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将来の超絶最強軍師である俺が勇者を堕として最強の料理人を飼い犬にしてとにかく最強  作者: Os


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ダンジョン

そして、ついに辿り着いた。


ここが……帰還石が使えるエリアか……ッ!!


……ふむ。こ、これは……!?


でっっっけぇ魔法陣!!

しかも複雑すぎて意味がわからん!!

今までにカル先生が見せてくれた最高難度の教科書のやつよりデカいしヤバい!!


存在するかどうかもわからん魔法陣学会に資料として提出してえ〜〜〜!!

そんな学会があればこんなの真っ先に研究対象になってる!!


素材由来の魔力供給か?

それとも構造的な魔力循環?

干渉できないのは防御式のせいか、素材の性質か、あるいは──未知の技術!?


てことは帰還石もこの魔法陣とリンクしてるってこと!?

やば……めっちゃ興味湧いてきた。


……うお、文字が未知の言語!?くそっ、せめて見たまま脳内メモに──!


「よし、じゃあ早速転移石を……って、おい、ジロジロ床見て何してんだ? 仮面野郎」


「魔術師っぽいし、魔法関連の仕組みに興味があるんでしょうね。僕も気になりますよ」


「おいおい、さっさと魔法陣の上に乗れ!!リーダー待たせんな!!」


思考を中断され、強引にミングに肩担ぎされて魔法陣の中央にドン!


「転移!!」



待って、まだ全然見足りてないし、転移石も使い捨てかどうか──ってそれ先に調べ──!

あああああ!!!!!!!!!!!





──転移の光が消え、重力が戻る感覚。


目を開けると、そこは先ほどとは少し雰囲気の異なる広間だった。

装飾も配置も似ているが、空気が違う。深層に近づいた証拠か?


リーダーとゴーテ以外は、それぞれ物珍しそうに周囲を見たり、自分の身体を確認している。

そしてリーダーが、軽く周囲を索敵した後、こちらに視線を向けた。


「……問題はなさそうだな。よし、仮面」


そう言って、指先でひらひらと俺の前に掲げたのは──転移石。


「もう二度と使う予定もねえしなあ。どうだ、これ欲しいか?」


ちらつかされる石の表面には、かすかに魔力の痕跡。

使用済みでも、ほんのわずかに魔法陣の“残滓”を感じる。


【魔道具鑑定】をしてみると


──情報取得。

【転移石】

各地のダンジョンに存在する“自然生成の魔法陣”に翳すことで、

あらかじめ登録された魔法陣との間を相互転移できる魔道具。

一度使用すると、登録は解除される。


現在、帰還位置の設定は解除済み。


──なるほど。つまり「一往復限定のワープ石」ってわけか。

登録さえし直せば使い回しも効く。いやコレ……欲しい!!超欲しい!!俺のだろコレ!!


頷きまくってアピールしてたら、ニヤけたリーダーが近づいてきた。


「お前さあ、会った時からその仮面とフード、めちゃくちゃ死守してるけど……外してもいいか?」


お、おう。確かにずっと着けっぱだったな。

でも、ここまで外せなかったのは──ミングとかロイスとかが、仮面を外すそぶりを見せたら何故か恐怖するような顔をして反応してくるからだ!!なんだか神聖なもののように扱われている。今まで白蛇に無駄に神々しいオーラを演出させたせいか?

もう、「仮面の無口な天才魔導士」ってラベルで固定されてる感ある。まあ天才ではあるんだけど?!


……まぁ、そろそろいいよな。仮面、外すか。


と、思って腕を持ち上げた瞬間──


「っ……」


ビキィッ!!


あ。肋と腕がいってえ!!!!

刺激の強いことがありすぎて完全に忘れてた。


「あ、おい!!やっぱダメだったか!?」


リーダーが驚いた顔で手を止めると、

ゴーテがずかずか近づいてきて、盾ごと俺を庇うように立った。


「気に入ったとはいえ、していいことの区別くらいつけな」


「ひ、ひどい……!リーダーがそんな人だったなんて……あんまりです……!」


……ロイス、嘘泣きだろそれ。どんなメンタル弱者もここでは泣かねえよ。

まさかサディストなのか?実はリーダーをいじめて楽しむタイプの部下なのか?

ミングはミングで、「悪い部分も全部愛してるんで!!!」とか叫んでるし。


いや、ていうか!!

俺、普通に仮面取る気あったんだよ!?

何この“かわいそうな心傷持ち扱い”の空気!?


「悪かったよ……気になっただけで?な?

……とりあえずコレやるから。泣きやめよ?」


泣いてねえし!!顔見えてねえから判断できないだろ!!


とは思いつつ、無事に帰還石ゲット!


うお〜〜近くで見るとこの魔法陣、マジすげえ。

構造が何層にも重なってて、もう見てるだけで心が潤う!!


転移とか認証術式とか……使えたら格好良いよな?

