃討へ。最近報告された【上級悪魔】の調査が進んでいて、痕跡はあれど悪魔自体の観測はされないとのことでした。ただ、その残滓のためか魔物が大量発生しているんですよ」


「残滓?」


「【上級悪魔】による強力な暗黒魔法の残滓の他、また新たな暗黒魔法の痕跡が見つかっているそうです。上級悪魔の使役する下級悪魔が潜んでいる可能性もあるでしょう。未だ北から東にかけて広がる森は危険ですね」


下級悪魔ね。下級悪魔より悪魔らしい奴らだと思うけど。

まあ頑張りすぎない程度に頑張ってほしいな。ライアスにも!


「それに君を襲ったという暴漢についても調べていますが……まだ見つけられていません。申し訳ない」


……まだ忘れてなかったのか?




そうして再びジークの治めるジェミニ領へやって来た。

特に街の様子が変わった訳でもないと思うが……

首都のイコンと比べると、やっぱりあからさまな格差が見えるな。

さて、祭りの数日前にはジークもこの地の屋敷には戻ってくるだろうが、俺は早いところ手をつけたい。

調べた情報によれば、今日から二日間程度は、この領地から少し東へ行った場所で談話があるとか。

他の領地とダンジョンの所有権について談話するらしい。


ジェミニ領から川を隔てた場所にある

街の住人に聞いたところ、橋は無いので船で渡るしかないとのこと。

正式な手配をして地上の関所を通った方が良いと言われたが……一度見に行くことにしよう。


川沿いの区画にある事務所までやってきた。

扉を開くと、雑多なものの置かれたカウンターでグラスに口をつけていた男が、肘をついたまま俺に目を向ける。


「ここで川の向かいへ渡る船の手配が出来るって聞いたんで来たんだ。表に看板が出てたけど……料金を払えばいいのか?」


俺がそう問うと、彼は心底怠そうな顔をした後、酒気を帯びた溜め息を吐き出した。

丁寧な接客態度だ。


「ええ?兄さん1人?1人のために船出すのはちょっとねえ」


「人一人分の命の重みは人一人分だと思っているのか?!」


「少し混乱しそうになったけど……当たり前だろ。それに身分証を見たところ観光客じゃないか。遊びのために船を出してほしいなら、料金以上に払ってもらわないとな?俺には船頭以外の仕事もあるんだぜ?」


そうやってじっとりと俺を見上げてくる男。

観光客だろうが何だろうが搾取してるだろこの顔だと。

つーか都市モジュールみたいな移動手段は川には無いのか?【風霊のマフラー】で飛ぶのも目立つしな。

……目の前で煙草まで吸い出したぞ。


「金の代わりに、俺の地方で高価で取引される食べ物なんてどうだ?この原初の実のチップスとか」


「は?ざけんなよクソガキ」


そう言いながらも俺の手から袋を掠め取る男。

奪うだけ奪うのかよ。

彼はそれ以上俺から譲歩を引き出せないと理解したのか、唐突に大声を上げた。


「おいグリオ!!常識のない客が来たから追い出してくれ!!」


彼がそう叫ぶと、事務所の階下から大柄な男が降りてくる。

領民が此処を使うのはやめろって言ってた意味も明確だな。


「うちの事務員に舐めた真似したな?半殺しにされるか慰謝料払うか、選べよ」


「むしろ払ってもらいたいのは俺の方だな」


「あ?もう一回言え」


襟首を引っ掴まれて引き寄せられる。

事務員の男はその光景を見てニヤつきながら俺から掠めた菓子を食ってやがる。

このパターンに入って現実で助かることってマジでないよな。

だが、扉越しに近づいてくる足音。


バタンと扉が開かれた。

来た!俺の救世主!

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