帰ったら絶対魔法陣の研究進める!!!天才軍師の肩書きに、魔導の才能まで上乗せしていくぜ!!



ということで、攻略再開だ。

ここからは通路も狭く、魔物の動きも鋭くなってくる。

平然とCランク帯の魔物が出てくるし、気が抜けない。


「……あの程度なら打撃で倒せますよね?」

「私は確認する前に倒したが」


当初は少し心配していたが、どうやら彼らは雰囲気の割に手際は良いらしい。


ミングはレイピアを用いた剣術スキル、

ロイスは双剣、

リーダーは棍を手に戦っている。


俺はというと――

人に戻ったゴーテの大盾に隠れながら、白蛇に魔法を撃たせていた。


とはいえ、白蛇も万能じゃない。

ライアスに言われた通り、“Cランク程度には遅れを取らない”くらいの性能だからな。

そろそろ火力不足が見えてきた……?


「おい仮面! もう少し出力を上げてけ!! お前の実力はそんなもんじゃないんだろ!?」

「いや別に今のままでも十分でしたよリーダー?」


……ふっ、この先の深層に行けば、その冗談も冗談じゃなくなるんだろうな。

戦闘力でアピールする気なんてさらさら無かったのに何故こんな立ち位置に!?


そんな俺の憂いをよそに、パーティはサクサクとダンジョンを進む。


やがて、広間に出た。


「ここがダンジョンボス前の試練だ。Bランク中位程度の強さらしいから心配ないだろ」

「リーダー、何だかそう聞くと不安ですね」

「問題はないんじゃないか」

「何だよロイス。ゴーテもこう言ってるだろ」

「なら安心ですね」



ゴーテの信頼、厚ッ!!

てか実際、あの大盾の後ろにいれば「何とかなる感」あるんだよ……ゴーテやっぱすげぇわ。


とはいえ、備えは必要。

“試練”ってやつには、規格外のやつが紛れてることもあるらしいし──


突入。


そこに、ひときわ禍々しい気配を放ちながら“それ”はいた。


黒い煙が体内をぐるぐると巡っている。

骨片、牙、死者の瞳のような黒い核がぷかぷかと漂っていて……


「出たな、【アンデッド・スライム】……!」


かつて生き物だった何かの名残を感じさせる、グロテスクな液体の塊。

表面はぐにゃりと脈打ち、腐った皮膚のような膜が何度も張り替えられていく。


「ぴちゃ……あ……」


水音と呻き声が混じったようなその声が、不自然に“人語っぽいリズム”を模してる!?

やめろ……マジで気持ち悪すぎる……!


瘴気を滴らせながら、浮かんでは消える“人の顔”の影……

屍の残響を記憶するスライム。これはただの魔物じゃない……!!


仲間の空気が張りつめる。


──だが、その緊張を吹き飛ばす声が響いた。


「【鼓舞】【鬨の声】【戦場高揚】!! お前ら、行くぞ!!」


ビリッと体に走る衝撃。

一瞬で全能力が底上げされる。

リーダーのスキル構成、完璧かよ!!


……まあ、俺も負けてねぇけどな?

何を比べているのか?何でもいいだろ!!


「ロイス!アイツの触手を拘束しろ!!」


「了解!【流気封術】!!」


気力が蔦のように変じ、スライムのうねる触手の一部を絡め取る。


「ミング!属性を探る!何でもいいからぶつけてみろ!!」


「分かったっ……!【火炎刃】!!」


……おい、適当か!?

でもまあ、スライムの属性なんて環境依存らしいし分からないか。


一方その頃、ゴーテは冷静にスライムの耐性を削っていた。


「【破甲撃】!!」


さすがだぜゴーテ……。

俺も負けてられねぇ!!


「仮面!弱点が分かったら任せたぞ!」


ああ任せろ、正確には白蛇に。


「キュ!」


「何の音だ?」


………靴が床擦っただけだろ!?気にすんな!!


しかし……順調だ。

白蛇の魔力もまだ余力がある。

なら今のうちに、俺も他の属性の魔法を打ち込ませてみるか──


ッ!!?


背筋が凍る。


スライムの本体、ぬらりと膨らんだと思ったら──

跳ねたッ!!?


グジュッ、と嫌な音がして、黒緑の液体が宙を舞う。

予備動作もクソもない、完全に奇襲の角度!!

そして──


飛んでくるのは、俺の真正面……!


動けねえ。


反射が遅れた?いや、違う。

全身が“拒否”してる。

体があの毒の気配に反応してる……直感でわかる、“あれは喰らっちゃダメなやつ”だ!!


喉が潰れて叫ぶこともできねぇ……!


魔法は、間に合わねぇ──!


「────ッ!!」


影。


俺の目の前に、何かが滑り込んだ。


鋼のきらめきと、ぶ厚い盾の質量。


「下がってろ」


ゴーテの声。

静かで、重い。


ズゥン!!


耳を劈く金属音──毒液が盾に当たって弾け飛ぶ。

重さと腐蝕の衝撃で、地面が揺れた。


……けど。

俺には一滴も、届いてない。


目の前には、盾を構えたまま仁王立ちするゴーテの背中。


盾の隙間からちらりとこちらを見て、ゴーテが短く言った。


「無理に前に出るな。お前は後ろでいい」


か………かっけええええ!!!?


ゴーテ、なんだそのセリフと姿勢は惚れさせる気か!?

背中が語ってるんだよ、「俺がここにいる限りは誰一人通さねえ」って!!

今後も天才軍師の盾になる気はないか!?


やべ、浸ってる場合じゃねえ!!他のやつらは──


ちらりと視線を走らせる。


リーダーが、背中から──生えてる。

でっけぇ翼が!!!


その赤みのかかった立派な大翼は、

ロイスとミングに毒の飛沫がかかる直前、全身を包み込んでる。


ゴーテの虎化と似たような、内側から力を引き出す系のやつか……?


「っ……よし、何とかなった!」


背後からリーダーの声が飛んでくる。

若干息が荒い。くそ、ちょっと苦しそうだ。でも──大丈夫そうだな。


「お前ら、攻撃再開だ!足元の毒に気をつけろ!!」

そうして攻撃が再開される。


「分かった!風属性に弱い!!」


「よっしゃ、速度下げてから総攻撃だ!!」


「了解ッ!!【魔滅貫撃】!!」


ミングの気力を帯びた一撃がスライムを貫く!

その瞬間、スライムの動きがガクンと鈍くなる!!


「仮面!お前もやれるか!?」


当然、任せろ!

白蛇に!


今だ!!白蛇、最大出力!!


「キュ……」


俺の頭上に渦巻く暴風──

うおお、来た……!!!


「離れろお前ら!!デカいの来るぞ!!」


ずしゃああっ!!

巨大な風刃がスライムを斬り裂く!!

ぐずぐずと崩れゆく体。瘴気が暴風に巻き上げられて消えていく……!!


「……や、やるじゃねえか……!!トドメは俺だ!!【大天撃】!!」


ドゴォン!!


炸裂する一撃!

音と共に、スライムの本体が弾け飛ぶ──

魔力の残滓が光り、魔石がその場に残される。


「……よし、勝ったな!楽勝だ!!」


「そんなでもなかったですよね!?毒液を見た時にはちょっと肝が冷えましたよ」


まあ……死ぬかと思ったな。割と本気で。

……それにしても白蛇、お前……

なんか最初に見たときより強くなってないか?


ライアスの成長と連動してる?それとも俺の最強ぶりを見習ったのか?

そんなことを考えつつも心の中で白蛇をねぎらっていたら──


気づけば、そろそろと周囲にメンバーが集まってきていた。


「それにしても、魔法の威力すごかったですね」

「……ああ。リーダーほどではないにしても、あの火力はなかなか見られんだろう」

「いやいや、リーダーより強かったんじゃ?」

「はあ!? ロイス、喧嘩売ってんのか!?」

「ま、ぶっちゃけ俺より火力は高かったよな! 正直、期待以上だ!やんじゃねーか!!」

「リ、リーダー!その器の広さに涙が止まりません!!」


またミングが泣いてる。お前泣くの早いな!?

そして俺はリーダーにバシバシと背中を叩かれ、軽く死にかけていた。


その合間に、ふと落ちた魔石に目をやる。

──すげえ、高品質。


あれがあれば上級魔法陣の制作に着手できる……!

欲しそうに見てたら、スッ……とロイスの手で空間収納袋に仕舞われた。


くっ、悔しくなんかねぇぞ。

俺は将来超絶最強軍師になる男だからな!?

そうなった日には湯船に上級魔石をごろごろぶち込んで優雅に豪遊してやるし!!


「さて。こいつを倒したからには、ダンジョンボスにお目見えするのも近いな。

どうだ?お前も楽しいだろ、仮面!」


……まあ、こいつらの冒険のために犠牲になった諸々を深く考えなければ楽しいかもな!!


「それにしてもゴーテ、お前、聖属性の攻撃使えなかったっけ?

前にアンデッド吹き飛ばしてたアレ、使えばもっと楽だったんじゃね?」


「条件もあるし、あたしの少ない魔力も喰うからな。

それに……今使っても、大した威力は出ないと判断した」


「へえー」


……ゴーテ、聖属性使えるのか?

正直この盗賊団みたいなメンツの中にいて、

“善性が強い奴しか使えなさそうな属性”を……!?


いやでも、ゴーテって職人気質で真面目そうだしな。

今まで見た悪行も、言うほどは──

あ、でも最初に俺を拉致ったのはお前だったよな……?


いや、それアウトじゃねーか!!!


「それじゃあ、さっさと攻略していくか!!」


俺は改めて──

おかしな奴らの中にいることを実感しながらも、

彼らを追って歩を進めた。


……で、しばらくしたらやっぱり追いつけなくなって、

ゴーテに担がれた。

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